地球が見える 2006年
PALSARのスキャンサー・モードで見た流氷と北海道周辺
図1の上部には北海道の大部分が捉えられ、図の左上には札幌の市街地が明るく見えています。図の下の方は三陸沖から茨城沖の太平洋です。 図1を詳細に見ると以下のように、PALSARの高いSNを有するスキャンサー・モードでの観測によって、海面の観測がかなり詳細に行えることや、昼夜の別なく、また天候に左右されずに日本近海の流氷観測が行えることが確認されました。 ・流氷(領域A) 北海道のオホーツク海沿岸では、例年12月から4月にかけて、流氷が押し寄せます。流氷の中や下では植物プランクトンが大量に発生して、良好な漁場の形成に一役買いますが、船舶の安全航行上、問題となるので、日本では海上保安庁が航空機、衛星画像を用いて観測を行っています。 流氷の表面はざらざらしており、合成開口レーダ(SAR)で見るとやや明るく見えます。衛星方向にほとんど電波を返してこない海面に比べて、流氷は明るいことから、SAR画像で比較的容易に見分けることができます。特に、LバンドSARでは他の波長のSARに比べて明るく見えます。この画像が取得されたのは4月18日で、北海道沿岸の流氷はほぼ消え、その代わりサハリンのアニワ岬の沖を漂う様子が確認できます。
・海面の高温域と低温域(領域B及びC) 北海道の南の海上に目を移しましょう。PALSARの電波の入射角は画像の左から右にかけて大きくなります(左端は18°、右端は43°)。右に行くほど暗くなるのは海面の反射係数が徐々に小さくなるからで、いわば当たり前です。しかし、いずれも左端なのにB域は白く、C域は黒く見えます。
・フロント(領域D) ここでは何らかの境目が明瞭に確認できます。このような境目ができる要因としては、波の分布の差、海面水温の差などが考えられますが、まだよく分かっていません。 ・船舶(領域E)
・陸域(領域F)
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