地球が見える 2010年
火山と太陽光発電の島・テネリフェ島、スペイン
テネリフェ島は、スペイン領のカナリア諸島に属しています。カナリア諸島は、アフリカ北西部のモロッコと西サハラの沖から約100 kmのところにあり、7つの島からなります。火山活動により生成された島々で、アフリカ大陸から隔絶されているため、固有な生物種が生息しています。環境保全の面で、ハワイやガラパゴス諸島と並び重要な地域です。歴史的には、アメリカ大陸への中継地として栄えました。現在では高級リゾート地になっています。 図1 テネリフェ島
図1は、左半分をランドサット7号が2002年2月に、右半分をALOS(だいち)が2009年7月に撮影したテネリフェ島の全景です。島の大きさは、2,034 km2で、沖縄本島の約1.7倍に当たります。島の中心部にある大きなカルデラを擁した火山が、テイデ山です。現在は活動を停止していますが、1700年代の噴火では、大きな被害をもたらしました。現在ではロープウェーが架けられており、頂上近く(3,555 m)まで行くことができます。右上の海岸沿いにある町が、州都のサンタ・クルス・デ・テネリフェです。 図2 サンタ・クルス・デ・テネリフェの拡大画像
図2は、サンタ・クルス・デ・テネリフェの拡大画像です。アメリカ大陸への中継地として15世紀にスペイン人が征服した際に、勝利の印として十字架(クルス)を建てたために、サンタ・クルスの名前が付けられています。17世紀〜18世紀にはイギリスもこの地の支配を狙いましたが、撃退されています。ネルソン提督が右腕を負傷したのも、この時の戦闘です。 図3 テネリフェ南空港と太陽光発電施設
図4 太陽光発電と風力発電施設
(Google Earthで見るテネリフェ太陽光発電施設(kmz形式、1.66 MB高解像度版))
図3は、島の南東部の拡大画像です。左下に見える空港は、テネリフェ南空港です。空港の東約5 kmほど、山の麓にひし形の人工構造物が見えます。これが太陽光発電施設の太陽光パネルです。図4が太陽光発電施設の拡大画像です。画像中央ペラダ山の麓に、規模の異なる3つの太陽光パネルが設置されているのが分かります。また、東側の太陽光パネルの両側に風力発電用の風車が全部で26基並んでいるのがわかります。 テネリフェ島の太陽光発電テネリフェ島では、日本企業が事業主体となり、太陽光発電プロジェクトが実施されました。プロジェクトスタートからわずか2年弱、2008年後半から操業を開始しています。大型の太陽光発電所は、12.6メガワット(MW)の発電が可能で、今後25年間にわたって操業を続けていく計画です。石炭火力発電所と比較すると、1年当たり約7,200トンのCO2排出削減効果があります。 観測画像について
AVNIR-2 は、4つのバンドで地上を観測します。図は、いずれも可視域のバンド3(610 〜 690ナノメートル)、バンド2(520〜600 ナノメートル)とバンド1(420〜500ナノメートル)を赤、緑、青に割り当てカラー合成しました。この組合せでは、肉眼で見たのと同じ色合いとなり、次のように見えています。
PRISMは地表を520〜770 ナノメートル(10億分の1メートル)の可視域から近赤外域の1バンドで観測する光学センサです。得られる画像は白黒画像です。前方、直下、後方の観測を同時に行いますが、ここでは直下視の画像を使っています。
ここでは米国地質調査所の画像検索サイト USGS Global Visualization Viewerから無料でダウンロードしたデータを用いました。可視域のバンド3 (630〜690ナノメートル)、バンド2 (520〜600ナノメートル)、バンド1 (450〜520ナノメートル)に赤、緑、青色を割り当ててカ ラー合成したので、肉眼で見たのと同じ色合いとなります。 |