地球が見える 2007年
真夜中の太陽を眺める街、トロムソ、ノルウェー
図中央に見えるのがトロムソイヤ島(オイヤとはノルウェー語で島という意味です)、右側に見えるスカンジナビア半島ノルウェー本土のトロムソダーレン、そして周囲の島々を含め人口6万人ほどの街がトロムソです。 夏は、いわゆる白夜で一日中太陽が沈まず、深夜を過ぎても黄金色に光る真夜中の太陽(ミッドナイトサン)を、冬は逆に一度も太陽が昇らない「ポーラナイト」となり、オーロラを見に、大勢の観光客が一年中訪れます。 ミッドナイトサンは毎年5月21日ごろから7月21日ごろまで見ることができます。 トロムソイヤ島は氷河が島の両脇を削り、細長い楕円の島となっています。フィヨルドに囲まれ内海となっていることから波静かな天然の良港です。そのため古くから栄えてきました。 トロムソの街の中心はトロムソイヤ島にあり、ノルウェー本土のトロムソダーレンとは、長さ1,036mのトロムソ橋で結ばれています。橋を渡ったトロムソダーレン側にはトロムソのランドマークとなっている三角形の白い教会「北極教会」が建っています。トロムソの冬とオーロラをモチーフに作られており、高さ23m、面積140m2の三角形のステンドグラスはひと際目につきます。夏季にはミッドナイトコンサートが毎晩催されます。北極教会の隣には標高421mのストールタイネン山があり、ケーブルカーで登るとトロムソイヤ島やフィヨルドの海、水平線上の島々などがきれいに見えます。トロムソイヤ島の西にはトロムソ空港があり、ノルウェーの首都オスロや、地球科学研究・地球観測の前線基地であるスバルバード諸島のロングヤールビェン空港と接続しています。トロムソイヤ島の北東部には、トロムソ大学があり、北極圏・オーロラ研究の中心となっています。大学の中にはスキージャンプ台もあります。 トロムソは北極探検の際の寄港地としても有名で、1911年に人類初の南極点到達を成し遂げてノルウェーの英雄となっている探検家ローアル・アムンゼンが、ここトロムソから飛行機で旅立った後消息を絶っています。 トロムソイヤ島の南部中央に小さなプレストヴァネット湖が見えますが、夏の間は野鳥たちのパラダイスとなっています。そのほとりには、JAXAの地球観測衛星「だいち」のデータを受信しているノルウェーの宇宙機関の施設があります。JAXAの温室効果ガス観測技術衛星「GOSAT」等の地球観測衛星からのデータはスバルバードで受信されますが、この施設はそのデータを日本に伝送する際の中継拠点となる予定です。
ただ、ライフラインは充実しており、フィヨルドを越えて、電気はいたるところに延びています。図右にある大きな半島は、リンゲンアルプスと呼ばれ、フィヨルドから一気にそそり立つ1,800mもの急峻な山々が鏡のようなフィヨルド上にきれいな山々を映し出しています。夏季には、山の上に残っている雪渓から融けた水が滝となってあちこちから流れ落ちています。ここリンゲンアルプスは、一日かけて山登りをし、たった15分で下りてくるスキーのメッカでもあります。また、ワシの生息地でもあり、がけをあちこち飛び交っています。
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