地球が見える 2010年
水没の危機に直面するツバル諸島
図1 ツバル諸島のフナフチ島
図1は、2009年1月18日にALOS(だいち)が撮影した、ツバル諸島のうちの最大のフナフチ環礁です。南北約25 km、東西約18 kmの礁湖のまわりを小島が囲んでいるのが分かります。その中で最大の島は右端にあるフナフチ島で、ここに首都フナフチがあります。 図2 フナフチ環礁の拡大図
(Google Earthで見るフナフチ環礁(kmz形式、3.04 MB低解像度版)) 図2はフナフチ環礁の拡大図です。東端のフナフチ島が折れ曲がったところが首都フナフチで、ツバル唯一の空港があります。実際には、舗装された少し広めの道路が一本あるだけで、照明や誘導灯の類はありません。フィジーの首都スバと結ぶ航路を、エア・パシフィックが週2便運行しています。普段の滑走路は、島内唯一の広場であることから、島民の憩いの場であり、サッカーの練習場にもなっています。 ツバルの経済諸島全体で、1万人程度が生活していますが、水は雨水を利用しています。天然資源がほとんどないため、国家財政の収入は、出稼ぎ船員等からの海外送金が主となっています。財政赤字をツバル信託基金(ツバル、イギリス、オールトラリア、ニュージランドの拠出により1987年に設立)の運用益で補てんしています。また、漁業協定によるアメリカ政府からの支払い、さらにインターネットのドメインコード「ドットTV(.tv)」を貸与して使用権収入を得ていますが、世界経済の低迷で厳しい運営を迫られています。 水没の危機海水面が上昇すると水没の危機に見舞われる国には、キリバス共和国(南太平洋)、モルディブ(インド洋)がありますが、ツバルもその1つです。満潮時には、地面から水が湧き出して住居や道路が浸水する現象が起きています。その原因は、飛行場建設の際に掘り起こして出来たくぼみからの湧水、低い土地に人が住むようになったこと、生活排水による汚染で砂を形成する有孔虫が激減したこと、などが指摘されています。しかし、ツバルでは、一番水面から高いところでも4.5 mしかないため、海水面の上昇の影響を一番受けやすい国とみなされています。このためニュージランドへの移民も行われています。我が国も、海岸保全、防災、代替エネルギーといった分野で協力を実施しています。 観測画像について
AVNIR-2 は、4つのバンドで地上を観測します。図はAVNIR-2の、バンド3 (610〜690ナノメートル)、バンド2 (520〜600ナノメートル)とバンド1 (420〜500ナノメートル)を赤、緑、青色に割り当てカラー合成したものです。この画像では、肉眼で見たのと同じ様な色合いとなり、次のように見えています。
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