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地球が見える 2005年

巨大氷山B-15A、氷の岬を砕く

図1 AMSR-Eが捉えた巨大氷山B-15A
アニメーションはこちら(3.55Mbytes QuickTime形式)

今年(2005年)4月、南極ロス海で巨大氷山が氷の岬に激突しこれを砕くという事件がありました。
この衝突前後の氷山の動きを米国の地球観測衛星Aquaに搭載された日本の改良型高性能マイクロ波放射計AMSR-Eが捉えていました。

図1の左下の紺色の部分はロス海、左上の白いところはロス棚氷、右側の白い部分はビクトリアランドです。図1の上が南極点の方向で、下の方向が北です。図1の中央にある巨大氷山B-15Aがロス海沿岸をゆっくり北上する様子がわかります。B-15Aは4月10日〜15日頃にかけ海岸から張り出した氷の岬、ドリガルスキー氷舌に衝突し、これを砕きました。衝突の後、離岸したB-15Aは以後海岸沿いにゆっくりと北上を続けています。この他、ロス棚氷の沿岸でくるくると回転し続ける四角いB-15Jの姿も確認することができます。

B-15Aは以前の記事(2003年6月掲載「巨大氷山の行方」)でも触れましたが、2000年3月にロス棚氷(氷河が海の上に張り出したもの)の先端が砕けて生まれた氷山です。
氷山の名前のB-15は、南極大陸のB象限(南極点を中心とする西経90度から西経180度までの範囲)で生まれた15番目の氷山という意味で、氷山が分裂するとその破片をおのおの-A、-Bというようにアルファベットを付けて区別します。B-15AはもとB-15であった氷山の破片の中で最大のものということになります。

図2 南極大陸の図(「巨大氷山の行方(続き)」の図3)

B-15Aは2000年に生まれた後、湾内の時計回りの海流に乗ってロス棚氷沿いにゆっくりと西に移動、東経170度付近の氷山C-16に接触し以後長らくその場に留まり続けていました。留まっていた理由は、この付近の水深が浅めで氷山が海底に引っかかりやすい(座礁しやすい)こと、海流によりC-16にB-15Aが押し付けられる形になっていたこと、そしてロス海沿岸が冬季になると流氷のため氷結し氷山が身動きできなくなるためだと考えられます。

分裂を繰り返し小さくなっているとはいえ、B-15Aは依然として全長約120km、全幅約30km (沖縄本島を3倍太くしたくらいの大きさ)を維持しています。B-15Aは今後も北上を続け、やがては以前紹介したC-19のように湾外へと移動していくと予想されています。氷山はその周辺の海水を冷やすことから周囲の環境に大きな影響を与えるため、ペンギンの営巣地に近づくとペンギンの生態に悪影響を与えるのではないかと懸念する研究者も居ます。JAXAではこれからも衛星観測を通じてこのような氷山の動向を捉えていく予定です。



観測画像について:
(図1)
観測衛星: 地球観測衛星Aqua(NASA)
観測センサ: 改良型高性能マイクロ波放射計 AMSR-E (JAXA)
観測日時: 2005年3月1日〜6月13日(世界標準時)
(図2)
観測衛星: 環境観測技術衛星「みどり-II」(ADEOS-II)
観測センサ: グローバルイメージャ(GLI)
観測日時: 2003年5月25日(世界標準時)
図1はAMSR-Eの6つの周波数帯のうち、空間分解能の高い89.0 GHz帯の垂直偏波(V)を赤と緑に、36.5 GHz帯の垂直偏波(V)を青にそれぞれ割り当てて合成した画像です。89.0 GHz帯の空間分解能は5 km、36.5 GHz帯のそれは14 kmです。図2はGLIの36の観測チャンネルのうち地表面、海表面や雲の温度を観測するためのチャンネル35 (10.3〜11.3μm)の分光輝度値を示す単色画像です。元データの空間分解能は1 kmです。 温度の高いところが明るく、温度の低いところが暗く見えています。

関連サイト:
巨大氷山の行方(続き)
巨大氷山の行方

本文ここまで。
画像:人工衛星の情報を掲載 サテライトナビゲーター
画像:衛星利用の情報を発信 衛星利用推進サイト
画像:衛星から見た地球のデータ集
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