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地球が見える 2007年

シルクロードに栄えた青の都、ウズベキスタン、サマルカンド

図1 サマルカンド周辺図
(全体画像)
図1は2007年6月に撮影されたウズベキスタン第二の都市、別名「青の都」と呼ばれるサマルカンドです。図中央の灰色の部分が市街地で、あいにく一部には白く雲がかかっています。雲の左上の濃い茶色部分はその陰です。図上方にはサマルカンド空港が見えます。日本はODA事業によりこの空港の施設整備に協力しています。図右上にはウズベキスタンの東の国タジキスタンからから流入するゼラフシャン川が見えます。この川から運河が引かれサマルカンド周辺は小麦畑や綿畑が広がっています。かつてこの川は中央アジアを流れる二つの大河の一つアム・ダリアの最大の支流でした。しかし灌漑に利用した結果、現在ではサマルカンド北西約300 kmからウズベキスタン西部の大半を占めるキジルクム沙漠の南で消失してしまいます。
サマルカンドの街は歴史的遺産が数多くある東側の旧市街とソビエト連邦時代の都市計画によってできあがった西側の新市街に分けられます。街の左半分が幾何学的に整然としていることが画像からも分かります。
サマルカンドは古くはソグド人の営むマラカンダという町で、シルクロードの重要なオアシス都市として紀元前10世紀ころから交易により発展してきました。文明の交差点とも呼ばれ、常にシルクロードの中心都市として栄えました。しかし1220年にチンギス・ハーンの攻撃を受けアフラシャブの丘に築き上げられた街は一瞬のうちに廃墟と化しました。そのサマルカンドを蘇(よみがえ)らせたのが一代の英雄ティムール(1336〜1405)です。彼はサマルカンドを彼の帝国の首都とするや、当時の美術・建築技術の粋を集めイスラム世界に名だたる都市に復興しました。街の中心には、ティムールはじめ王様が眠っているグル・エミール廟があります。

図2 レギスタン広場周辺の拡大図
(Google Earthで見るサマルカンド (kmz形式、1.52MB、低解像度版))
図3 アフラシャブの丘周辺の拡大図
図2、3の画像からは判別しづらいのですが、多くの歴史的建造物には青いドームがあります。このトルコ石色の青はティムールが好んだもので「サマルカンド・ブルー」と呼ばれ、「青の都」の由来となっています。
現在のサマルカンドはレギスタン広場を中心に開け、当時を彷彿とさせる歴史的建造物の多くはこの周辺に集中しています。レギスタン広場は三つのメドレッセ(イスラム神学校)で囲まれていることが画像からも分かります。レギスタン広場の北東にビビハニム・モスクが見えます。ビビハニムはティムールの妃の名で1404年に建造された壮大なモスクです。かつてはイスラム世界最大規模を誇りました。
その東方、図3では一部が薄い雲で覆われていますが茶色い部分が旧サマルカンド、アフラシャブの丘です。丘の南麓にはティムール王朝ゆかりの人々が眠るシャーヒ・ジンダ廟群が見えます。イスラム教徒の聖地のひとつで、ドームのついた霊廟が並び、その装飾の多様さ、美しさは中央アジア随一と言われます。丘の南東、図3中央にはここで発掘されたソグド人の壁画が展示されている歴史博物館が見えます。かつて交易を担ったソグド人たちの肖像、王に謁見する各国の使節、人々の生活の様子などがリアルに描かれています。
アフラシャブの丘東方にウルグベク天文台跡が見えます。ティムールの孫で帝国の第4代統治者であったウルグベクは、政治外交上の手腕も高く、諸文化に対しても深い理解と援助を惜しまない非凡な施政者でしたが、それとともに彼自身は科学者であり、当時世界でも十指に入る著名な天文学者でした。ここは彼が星を観測していた場所で、高さ40 m、長さ63 mの巨大な六分儀を3階建てのドームが取り囲んでいたと言われます。ここでの観測をもとに、彼は1年間を誤差1分以内という驚くべき精度で算出しました。なお、前述の三つのメドレッセのうちの一つがウルグベクが建造したウルグベク・メドレッセです。
サマルカンド‐文化交差路」は2001年に国際連合教育科学文化機関 (UNESCO)の世界文化遺産として登録されました。



観測画像について:
(図1〜図3)
観測衛星: 陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)
観測センサ: パンクロマチック立体視センサ(PRISM)及び高性能可視近赤外放射計2 型(AVNIR-2)
観測日時: 2007年6月1日6時29分頃(世界標準時)
地上分解能: 2.5m(PRISM)、10m(AVNIR-2)
地図投影法: UTM(ユニバーサル横メルカトール)
PRISMは地表を520〜770 ナノメートル(10億分の1メートル)の可視域から近赤外域の1バンドで観測する光学センサです。得られる画像は白黒画像です。前方、直下、後方の観測を同時に行いますが、ここでは直下視の画像を使っています。
AVNIR-2は、衛星進行方向に直交する方向に観測領域を変更するポインティング機能を持っていて、4つのバンドで地上を観測します。このうち、バンド1 (420〜500ナノメートル)、バンド2 (520〜600ナノメートル)とバンド3 (610〜690ナノメートル)を青、緑、赤色に割り当てカラー合成したAVNIR-2画像を「色相(Hue)」、「彩度(Saturation)」、「明度(Intensity)」に変換(HSI変換)し、明度をPRISM画像で置き換えて再合成することで見かけ上、地上分解能2.5mのカラー画像を作成することができます。
図2と3は、このように高分解能の白黒画像と低分解能のカラー画像を組み合わせて合成された高分解能のカラー画像、つまりパンシャープン画像です。この組合せでは、肉眼で見たのと同じような色合いとなり、次のように見えています。

黄土色、茶色: 裸地
緑色: 農地
青っぽい灰色: 市街地、道路
濃紺: 水面
白:
図1は上記パンシャープン画像の元となったAVNIR-2画像を示しています。

関連サイト:
ALOS 解析研究ページ
西遊記の世界、火焔山
縮小を続ける沙漠の海:アラル海
地球が見える 陸地・地形
本文ここまで。
画像:人工衛星の情報を掲載 サテライトナビゲーター
画像:衛星利用の情報を発信 衛星利用推進サイト
画像:衛星から見た地球のデータ集
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