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地球が見える 2011年

ラニーニャ現象の終息?

 地球観測研究センターでは、改良型高性能マイクロ波放射計AMSR-E(注1)によってエルニーニョ/ラニーニャ現象の監視を継続的に行っています。図1は、2003年から現在までのエルニーニョ監視海域(ペルー沖の東太平洋、注2)の海面水温の平年値からの偏差の推移を示したものです。これによると、2010年の春から続いていた監視海域の低温傾向が終わりつつあることが見て取れます。このような低温傾向はラニーニャ現象と呼ばれ、昨夏の日本での猛暑と関係していた可能性があります(注3)。気象庁も、エルニーニョ監視速報第223号(2011年4月11日)で「昨年夏から発生していたラニーニャ現象は春のうちに終息し、夏は平常の状態が続く可能性が高い。」と発表しています。東日本の電力不足が懸念される中、これにより少しでも涼しい夏となるよう願うものです。

エルニーニョ監視海域における海面水温の平年値からの偏差
図1 エルニーニョ監視海域における海面水温の平年値からの偏差
高温傾向(赤色)がエルニーニョ、低温傾向(青色)がラニーニャに対応しています。

 注1)
JAXAが開発し、NASAの地球観測衛星Aquaに搭載した世界最高性能のマイクロ波放射計。2002年の打上げ以来、継続して全世界のデータを取得し、海面水温、降雨、土壌水分、北極海の海氷などの観測に用いられています。

 注2)
図2と図3はAMSR-Eから算出した海面水温の平年偏差の分布で、図中黒枠の領域がエルニーニョ監視海域です。図2は2010/11年ラニーニャ現象の最盛期(2010年11月)、図3が今年の4月の状況です。図3では顕著な低温偏差は見られなくなりました。
2010年夏の猛暑の事例からも明らかなように、エルニーニョ/ラニーニャは日本や世界の天候に与える影響の大きい現象です。また、エルニーニョ監視海域だけでなく、インド洋熱帯域や西太平洋熱帯域の海面水温の変動も日本の天候に影響を及ぼすことが知られています。今後とも衛星を含む様々な観測手段によって海洋や大気の監視を続けていくことが重要です。

AMSR-Eで観測した海面水温の平年偏差分布
図2 AMSR-Eで観測した海面水温の平年偏差分布
(2010年11月1日〜2010年11月5日の5日平均)


AMSR-Eで観測した海面水温の平年偏差分布
図3 AMSR-Eで観測した海面水温の平年偏差分布
(2011年4月1日〜2011年4月5日の5日平均)

 注3)
昨年(2010年)の夏(6〜8月)は日本各地で記録的な猛暑となった他、ヨーロッパからロシア西部をはじめとする北半球中緯度の多くの地域で顕著な高温となりました。北半球中緯度の対流圏の気温が高くなった要因の一つとしてエルニーニョ/ラニーニャ現象が関係していたと考えられています。
気象庁異常気象分析検討会の見解によりますと、対流圏の気温は、エルニーニョ現象終了後に全球的に上昇し、高い状態が数カ月続くことがわかっています。また、ラニーニャ現象が発生している夏は、北半球中緯度の気温が高くなる傾向があります。2010年は、春にエルニーニョ現象が終息し、夏にラニーニャ現象が発生しました。このため、エルニーニョ現象終了後の昇温効果とラニーニャ現象が発生したことによる影響が合わさり、2010年夏の北半球中緯度の気温が非常に高くなった可能性があります。ただし、北半球中緯度対流圏の気温は長期的に上昇しており、これには地球温暖化が関係している可能性があります。また、日本の猛暑については、勢力の強い太平洋高気圧の影響を受けたことも主因です。



観測画像について



観測衛星: 地球観測衛星Aqua(NASA)
観測センサ: 改良型高性能マイクロ波放射計AMSR-E (JAXA)
観測日時: 2010年11月1日〜2010年11月5日(図2)
2011年4月1日〜2011年4月5日(図3)
本文ここまで。
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