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地球が見える 2010年

世界最大の落差を誇る滝、エンジェル・フォール

 科学技術が発達した今日、人類の踏査は世界のすみずみまで及んでいると思われがちです。しかし、地球上には、まだまだ人間が足を踏み入れることが困難な秘境があります。南アメリカ大陸のギアナ高地は、その代表格と言えるでしょう。

エンジェル・フォールとその周辺画像
エンジェル・フォールとその周辺画像
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図1 エンジェル・フォールとその周辺画像

図1は、ALOS(だいち)が2009年12月に撮影したエンジェル・フォールとその周辺画像です。コロンビア、ベネズエラ、ガイアナ、スリナム、フランス領ギアナ、ブラジルと、6つの国と地域にまたがるギアナ高地は、面積およそ3万平方kmと、日本の関東地方に匹敵するほどの広大な範囲にわたる高地です。ギアナ高地の地形で特徴的なのは、ジャングルの海に浮かぶ島のように100余りも点在するテーブルマウンテンです。図1中央の濃い緑と濃い茶色の部分はその一つで、現地の言葉ではテプイと呼ばれます。雨などの侵食作用によって大地が削られ、硬い岩盤が残った地形で、周囲は高さ1,000 mほどの絶壁になっています。
ギアナ高地を構成する岩石はたいへん古く、約20億年前にできたと考えられています。また、年間降水量が4,000 mmを超える世界有数の多雨地域です。図1でも、ギアナ高地の上空に浮かぶたくさんの雲が見えます。
テーブルマウンテンは、それぞれに孤立しており、生物たちが独自の進化をとげてきました。ほかでは見られない固有種も多く、まだ発見されていない生物種も多いと考えられています。名探偵シャーロック・ホームズの産みの親であるコナン・ドイルは、神秘的なギアナ高地から着想を得て、この地に恐竜が生き残っていたと想定した『ロスト・ワールド(失われた世界)』という小説を書いていますが、テーブルマウンテンはそんな想像もまんざらではないと思わせるたたずまいです。
テーブルマウンテンの周囲の絶壁からは、豊富な水が滝となって落ちています。その中で、もっとも落差の大きい滝がエンジェル・フォールです。エンジェル・フォールがあるのは、ベネズエラ領のアウヤン・テプイというテーブルマウンテンです。アウヤン・テプイは、ギアナ高地のテーブルマウンテン中、最大のもので、周囲およそ700 km、頂上部の面積は、東京23区ほどもあります。画像に写るアウヤン・テプイとエンジェル・フォールですが、通常は雲が多く、これほど明瞭に撮影されたのは非常にまれなことです。
この滝を含むカナイマ国立公園は、1994年に世界遺産に登録されました。

エンジェル・フォールの拡大画像
エンジェル・フォールの拡大画像
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図2 エンジェル・フォールの拡大画像
(Google Earthで見るエンジェル・フォール(kmz形式、4.37 MB高解像度版))

エンジェル・フォールの落差は、978 mで世界最大。そのうち、岩にぶつかることなくまっすぐに落ちる長さは約800 mにも及びます。1 km近い距離を落ちる滝の姿は壮大そのもの。図2には、白煙を上げて落ちる滝が見え、その轟音さえが想像できることでしょう。しかし、不思議なことに、この滝には滝つぼがありません。あまりにも落差があるため、滝の下の方で水が拡散してしまうからです。

エンジェル・フォールの立体視画像
エンジェル・フォールの立体視画像
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図3 エンジェル・フォールの立体視画像
(目が疲れないように、あまり長い時間、見ないでください。カラー印刷してから見る場合は、pdfファイルをご利用下さい。左目用pdfファイル右目用pdfファイルも用意しました。)

 左目に赤、右目に青のメガネをかけて図3を見ると、テーブルマウンテンと谷の高度差、途中で消えるエンジェル・フォールが立体的に見えます。なお、図1〜2では上側が北になっていますが、撮影方向の関係で、図3は右側が北になっています。

「悪魔の山」で世界一の滝を発見したエンジェル

エンジェル・フォールがあるアウヤン・テプイは、現地の言葉では、「悪魔の山」を意味します。雲に閉ざされる絶壁の山を、先住民たちが畏敬していたことは想像にかたくありません。悪魔の山にエンジェル(天使)の滝というのは、おもしろい組み合わせですが、意図したものではありません。滝の名前は、その発見者からとられたものなのです。
1937年、アメリカのジェームズ・エンジェルが、金鉱を探すために、地質学者とともにこの地を飛行機で飛んでいました。そのときに見つかったのが、世界最大落差の滝だったのです。彼らはアウヤン・テプイに着陸しました。ところが、泥のために彼らの飛行機は、再び離陸することができなくなってしまい、徒歩でようやく下界にたどり着きました。これにより、エンジェル・フォールが世界に知られることになったのです。

ベネズエラ大統領が、滝の改名を主張

エンジェル・フォールという名前を巡って、2010年1月にちょっとした波紋が広がりました。ベネズエラのチャベス大統領が、エンジェル・フォールを改名すべきであると主張したのです。チャベス大統領は急進左派として知られ、「21世紀の社会主義」の建設を訴えています。1999年の就任後には、国名を「ベネズエラ共和国」から「ベネズエラ・ボリバル共和国」と変更しています。大統領の主張は、「発見者とされるエンジェルは、飛行機から最初に滝を見た人物とは言えるが、多くの先住民はそれより前から滝を見ていた」というものです。そこで、その名前を、現地の言葉で「最も深い滝」を意味する「ケレパクパイ・メルー」にすべきであるというのです。
そんな人間界でのできごとをよそに、世界一の滝は、人間を容易に寄せつけない秘境にあって、太古の昔から変わらぬ姿で水を落とし続けています。



参照サイト

観測画像について


観測衛星: 陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)
観測センサ: 高性能可視近赤外放射計2 型(AVNIR-2)及び
パンクロマチック立体視センサ(PRISM)
観測日時: 2009年12月31日14時45分頃(世界標準時)(AVNIR-2、PRISM同時観測)
地上分解能: 10 m(AVNIR-2)および2.5 m(PRISM)
地図投影法: UTM(ユニバーサル横メルカトール)

AVNIR-2 は、4つのバンドで地上を観測します。図1、2は、いずれも可視域のバンド3(610 〜 690ナノメートル)、バンド2(520〜600 ナノメートル)とバンド1(420〜500ナノメートル)を赤、緑、青に割り当てカラー合成しました。この組合せでは、肉眼で見たのと同じ色合いとなり、次のように見えています。

濃緑: 森林
明るい緑: ジャングル
茶色: 岩場
白:

PRISMは地表を520〜770 ナノメートル(10億分の1メートル)の可視域から近赤外域の1バンドで観測する光学センサです。得られる画像は白黒画像です。前方、直下、後方の観測を同時に行いますが、ここでは直下視の画像を使っています。
AVNIR-2の、バンド3 (610〜690ナノメートル)、バンド2 (520〜600ナノメートル)とバンド1 (420〜500ナノメートル)を赤、緑、青色に割り当てカラー合成したAVNIR-2画像を「色相(Hue)」、「彩度(Saturation)」、「明度(Intensity)」に変換(HSI変換)し、明度をPRISM画像で置き換えて再合成することで見かけ上、地上分解能2.5mのカラー画像を作成することができます。図2はこのように高分解能の白黒画像と低分解能のカラー画像を組み合わせて合成された高分解能のカラー画像、つまりパンシャープン画像です。
図3では直下視の画像(赤)と前方視の画像(緑と青)を用いています。左目で衛星の直下視を、右目で衛星の前方視を見るので、左側が衛星の進行方向になり、南の方向に対応します。

本文ここまで。
画像:ロケットの情報を掲載 ロケットナビゲーター
画像:人工衛星の情報を掲載 サテライトナビゲーター
画像:衛星利用の情報を発信 衛星利用推進サイト
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