地球が見える 2008年
ますます薄くなってきた北極海の海氷
まだまだ気温が低い4月の北極海の海氷は、全体の広さにあまり大きな経年変動は見られませんが、濃い水色で示された多年氷の割合が近年急激に減少している様子が分かります。上述したように、2006年から多年氷が大きく減った2007年には、晩夏(9月)に衛星観測史上最小面積を記録※1したことは記憶に新しいところです。そして、今年2008年はどうなっているでしょうか。2007年に比べても、ますます多年氷の面積が小さくなっており、AMSR-Eが観測することができない北極点(画像中央の黒い丸)の周辺までもが薄い氷で覆われている様子が伺い知れます。 このような多年氷域の減少は、北極海の海氷全体が年々薄くなってきていることを意味しています。そして、一旦薄くなってしまった海氷は、夏の気温上昇や風、海流など大気や海洋からの力学的・熱力学的な様々な要因の影響を受けやすくなり、さらに融解しやすい海氷状態へ拍車がかかります。上でご紹介したAMSR-Eの画像を見る限りでは、昨年夏に海氷面積が大きく縮小したように、今年の夏もさらなる縮小が起きる下準備ができあがっているようです。 JAXAでは、2002年5月のAqua衛星の打上げ以来、AMSR-Eが観測したデータを用いて北極海の海氷状態の推移を監視し続けています。例年、北極海の海氷面積の縮小は、9月の半ば頃まで継続します。今年も、注意深い観測が必要なようです。 なお、北極海の海氷密接度の最新画像および過去に観測された画像は、JAXAが米国アラスカ州立大学北極圏研究センター(IARC)に設置しているIARC-JAXA情報システム(IJIS)を利用した北極圏海氷モニター上で日々更新を行い、公開しております。
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