地球が見える 2010年
天下の険、箱根
図1 箱根とその周辺
図1は、ALOS(だいち)が2010年2月に撮影した箱根とその周辺の画像です。箱根の火山は約40〜50万年ほど前に活動を開始し、20万 年ほど前に中央部が陥没、巨大な円形の凹地(カルデラ)ができました。箱根のカルデラは直径が約10 kmあり、陥没から取り残された周囲の山並み(外輪山)が画像からも見て取れます。 図2 箱根の山頂部
(Google Earthで見る箱根の山頂部(kmz形式、4.85 MB低解像度版)) 図2は箱根の山頂部の拡大画像です。画像いっぱいに丸く広がる山並みから、山頂部が大きなカルデラ地形になっていることが見て取れます。中央の部分に残っている火口丘*、凹みに形成されたカルデラ湖**等はカルデラ内の特徴的な地形です。この様な自然の景観に加え、古くからの温泉地であり、観光施設やゴルフ場が多く建設されています。画像は2月に撮影されているため、平らな部分は雪が残って白く見えています。画像の左上に見える白い部分の多くは雪で覆われたゴルフコースです。 * 火口やカルデラの内側にできる小火山体(神山や駒ケ岳等) 図3 箱根町の拡大画像
![]() 天下の険 箱根は、富士山東南の方向に相模湾との間に位置し、東海道の難所として知られていました。"箱根の山は天下の険"と、「箱根八里」(滝廉太郎作曲の歌曲)で歌われています。近代においても、東海道本線は箱根の南側を、東名高速道路は箱根の北側を回り込んで通っています。江戸時代の箱根の関所は、"出女、入り鉄砲"と称されるような厳しい監視*が行われていました。芦ノ湖の南、箱根町に関所跡があります。 * 特に、江戸に鉄砲を持ち込まなせない、そして人質となっている大名の妻たちが江戸から逃げ出さないよう監視が行われ、江戸幕府への反抗を取り締まっていました。 図4 大湧谷周辺の拡大画像
![]() 大湧谷図4は、火山丘の北側にある大涌谷周辺の拡大画像です。中央のくぼんで見える部分が大涌谷で、神山の北斜面で起きた大規模な爆発により山の一部が崩壊してできました。今も水蒸気と硫化水素の混じったガスが噴き出しています。東側の早雲山(そううんざん)駅と西側の桃源台(とうげんだい)駅を結ぶロープウェイがかかり、途中の大涌谷駅で乗り換えになっています。大涌谷駅で下車すると、噴煙を間近に見ることができます。 観測画像について![]()
AVNIR-2 は、4つのバンドで地上を観測します。図は、いずれも可視域のバンド3(610 〜 690ナノメートル)、バンド2(520〜600 ナノメートル)とバンド1(420〜500ナノメートル)を赤、緑、青に割り当てカラー合成しました。この組合せでは、肉眼で見たのと同じ色合いとなり、次のように見えています。
(図2〜4) |