地球が見える 2005年
春の訪れ、渡良瀬遊水地のヨシ焼き
平成17年3月27日(日)に渡良瀬遊水地の春の風物詩、ヨシ焼きが行われました。
図1はヨシ焼きが行われる前、3月21日のMODISにより観測された関東地方の画像、図2は3月27日のヨシ焼きがまさに行われている時間の観測画像、図3はヨシ焼きが終わった後、3月31日の観測画像です。左右に伸びる細い線のように見えるのは利根川で、画像の中心からやや左上に見える一角が渡良瀬遊水地です。画像で緑色に見えるのは植物が生えている部分で、図を比較してみると、渡良瀬貯水池(谷中湖)の北側が図1では薄い緑色に見えますが、図2では黒くなり、図3ではさらに黒い部分が大きくなっています。この黒い部分はヨシ焼きで焼けた部分と思われます。 渡良瀬遊水地は栃木県南端に位置し、栃木県、群馬県、埼玉県、茨城県の4県にまたがる面積33km2、総貯水容量約2億m3の我が国最大の遊水地です。 今年は強風のため、二度の順延の後、3月27日の午前8:30に一斉に着火され、面積33km2のうち、ヨシの生えている遊水地全体の約半分にあたる約1,500haが焼かれたとのことです。これは、阿蘇の野焼きに次ぐ規模なのだそうです。 ヨシ焼きは、もともとヨシズの原材料となる良質なヨシを育てるための病害虫駆除を目的として始められたそうです。また、最近ではヨシ焼きをすることによって渡良瀬遊水地の豊かな湿地環境が守られていることも解ってきたとのこと。さらに、春先の野火による周辺住居等への類焼防止にも効果があるようです。 ヨシ焼きの環境保全上の効果は大きく分けて、以下の二つがあるそうです。 ・ 立ち枯れのヨシを焼く事により春植物の芽生えの機会が与えられる このような植物はヨシが大きくなる前に生長し、花や実を付けます。また、遊水地内で確認された全国的に貴重とされる植物の多くはこの春に芽を出します。 ・ 樹林化を防ぐ 発芽した若いヤナギはヨシ焼きにより焼かれるため、現在のような広大なヨシ原が維持されています。 ヨシ焼きが終わると、遊水地にはいよいよ春が訪れます。
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