地球が見える 2009年
クレムリンから広がった街、モスクワ
図1 モスクワ市周辺
図1はロシア連邦の首都モスクワ市街です。図の下半分をモスクワ川が黒く蛇行しているのが見えます。左が上流、右が下流で、やがてヴォルガ川に合流してカスピ海に流れ込みます。毎年11月から12月にかけて凍り、3月下旬から融け始めます(図は夏の画像です)。 クレムリンの北約3.5 kmに位置する南北に2つ並んだ白いドーム状の建物は、ロシア最大の屋内競技場、オリンピック・スタジアムです。また、クレムリンの南西約5.5 kmの白い楕円形は収容人員10万人を超えるルジニキ・スタジアムです。かつては、レーニン・スタジアムと呼ばれ、1980年モスクワオリンピックのメイン会場として使用されました。現在はサッカーの試合で利用されることが多く、2008年5月にはUEFAチャンピオンズリーグ 2007-08の決勝戦が開催されました。 2013年には世界陸上モスクワ大会のメイン会場として使用される予定です。 画像下部のモスクワ川右岸は、コローメンスコエという史跡公園・自然保護地域となっています。かつては、イワン雷帝やピョートル大帝など、歴代皇帝の別荘地でした。ここには1532年に建てられたヴァズネセーニエ教会があります。ロシア国内に現存する最古の石造りの建造物で、1994年に「コローメンスコエの主の昇天教会」として、国際連合教育科学文化機関 (UNESCO)の世界文化遺産に登録されました。 図2 モスクワ市街
(Google Earthで見るモスクワ(kmz形式、1.72MB、低解像度版))
モスクワ市街を拡大すると、サドーヴァヤ環状道路の内側に、所々、緑地帯となっているブリヴァール環状道路が見えます。 クレムリンの真西、約5 kmのモスクワ川左岸の第3環状道路内側では、モスクワ国際ビジネスセンター、または、モスクワ・シティと呼ばれる都市再開発プロジェクトが進められており、高いビルがもたらす黒く長い影が多数見えています。しかし、2007年9月に着工した高さ612 mを超える118階建ての超高層ビルのロシア・タワーは、ドバイのブルジュ・ドバイに次いで世界で2番目に高いビルとなる予定でしたが、2008年11月に金融危機により工事が凍結されました。 ルジニキ・スタジアムとは川を隔てた雀が丘と呼ばれる高台の緑の中で、モスクワ大学本棟がモスクワ市街を見下ろすように建っています。また、日本各地で何度も開催されるボリショイサーカスの本拠地がその近くにあります。 図3 クレムリンと赤の広場周辺
図3はクレムリンと赤の広場周辺を拡大した画像です。ロシア語で「城塞」を意味するクレムリンは多くの都市に存在しますが、中でも有名かつ最大なのがモスクワのクレムリンです。城壁の周囲は2 kmを越えています。内部にはロシア連邦大統領府をはじめとする政治の中枢機関があるほか、大クレムリン宮殿やウスペンスキー大聖堂など、中世ロシアの美の粋を集めた建物が数多くあります。かつては、帝政ロシアの王朝府、ロシア革命後はソビエト最高会議場として用いられ、ソビエト政権の代名詞となった建造物です。
赤の広場は、クレムリン北東の壁の外側にあります。かつて、ソ連を象徴する映像が世界に発信されたところで、「赤」という形容詞は古いロシア語で「美しい」を意味します。広場周辺には「ねぎ坊主」のような形の色鮮やかな屋根の塔が並ぶ聖ワシーリー聖堂、赤レンガでできた国立歴史民俗博物館、レーニン廟、国立のグム百貨店などがあり、観光客でいつもにぎわっています。
クレムリンの南西、モスクワ川沿いには、金色に輝く円形ドームを載せた高さ103 mの救世主キリスト大聖堂が見えます。この聖堂は44年もの歳月をかけて1883年に完成しましたが、1931年にスターリンによって爆破されました。その後、新生ロシアの象徴として1997年のモスクワ建都850年の目玉として再建事業が始まり、1999年になって完成したものです。 図4 全体画像
図4は全体画像です。白く点在する雲に加えて薄雲がかかっていますが、モスクワ市を囲む大環状道路やシェレメーチエヴォ国際空港が見えています。大環状道路は、1961年に作られた延長109 kmのアスファルト舗装自動車道です。シェレメーチエヴォ国際空港は乗客数と取り扱い貨物数において、ロシアで2番目に大きな空港で、アエロフロート・ロシア航空のハブ空港です。
モスクワ周辺には宇宙関連施設がいくつかあります。この図では、ロシアの宇宙飛行士の多くが家族と共に住んでいる「星の街」が見えます。ここには1960年代から宇宙飛行士が訓練を受けていたガガーリン宇宙飛行士訓練センター (GCTC) があり、ソビエト時代には、厳重に警備された地域で、他の世界からは隔離されていました。今では一部が開放され、宇宙博物館などが見学可能です。 観測画像について
(図1〜4)
(図1〜3) |