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地球が見える 2010年

夏の観光のメッカ、黒部ダム

富山県とその周辺
富山県とその周辺
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図1 富山県とその周辺

 図1はALOS(だいち)が2009年10月に撮影した富山県とその周辺画像です。約110万の人口を抱える富山県は、北は豊かな漁場である富山湾(日本海)に面し、東、南、西の三方は飛騨山脈をはじめとする山々に囲まれています。
富山湾は日本海に分布する約800種の魚のうち約500種が生息し、中でもブリやホタルイカ、シロエビが豊富に穫れる水産資源の宝庫です。水深が深く、春と冬にはよく蜃気楼が発生することでも知られています。
東部に連なる飛騨山脈は、通称北アルプスと呼ばれ、その主要部分は中部山岳国立公園に指定されています。特別天然記念物のライチョウやさまざまな高山植物が見られるほか、「名水百選」、「平成の名水百選」のそれぞれに県内から4か所が選ばれるなど、美しい自然の姿を保っています。

黒部湖周辺
黒部湖周辺
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図2 黒部湖周辺
(Google Earthで見る黒部湖周辺(kmz形式、5.07 MB低解像度版))

難工事の末に完成した黒部ダム

 飛騨山脈を南に下っていくと、険しい山脈の中に黒部湖がエメラルド色に輝いて見えます(図2)。黒部湖は、黒部ダムにせきとめられてできた人工湖で、ダムの高さは日本一の186 m、堤頂長492 m、総貯水量は約2億立方メートルと、日本国内はもちろん、世界でも有数の規模を誇ります。ダムによって貯えられた水は、黒部川第四発電所の水力発電用に供給されています。
スケールもさることながら、黒部ダムがよく知られているのは、難儀をきわめたその建設エピソードにあります。
 第二次世界大戦の敗戦から10年が経過するころ、日本の産業は復興を遂げ、さらに成長するきざしを見せていました。しかし、産業の発展に伴って、関西地方では慢性的な電力不足に陥り、頻繁な停電に悩まされていました。
そこで1956(昭和31)年、関西電力は立山・黒部におけるダム建設に着手します。このプロジェクトには、当時の最先端技術と持てる知識が注がれましたが、峻険な地形と厳しい気象条件により工事はなかなかはかどりません。工事途中で多数の死者を出すほどに困難をきわめたこの大事業は、延べ1000万人の努力と7年におよぶ歳月、そして総工費513億円を費やして、1963(昭和38)年にようやく完成しました。
黒部ダム建設時の数々の壮絶なエピソードは、「世紀の大事業」として未だに語り継がれ、映画やテレビドラマ、ドキュメンタリー番組など、さまざまな形で映像化されています。

観光客でにぎわう夏の黒部峡谷

 黒部川の中流から上流にかけての流域には、黒部峡谷と呼ばれる険しい峡谷が広がっています。雪融け水が豊富で水量が多く、流れの速い黒部川の浸食作用によってできた絶壁が続く峻険な地形で、容易に人を寄せ付けないことから、日本の秘境100選に選定されています。
しかし、峡谷の一部は、多数の観光客が訪れる有数の観光地にもなっています。5月から11月までは、宇奈月温泉と欅平(けやきだいら)の間の約20 kmを結んでトロッコ列車が走る黒部峡谷鉄道が運航しています。列車は22の橋と41のトンネルを通り、乗客に雄大な大自然の風景を楽しませてくれます。沿線に点在する河原の温泉も人気があります。
また、黒部ダム建設時に作られた工事用通路は、立山黒部アルペンルートとして一般に開放されています。立山黒部アルペンルートは、富山県立山町の立山駅と長野県大町市の扇沢駅との間の約90 kmをケーブルカー、高原バス、トロリーバス、ロープウェイなどで結ぶ山岳観光ルートです。図2の中で主なポイントを4倍に拡大表示しました。
このルートの途中では、黒部ダムの堤上を徒歩で歩きます。観光シーズンである6月26日から10月15日までは、黒部ダムから放水が行われます。コンクリートのアーチ式ダムから、毎秒10立方メートル以上もの水が、水煙を上げ、谷をとどろかせながら黒部川に吸い込まれていきます。
大自然と人工のダムが見事に融合した風景が、訪れる人々の心を癒してくれるようです。



観測画像について

観測衛星: 陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)
観測センサ: 高性能可視近赤外放射計2 型(AVNIR-2)及び
パンクロマチック立体視センサ(PRISM)
観測日時: 2009年 10月15日10時46分頃(日本時間)(AVNIR-2、PRISM同時観測)
地上分解能: 10 m(AVNIR-2)および2.5 m(PRISM)
地図投影法: UTM(ユニバーサル横メルカトール)

AVNIR-2 は、4つのバンドで地上を観測します。図は、いずれも可視域のバンド3(610 〜 690ナノメートル)、バンド2(520〜600 ナノメートル)とバンド1(420〜500ナノメートル)を赤、緑、青に割り当てカラー合成しました。この組合せでは、肉眼で見たのと同じ色合いとなり、次のように見えています。

濃緑: 森林
明るい黄緑: 草地
茶色: 裸地
青: 水域
白: 人工構造物、雲、雪

 PRISMは地表を520〜770 ナノメートル(10億分の1メートル)の可視域から近赤外域の1バンドで観測する光学センサです。得られる画像は白黒画像です。前方、直下、後方の観測を同時に行いますが、ここでは直下視の画像を使っています。
AVNIR-2の、バンド3 (610〜690ナノメートル)、バンド2 (520〜600ナノメートル)とバンド1 (420〜500ナノメートル)を赤、緑、青色に割り当てカラー合成したAVNIR-2画像を「色相(Hue)」、「彩度(Saturation)」、「明度(Intensity)」に変換(HSI変換)し、明度をPRISM画像で置き換えて再合成することで見かけ上、地上分解能2.5 mのカラー画像を作成することができます。図2はこのように高分解能の白黒画像と低分解能のカラー画像を組み合わせて合成された高分解能のカラー画像、つまりパンシャープン画像です。

本文ここまで。
画像:人工衛星の情報を掲載 サテライトナビゲーター
画像:衛星利用の情報を発信 衛星利用推進サイト
画像:衛星から見た地球のデータ集
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