地球が見える 2005年
アインシュタインの「奇跡の年」の舞台:スイス、ベルン
図1はAVNIRが捉えたスイス北西部です。左上にはジュラ山脈が、中央にはスイスで最も平坦な地域であるミッテルラント高原、右下にはアルプス山脈の名峰の一つアイガー山(標高3,970 m)北壁に映る陰が見えています。アーレ川の源流部は、図1の東の外側にあり、ブリエンツ湖、トゥーン湖を経て、ベルンを通り、一旦西向けに流れを変えてから北上し、ドイツとの国境の所でライン川に合流します。ジュラ山脈の南側には、ビール湖やヌシャテル湖が見えています。
図2は図1の部分拡大図で、スイスの首都、ベルンを含んでいます。灰色っぽい市街地は南北約2.5km、東西約4.5kmで、その周りには緑色や茶色に見える牧草地や畑、深緑の森林が広がっています。灰色の筋は高速道路や橋で、青緑の太い筋はアーレ川です。右下にはベルン空港が見えています。ベルンの市街地がアーレ川を東側に押し曲げたように見えるところが、旧市街地で、ユネスコの世界文化遺産の一つとなっています。ここは、アーレ川に囲まれた丘の上に12世紀に建設された市街地で、15世紀のアーケードや16世紀の噴水が保存されています。 1905年、ベルンの旧市街にあったスイス連邦特許局に勤務していたアルベルト・アインシュタインは、20世紀物理学の基本となるブラウン運動の理論、量子論、そして特殊相対性理論に関する5つの画期的な論文を発表し、後にアインシュタインの「奇跡の年」と呼ばれるようになりました。国連総会は百周年に当たる今年(2005年)を「国際物理年」と宣言し、世界各地で様々な行事が行われています。 当時、アインシュタインが住んでいたアパートは旧市街地にあり、現在、「アインシュタインの家」として公開されています。
関連サイト: 世界物理年2005 アインシュタインの家(英語版) 付録: ジュラ山脈とアルプス山脈: ジュラ山脈では広範囲にわたって石灰岩の地層が露出しています。これらの石灰岩はジュラ紀(2億1000万年前から1億4000万年前)に形成されたもので、ジュラ紀という名前はジュラ山脈にちなむものです。アルプス山脈のモンブラン(標高4,810 m)やマッターホルン(標高4,478 m)に比べるとジュラ山脈はそれほど高くなく、最高峰のクレドゥラネージュ(「雪の頂」の意)山でもその高さは 標高1,718 mです。 なお、ジュラ山脈周辺にはスイスの時計産業を支える小規模工場が散在しています。 アルプス山脈は第三紀前半の3500万年前から2500万年前にかけての地殻変動(アルプス造山運動の一環)の際にアフリカ・プレートがユーラシア・プレートに衝突して、形成されました。ジュラ山脈もこの時に形成されました。その後、170万年前から1万年前まで続いた氷河時代の氷によってU字谷や数多くの湖が形成されました。 |