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地球が見える 2006年

衛星画像で見るサッカーワールドカップ会場

4年に1回開催されるサッカーの祭典ワールドカップが2002年の日韓大会に続き今年(2006年)はドイツで6月9日から開催されます。1974年大会の決勝の舞台となったミュンヘンや日本人プレイヤー高原が活躍するハンブルクを始め12都市で試合が予定されています。その中から日本代表がグループステージの試合を行う会場がある3都市、カイザースラウテルン、ニュルンベルク、ドルトムントを地球観測衛星の画像で紹介しましょう。

図1 カイザースラウテルン周辺
図1は地球資源衛星1号(ふよう1号)の光学センサが1993年6月に捉えたカイザースラウテルンの周辺です。地名に含まれる「カイザー(皇帝)」は、12世紀に神聖ローマ帝国の皇帝バルバロッサ(フリードリヒ1世の通称)が景観に魅せられてこの地に居城を構えたことにちなみます。人口10万人の小さな町ですが、個性的な教会が多い古都です。画像右下の濃い緑色の森林に隣接した灰紫色の部分がカイザースラウテルンの市街地です。

図2 カイザースラウテルンの拡大図
図2はカイザースラウテルンの拡大図です。図の大半は森林、上の方は薄い緑色の畑地や牧草地で、中央に市街地があります。カイザースラウテルン中央駅の東側の小高い丘の上にフリッツ・ヴァルター・シュタディオン(6月12日に日本・オーストラリア戦が行われる会場)があります。サッカー専用のスタジアムで、スタンドからは教会の点在する町並みが望めます。スタジアム名はドイツが初めてワールドカップ王者に輝いた1954年スイス大会の主将フリッツ・ヴァルターに由来します。ドイツで「赤い悪魔」と呼ばれる古豪FCカイザースラウテルンが本拠地としています。

駅の北側には、高さ84 mの市庁舎、東京都文京区と姉妹都市になったことをきっかけに造園が進む日本庭園があり、ヨーロッパで一番大きな長さ160 mのヴァシミュール屋外プールが青く見えています。

図3 ニュルンベルク周辺
図3は地球観測衛星「みどり」に搭載された光学センサAVNIRが1997年5月に捉えたニュルンベルクの周辺です。図全体に濃い緑色の森林が点在しており、図中央の灰紫色の部分がニュルンベルクの市街地です。ここは、ワーグナーの歌劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」の舞台としても知られる中世の城壁で囲まれた都市で1933〜1938年にかけてナチス党大会が開かれ、第二次世界大戦後は戦争犯罪人が裁かれたニュルンベルク裁判が行われた場所でもあります。

図4 ニュルンベルクの拡大図
(Google Earthで見るニュルンベルク (kmz形式、1.65MB、低解像度版))
図4はニュルンベルクの拡大図です。図全体に高速道路(アウトバーン)が延びており、図の上の方にニュルンベルク空港が見えています。城壁に囲まれた旧市街地は、ニュルンベルク中央駅の北側にあり、旧市街地には古城カイザーブルク、おもちゃ博物館などがあります。第二次世界大戦中の空爆によって、街の大部分が破壊されましたが、その後、再建され、旧市街では中世の街並みが復元されたそうです。

駅の東側には、ナチス資料館と、この街がかつてフランク王国の首都だったことから名付けられたフランケン・シュタディオン(6月18日に日本・クロアチア戦が行われる会場)があります。このスタジアムは陸上トラック付きで、緑多い郊外の大きな公園内の中で、楕円形に見えています。1920年代のドイツリーグで5回の優勝を果たし、黄金時代を築いた古豪FCニュルンベルクが本拠地としています。

図5 ドルトムント周辺
図5は地球資源衛星1号(ふよう1号)の合成開口レーダ(SAR)が1996年9月に捉えたドルトムントの周辺です。ここは、豊富な石炭に恵まれ、ヨーロッパ最大の重工業地帯であるルール地方の代表的な工業都市で、ミュンヘンと並ぶドイツビールの産地としても知られています。中世にはハンザ同盟都市の一つでもありました。

画像中央左の明るい部分がドルトムント市街です。衛星から発射されるレーダ波が市街の建物で反射するため明るく写っています。図中央を蛇行しながら東から西に流れている黒い筋はルール川です。

図6 ドルトムントの拡大図
図6はドルトムントの拡大図です。ドルトムント中央駅とその近くマルクト広場とハンザ広場が暗く、そして市庁舎が明るく見えています。ヴェストファーレン・シュタディオン(6月22日に日本・ブラジル戦が行われる会場)は駅の南側の、街の中心部から少し離れた緑溢れる公園内にあります。公園内の樹木やサッカー場のグラウンドはレーダ波の電波を反射しないので暗く写っていますが、観客席は電波を反射するので、明るく見えています。この施設は1974年の西ドイツワールドカップのために建設されたスタジアムの一つで、当時は陸上トラックのない、唯一のサッカー専用スタジアムでした。1909年創設で、1990年代半ばにブンデスリーガを連覇したボルシア・ドルトムントが本拠地としています。

ドルトムントも第二次世界大戦中の空爆によって町の大半が破壊されましたが、戦後の復興を経て、現在では市の半分の280平方kmの緑地を有し、従来の石炭と鉄鋼とビールの街から、IT産業やマイクロシステム技術などを含む近代都市に生まれ変わったとのことです。



参照サイト:
カイザースラウテルン市の観光サイト(英語)
ニュルンベルク市の観光サイト(英語)
ドルトムント市の紹介(英語)

観測画像について:
(図1及び図2)
観測衛星: 地球資源衛星1号「ふよう1号」(JERS-1)
観測センサ: 可視近赤外放射計 (VNIR)
観測日時: 1993年6月30日
地上分解能: 18.3 m×24.2 m
地図投影法: UTM (ユニバーサル横メルカトール)
通常は可視域のバンド2(630〜690ナノメートル)、近赤外域のバンド3(760〜860ナノメートル)、可視域のバンド1(520〜600ナノメートル)の各バンドに赤、緑、青色を割り当てますが、ここでは通常と異なって、緑にバンド2の値×75%とバンド3の値×25%の和を割り当てるという工夫をしたので、肉眼で見たのとほぼ同じ色合いの画像となっています。

市街地は薄い灰紫色に、森林は濃い緑色に、草地や畑は薄い緑色や薄い茶色に、水面(川)は黒っぽい紫色に見えます。データのないところは黒く表現されています。

(図3及び図4)
観測衛星: 地球観測プラットフォーム技術衛星「みどり」(ADEOS)
観測センサ: 高性能可視近赤外放射計(AVNIR)
観測日時: 1997年5月16日
地上分解能: 16 m
地図投影法: (ユニバーサル横メルカトール)
AVNIRの 4つの観測バンドのうち、いずれも可視域の610〜690ナノメートル(バンド3)、520 〜600ナノメートル(バンド2)、420 〜500ナノメートル(バンド1 )のデータにそれぞれ赤、緑、青色を割り当てたカラー合成画像です。この組合せでは、肉眼で見たのと同じような色合いとなり、次のように見えています。

市街地は灰色に、森林は濃い緑色に、畑や牧草地は薄い緑色や薄い茶色に、水面(川や池)は濃い青に、見えます。データのないところは黒く表現されています。

(図5及び図6)
観測衛星: 地球資源衛星1号(JERS-1)
観測センサ: 合成開口レーダ(SAR)
観測日時: 1996年9月20日
観測周波数: 1,275 MHz (Lバンド)
地上分解能: 18 m
地図投影法: (ユニバーサル横メルカトール)
 SARから送信された電波が地表面で反射されてSARに戻ってくる電波の強さを表しているので、電波がほとんど戻ってこない水面は黒く、電波を来た方向によく反射する都市部や人工構造物は明るく、森林は中間の灰色に見えています。

関連サイト:
北海とバルト海を結ぶキール運河とハンブルク
壁で分断された都市:ベルリン(その2)
壁で分断された都市:ベルリン(その1)
地球が見える 陸地・地形

本文ここまで。
画像:人工衛星の情報を掲載 サテライトナビゲーター
画像:衛星利用の情報を発信 衛星利用推進サイト
画像:衛星から見た地球のデータ集
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