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地球が見える 2010年

ベトナムの自然遺産、ハロン湾

 ベトナムの北部、トンキン湾北西に、世界有数の景勝地として知られるハロン湾があります。ベトナム最大の観光地で、首都ハノイ から東に約150 kmのところにあり、車で3時間ほどの道のりです。外国の観光客からは「海の桂林」と称えられるハロン湾は、ベトナ ムの人々にとって特別な場所でもあります。

ハロン湾全景
ハロン湾全景
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図1 ハロン湾全景

 図1は、ALOS(だいち)が2009年12月に撮影したハロン湾の全景です。図の中央に見える大きな島がカット・バ島で、ここを取り囲むように小さな島々が円弧状に散らばっているのが分かります。2,000の島があると言われていますが、ほとんどが無人島です。
ハロン湾は、中国の桂林から続く石灰岩の台地が、長い年月のうちに沈降を繰り返し、海になったところです。湾内の島々は浸食され、多くの個性的な島や岩になりました。地元の人々は親しみを込めて、象岩、闘鶏岩といった名前を付けています。また石灰岩台地ですので、秋吉台のように鍾乳洞のある島もあります。1994年にこのような自然美が評価されてユネスコの世界遺産に登録されました 。
ハロン湾の北側にあるバイ・チャイは、ハロン湾観光の起点となる町で、海岸沿いには海水浴場や遊園地、ホテルやレストランが並んでいます。バイ・チャイ対岸のホン・ガイは漁港の町でバイ・チャイとはフェリーで結ばれています。画像の左端にあるハイ・フォ ンは北部第2の都市で、貿易のための重要な都市となっています。

ハロン湾拡大画像
ハロン湾拡大画像
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図2 ハロン湾拡大画像
(Google Earthで見るハロン湾(kmz形式、4.28 MB低解像度版))

 図2はハロン湾の拡大画像です。バイ・チャイ港から出発するハロン湾クルーズがカット・バ島周囲の島々の間を遊覧します。画像から、カット・バ島北西部とその周辺部は自然がそのまま残されていることが分かります。しかし、ここをとり囲むように白い部分が目立って分布しています。これは、開発が進んでいることを示しています。
ハロンという言葉は、龍(ロン)が降りる(ハ)という意味です。伝説によれば、ベトナムが外敵と戦っている時に、土地を防衛するために神が龍の家族を送りました。龍は、宝石を吐き出し、これらの宝石は島に変わり城壁となり、外敵から守ったとのことです。
ベトナムの自然遺産であるハロン湾の風景が、このまま未来に受け継がれていくことが望まれます。

ベトナムの国立公園

ベトナムには30の国立公園とおよそ100ヶ所のジャングルが全国各地に点在しています。そのベトナムの熱帯林には数多くの希少動植物が生息しています。
カット・バ島と周辺海域は1986年に国立公園に認定されました。総面積約15,000ヘクタールで、20種類のほ乳類、70種類の野鳥、20種類のは虫類、750種類の植物など、豊富な生態系が見られます。

ハロン湾の環境

近年、世界から多くの観光客が訪れ賑わいを見せています。湾内を周遊する観光船の数も飛躍的に増えました。しかしその一方で、そこから出されるゴミや排水が徐々に湾を汚染し始めています。また周辺部は北部ベトナム屈指の石炭の産地であるため、近郊ではセメント、レンガ工場、発電所の建設等による急激な工業化が進んでいます。
国際協力機構(JICA)は、「ハロン湾環境保全プロジェクト」を実施すべく調査を行いました。環境と開発を両立させ、ハロン湾を保全し、持続可能な観光産業を興すべく、プロジェクトは4月より開始されます。その成果が期待されます。

ハロン湾の立体視画像
ハロン湾の立体視画像
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図3 ハロン湾の立体視画像
(目が疲れないように、あまり長い時間、見ないでください。カラー印刷してから見る場合は、pdfファイルをご利用下さい。左目用pdfファイル右目用pdfファイルも用意しました。)

 左目に赤、右目に青のメガネをかけて図3を見ると、小さな島々が湾から突き出して見えます。なお、図1〜2では上側が北になっていますが、撮影方向の関係で、図3は右側が北になっています。



参照サイト

観測画像について

観測衛星: 陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)
観測センサ: 高性能可視近赤外放射計2 型(AVNIR-2)及び
パンクロマチック立体視センサ(PRISM)
観測日時: 2009年12月5日03時36分頃(世界標準時)(AVNIR-2、PRISM同時観測)
地上分解能: 10 m(AVNIR-2)および2.5 m(PRISM)
地図投影法: UTM(ユニバーサル横メルカトール)

 AVNIR-2 は、4つのバンドで地上を観測します。図1、2は、いずれも可視域のバンド3(610 〜 690ナノメートル)、バンド2(520〜600ナノメートル)とバンド1(420〜500ナノメートル)を赤、緑、青に割り当てカラー合成しました。この組合せでは、肉眼で見たのと同じ 色合いとなり、次のように見えています。

濃緑: 森林
明るい青灰色: 市街地
茶色: 裸地
青: 海域
白: 人工構造物

PRISMは地表を520〜770 ナノメートル(10億分の1メートル)の可視域から近赤外域の1バンドで観測する光学センサです。得られる 画像は白黒画像です。前方、直下、後方の観測を同時に行います。図3では後方視の画像(赤)と直下視の画像(緑と青)を用いています 。左目で衛星の後方視を、右目で衛星の直下視を見るので、左側が衛星の進行方向になり、南の方向に対応します。
本文ここまで。
画像:人工衛星の情報を掲載 サテライトナビゲーター
画像:衛星利用の情報を発信 衛星利用推進サイト
画像:衛星から見た地球のデータ集
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