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地球が見える 2004年

霧のない晴れ上がった都、ロンドン

ロンドンの市街地の部分拡大図 河港都市グリニッジ ウィンブルドン・パーク及びウィンブルドン・コモン ウィンザー城及びイートン校
図1 ロンドンとその周辺(1997年3月31日)

JAXA(旧NASDA)の地球観測プラットフォーム技術衛星「みどり」(ADEOS)に搭載された高性能可視近赤外放射計(AVNIR)がよく晴れ上がったロンドンを捉えました。画像中央の白っぽい細かな構造の部分がロンドンの市街地で、その周りの薄茶色の部分が住宅地、さらにその外側は緑豊かな田園になっています。ロンドンを東西に横切るのはテムズ川で、ロンドンの西側では黒く見えますが、ロンドン市街地のところでは水が濁って薄茶色になり、東側では黄緑に見えます。

ロンドン周辺には現在5つの空港がありますが、そのうちロンドンの西にヒースロー国際空港の空港施設(滑走路など)が白く見えています。また、ロンドンの北と西には澄んだ水をたたえて黒く見える貯水池がいくつか見えています。

ロンドンの中心から放射状に延びたり、ロンドンを周囲を回るように延びている白い筋は道路です。また、イギリスは鉄道発祥の地ですから、それにふさわしくロンドンの市街地から放射状に延びる鉄道が茶色っぽい筋としていくつか見えています(特にフレームAとC)。なお、イギリスでは複数の鉄道会社がイギリス全土とロンドンを結ぶ鉄道の発着駅をそれぞれに持っているので、多くのターミナル駅があります。

フレームAは、ロンドンの市街地の部分拡大図で、中央にテムズ川とテムズ川にかかる多くの橋が見え、その北側には多くの建物のあるシティが見えます。図の右側には世界文化遺産のロンドン塔、左側にやはり世界文化遺産のウェストミンスター宮殿(国会議事堂)、ウェストミンスター大寺院と聖マーガレット教会が見えます。この他、テムズ川の北側にセントポール大聖堂、大英博物館、そしてエディンバラなど北の方に向かう列車が発着し「ハリー・ポッター」に登場するキングズ・クロス駅が見えています。図の左側には、英国王室の居城であるバッキンガム宮殿や緑豊かな公園も見えます。図の中央、テムズ川の南側にはウォータールー駅が見えます。ここから高速鉄道ユーロスターが発着し、ドーバー海峡の下の海底トンネルを通ってパリ・ノルド駅との間やブリュッセル・ミディ駅との間をいずれも3時間弱で結んでいます。

フレームBでテムズ川がU字形に曲がっている部分の南岸に世界文化遺産の河港都市グリニッジがあります。1884年に米国のワシントンで開催された国際子午線会議で、グリニッジ天文台を通る子午線を経度の基本である本初子午線(経度0度の子午線)とすることが決まりました。これは、産業革命が進んで国際的な交流が増えて各国ばらばらの時刻では不便なので、世界共通の時刻制度が必要になったためです。右上と左上の黒く見えるところは閉鎖された造船所の跡地のドックで、澄んだ水が張られていることがわかります。これらの地域は再開発されてロンドン・シティ空港(よく見るとドックの間に滑走路が見えます)及びオフィス街として生まれ変わりました。

フレームC の中央にはウィンブルドン・パークが見えます。毎年6月下旬〜7月上旬に行われる全英オープン・テニスの決勝戦が行われるセンターコートも見えています。図の右側には整然とした住宅街、左側にはゴルフ場や森林を含むウィンブルドン・コモンが見えます。

フレームDの中央には、実際に使用されている城としては、世界最大のウィンザー城が、その上には多くの英国首相を輩出したイートン校が見えます。図の右側には大きな貯水池が、左下にはウィンザーの街が見えますが、他の部分は、草地か畑地で、田園風景が広がっているようです。中央には細いテムズ川が見えます。テムズ川は全長およそ340 kmで、2000年以上に及ぶイギリスの歴史において、中心的な舞台となってきました。



観測画像について
観測衛星: 地球観測プラットフォーム技術衛星「みどり」(ADEOS)
観測センサ: 高性能可視近赤外放射計(AVNIR)
観測日時: 1997年3月31日
AVNIRの 4つの観測バンドのうち、いずれも可視域の610〜690ナノメートル(バンド3)、520 〜600ナノメートル(バンド2)、420 〜500ナノメートル(バンド1 )のデータにそれぞれ赤、緑、青色を割り当てたカラー合成画像です。 この組合せでは 、肉眼で見たのと同じような色合いとなり、次のように見えています。
深緑 : 森林
緑または薄緑: 草地または畑地
焦げ茶色 : 落葉した森林
薄茶色または黄色 : 枯れた草地または刈り取られた畑地
黒 : 澄んだ水面
灰色 : 市街地
茶色っぽい灰色 : 住宅地
白 : 道路、滑走路、建物、または裸地

関連サイト:
ギリシャ、アテネの街をクローズアップ

付録:
正確な時刻:
1秒の長さは以前は天体観測等で決められていましたが、1967年以降はセシウム原子の遷移周波数を用いた原子時計で測られています。世界標準時である国際原子時(TAI)はパリにある国際度量衡局(BIPM)が決定しています。セシウム原子時計はカーナビでお馴染みのGPS衛星にも搭載されていて、非常に正確な時刻を供給しています。また、日本では情報通信研究機構が標準電波JJYを運用し、協定世界時(UTC)に基づく日本標準時(JST)を供給しており、電波時計を使うと非常に正確な時刻が得られます。

霧の都:
19世紀初め以降、ロンドンでは、石炭ガスによるガス灯を照明に用い、また石炭を暖房にも使ったので、煤煙のために空気が汚れて霧も発生しやすかったのです。

ユーロトンネル:
ドーバー海峡を越えてイギリスとフランスを結ぶユーロトンネルは全長50.49kmで、鉄道用海底トンネルとして、世界第2位の長さです。世界一は津軽海峡を越えて日本の北海道と本州を結ぶ青函トンネルで長さは53.85 kmです。日本のトンネル掘削技術は非常に高く、その技術はユーロトンネルの掘削にも使用されました。ユーロトンネルは白亜紀の地層の中を、多少の上り下りがあるものの、掘り進んで建設されました。これは、白亜紀の地層が断層のない安定した地層であったためです。ユーロトンネルが開通し、高速鉄道ユーロスターがロンドンまで乗り入れるようになったは1994年のことです。

産業革命が生んだ地質学:
イギリスでは、世界に先駆けて18世紀に産業革命が始まりましたが、そのために蒸気機関や暖房のために石炭が使われ始め、石炭層を探すために地質が調べられ、地質学が発達しました。スコットランド、イングランドの北部と中央部、そしてウェールズには、石炭層(石炭の地層)が分布していますが、その上下の地層の重なりから、カンブリア紀(「カンブリア」はウェールズの古い呼び名)、デボン紀(イギリス南部のデボン州にちなむ)、石炭紀などの地質年代が決められました。また、恐竜が生きていた最後の地質年代である白亜紀はドーバー海峡の両岸の岸壁に見られる真っ白い石灰岩層を元に決められました。
本文ここまで。
画像:人工衛星の情報を掲載 サテライトナビゲーター
画像:衛星利用の情報を発信 衛星利用推進サイト
画像:衛星から見た地球のデータ集
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