地球が見える 2007年
太陽と月のピラミッド、テオティワカン
「太陽のピラミッド」は高さが65m、底辺が222m×225mあり、世界で三番目の大きさのピラミッドです。月のピラミッドは太陽のピラミッドに比べて18mほど低いですが、13mほど高台にあるので、頂上の高さはほぼ同じになっています。これはエジプトのギザの大ピラミッドとカフラー王のピラミッドの関係に似ています。 「死者の大通り」はなぜか真北から15度30分ほど東側に傾いています。これほどの巨大な整然とした都市を造ったティティワカン人がなぜ大通りの中心線をずらしたかは諸説あるようですが、何かしらそこには意図が働いたものと思われます。また、この大通りは巨大なプールであったという説もあります。テオティワカンにある神殿の多くは雨乞いのための神殿だということもあり、古代の人々が作った沙漠の中の貯水池というのもあながち夢物語ではないかもしれません。 大通りの南の端には一辺が45m、高さが7mの巨大で厚い壁に囲まれた「城塞」があります。城塞は後のスペイン人が名付けただけで、その用途はまだ明らかにされていません。城塞の中には、ケッツアル・コアトルのピラミッドがあります。このピラミッドは古代アメリカ時代の遺跡として最も保存状態が良くカラフルな塗料の跡が未だに残っているなど考古学的に貴重なものです。高さが22mあり、タルー・タブレロ様式と呼ばれるテオティワカン独特の建築様式で建てられ、翼を持つ蛇の水と農耕の神ケツアル・コアトルやもう一つの主神である雨の女神「トラロック」の頭部の彫像が数多くはめ込められています。 ケツアルとは鳥、コアトルは蛇の意味で、太陽と月のピラミッドもアステカ人が彼らの神話に登場する物語からつけたものです。 テオティワカン人がなんと呼んでいたかは現在のところまったくわかっていません。死者の大通りも、通り沿いの両側にいくつか並んでいる小山(実際には神殿の跡)をアステカ人が墓と勘違いしたために名付けられたものです。 テオティワカンは、文字通り神々の都市で一体誰が何のために築いたのか、どこへ消えたのか大きな謎とされていますが、最新の発掘調査によって、高度な天文学を保有していたことや、テオティワカン人の豊かな暮らしぶりなどが明らかになっています。古代都市テオティワカンは1987年に国際連合教育科学文化機関 (UNESCO)の世界文化遺産として登録されました。
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