地球が見える 2006年
南極海の海氷変動
図1はNASAの地球観測衛星Aquaに搭載されているJAXAの改良型高性能マイクロ波放射計AMSR-Eが捉えた南極海の海氷のこの一年間の変化の様子をアニメーションで示したものです。 図では観測された海氷を白色で表し、海の部分を濃い青、陸(ロス棚氷など陸氷の海上への張り出しを含む)の部分を灰色で表しています。 北極では、1年のうち9月頃に海氷面積が最も小さくなりますが、南極では南半球の秋にあたる3月頃に最小となることが分かります。
これほどまでに、南北両極域の海氷の挙動が異なるのはなぜでしょうか。詳しい原因はまだはっきりしていませんが、気候が温暖化すると、海に浮かぶ氷自体は融けやすくなりますが、一方で降水(雪)量が増加して海氷を厚くするといわれています。南極海の海氷面積のかすかな増加傾向は、温暖化しているといわれる地球の気候システムのなかで、微妙なバランスを保っている天秤の一つとして、気候形成の複雑さや理解することの難しさを私たちに教えてくれています。 JAXAではこれからも衛星観測を通じて地球環境変動の観測を続けて行きます。
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