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陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)によるハイチ大地震の経過観測

2010年1月13日(水)午前6時53分頃(日本時間,以下同じ)に中米のハイチでマグニチュード(M)7.0、震源の深さ約10kmの大地震が発生し、建物倒壊などにより大きな被害が出ました。宇宙航空研究開発機構(JAXA)ではその後の復興状況の把握を目的として、2010年5月13日(木)0時32分頃に陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載のパンクロマチック立体視センサ(プリズム)と高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー)による観測を実施しました。

図1は今回観測したハイチの首都ポルトープランスの西側の様子を示したものです。白く見えるのは雲ですが、震源近くにある市街地(Carrefour)上空には雲がなく、地上の様子を確認することができました。アブニール・ツーのバンド3, 2, 1を使ったトゥルーカラー合成画像で表示しており、人の目で見た色に近くなっています。
図1: 2010年5月13日に観測したアブニール・ツー画像
図1: 2010年5月13日に観測したアブニール・ツー画像
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取得日時: 2010年5月13日 0時32分頃(日本時間) ポインティング角度: 0°、黄枠: 図2~図4の拡大画像の範囲

図2~4は2010年5月13日観測と地震発生から約2ヶ月後の2010年3月28日観測のプリズムとアブニール・ツーから作成されたパンシャープン画像*を比較したものです。図2左の画像上で赤枠をつけた箇所は、それぞれ学校(上の赤枠)と病院付近と思われる場所(下の赤枠)です。いずれの場所でも3月28日には見られなかった建物らしきものが増えていることが分かります。
図2: 学校と病院と思われる場所の拡大(それぞれ750m四方)
図2: 学校と病院と思われる場所の拡大(それぞれ750m四方) 左:災害後(2010年5月13日), 右:災害前(2010年3月28日)
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図3は図2から約5.6km西側の町の拡大画像です。ここでも新たに建物らしきものが増えている様子が分かります。

図4は図2から約8km西側にある港の拡大画像です。埠頭らしきものが新たに建設された様子が分かります。
図3: 図2の位置から約5.6km西側の拡大(それぞれ750m四方)
図3: 図2の位置から約5.6km西側の拡大(それぞれ750m四方) 左:災害後(2010年5月13日), 右:災害前(2010年3月28日)
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図4: 図2の位置から約8km西側の港の拡大(それぞれ750m四方)
図4: 図2の位置から約8km西側の港の拡大(それぞれ750m四方) 左:災害後(2010年5月13日), 右:災害前(2010年3月28日)
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JAXAでは今後も当該地域を継続して観測する予定です。

* プリズムとアブニール・ツーによるパンシャープン画像

プリズムとアブニール・ツーによるパンシャープン画像とは、2.5mのものが識別できる能力(地上分解能)を持つプリズムと、地上分解能10mですがカラー情報を持つアブニール・ツーを用いて、擬似的に地上分解能2.5mのカラー画像にしたものです。

JAXA EORC