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陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)によるハイチ地震にともなう緊急観測

2010年1月13日(水)午前6時53分頃(日本時間、以下同じ)に中米のハイチでマグニチュード(M)7.0、震源の深さ約10kmの大地震が発生し、大きな被害が出ています。宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)では1月14日(木)午前0時18分頃に陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載の高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー)による緊急観測を実施しました。

図1は1月14日に観測したアブニール・ツーの全体画像です。白く見えるのは雲ですが、ハイチの首都ポルトープランスは雲もなく良好な画像を取得することができました。
図1: 2010年1月14日に観測したアブニール・ツー画像
図1: 2010年1月14日に観測したアブニール・ツー画像
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観測日時: 2010年1月14日 午前0時18分頃 センサ: AVNIR-2(アブニール・ツー) ポインティング角度: -26° 黄枠:図2拡大画像の範囲

図2はポルトープランス市付近の約14km四方を拡大した画像で左は本日、右は地震前の2007年6月3日に観測されたものです。また、図3は報道でも被害が報じられている大統領宮殿付近の約3km四方を拡大したものです。
図2: ポルトープランス付近の拡大(それぞれ約14km×14km)
図2: ポルトープランス付近の拡大(それぞれ約14km×14km) 左: 本日観測(2010年1月14日)、右: 地震前観測(2007年6月3日)
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図3を見ると、画像の中央より左側の市街地は地震後白っぽく見えています。これは建物に被害が発生している箇所を示していると考えられます。

通常、宇宙から撮影した光学画像で地震にともなう建物倒壊等の被害状況を判読するのは容易ではありません。建物等に被害が発生していたとしても、宇宙から見ると地震の前後で同じように屋根が見えることが多いためです。今回、地震前後の画像の比較で市街地の変化を確認することができたのは、被害が非常に大きいことが示唆されます。
図3: ハイチ大統領宮殿(黄色丸)付近の拡大(それぞれ約3km×3km)
図3: ハイチ大統領宮殿(黄色丸)付近の拡大(それぞれ約3km×3km) 左:本日観測(2010年1月14日)、右:地震前観測(2007年6月3日) 赤枠は建物倒壊等被害が発生していると考えられる箇所
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図4は図3の地震前後の画像をアニメーション表示したもので、約1秒間隔で2010年1月14日と2007年6月3日の画像が切り替わります。図4を見ると、図3で示した被害が発生していると考えられる箇所がより明確に分かります。
図4:ハイチ大統領宮殿付近の拡大画像のアニメーション
図4:ハイチ大統領宮殿付近の拡大画像のアニメーション (約1秒間隔で2010年1月14日と2007年6月3日の画像が切り替わります)

取得された画像は、国際災害チャータを通じて関係機関へ提供されました。

JAXAでは今後も当該地域を継続して観測する予定です。

JAXA EORC