地球が見える 2005年
ミシシッピー・デルタの都市:ルイジアナ州ニューオーリンズ
図1はGLIが2003年4月に捉えたミシシッピー川流域です。黄緑色は農地や草原等、緑色〜濃緑色は森林、黒や紺は川や湖、海などの水面、赤紫色は裸地や市街地などの非植生地域、白や水色は雲を表しています。 ミシシッピー川が図1上から蛇行しながら右下の方まで流れ、メキシコ湾に注いでいます。河口近くでは、緑色の管の中を川が流れているように見えており、最後のところでタコが足を広げたように支流が四方八方に延びて、周辺は紺色に見えています。これは、ミシシッピー川が運んできた大量の土砂が堆積し、巨大なデルタ地帯を作り出してきたことを示しています。 2005年8月末にこの地域を襲ったハリケーン「カトリーナ」はニューオーリンズとミシシッピー州ビロクシのすぐ近くを通過したため、ニューオーリンズでは高潮によって脆弱な堤防が決壊し、浸水による大きな被害を受けました。ビロクシでは強い南風が吹いて高潮の被害をもたらしました。
図2は日本の地球資源衛星1号に搭載された光学センサが1993年11月に捉えたニューオーリンズとその周辺です。図中央にはポンチャートレイン湖、右にボーニュ湖が見えています。左下から蛇行しながら下に流れているのがミシシッピー川です。ニューオーリンズの市街地はポンチャートレイン湖とミシシッピー川に挟まれた所にあります。この辺り一帯はミシシッピー川のデルタ地帯で、河口はここからさらに約130 km南東の所にあります。ニューオーリンズの市街地の周辺には黒っぽく見えるところが多く、湿地帯が広がっていることが分かります。 ポンチャートレイン湖の南岸と北岸を結ぶ灰紫色の直線はレイク・ポンチャートレイン・コーズウェイで、全長38.4 kmの世界一長い橋です。2車線の道路幅を持つ2本の並行する橋で、1969年に開通しました。また、東側には長さ8.6 kmの州際高速道路10号線の橋も見えています。この橋は、2005年8月末のハリケーン「カトリーナ」により大きな被害を受けました。 フレームAはニューオーリンズ市街地を拡大したものです。左にルイ・アームストロング・ニューオーリンズ国際空港が、右上にニューオーリンズ湖岸空港が見えています。右の白い円はルイジアナ・スーパードームでアメリカン・フットボール、野球、バスケットボールなどの試合が行われます。最大7万9000人以上の観客を収容できる世界最大級の屋内競技場です。スーパードームの東側はビジネス街になっていて、濃い影を伴う高層ビルがいくつか見えています。そのすぐ東側の黒っぽいところはフレンチ・クォータと呼ばれる繁華街で、古いフランス風の町並みを残しています。その近くのミシシッピー川沿いに、米国で7番目に大きな会議施設、展示施設などを持つコンベンション・センターが見えます。また、スーパードームの北には市民公園や競馬場も見えます。 フレームBはNASAミシュー組立工場の周辺を拡大したものです。スペースシャトルの外部燃料タンクを組み立てるための巨大な建物が運河のすぐそばにあることが分かります。組み立てられた外部燃料タンクはここからフロリダ州のケネディ宇宙センターまで海上輸送されます。この工場もハリケーン「カトリーナ」により屋根の一部が壊れるなどの被害を受け、ここで働くNASA職員と契約会社の社員の多くが家を失ったと考えられており、今後のスペースシャトル計画への影響が懸念されます。 近々、打上げ予定の陸域観測技術衛星(ALOS)には地上分解能10mの高性能可視近赤外放射計2型(AVNIR-2)などが搭載されるので、より鮮明な最新の画像をお届けできる予定です。 被災された方々にお見舞い申し上げるとともに、被災地の一日も早い復興をお祈りいたします。
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