地球が見える 2010年
ヒンズー教と仏教の都、カトマンズ、ネパール
図1 カトマンズの谷とその周辺
図1はALOS(だいち)が2009年2月に撮影したカトマンズの谷とその周辺の画像です。画像の左下、青灰色に見えている部分がネパールの首都カトマンズです。標高は約1,300 mで、周囲を山々に囲まれた盆地となっていることがわかります。盆地内にはガンジス川の支流が流れ、耕作に適した大地が広がっています。3つの古都、カトマンズ、パタン、バクタプルに旧王宮があります。 図2 カトマンズ周辺の拡大画像
カトマンズ盆地には、13〜18世紀、ヒンズー教と仏教が融合したネワール文化が発展しました。カトマンズ、パタン、バクタプル(図1でカトマンズの東方約12 kmにあります)の3つの古都にはこの時代に建てられた歴史的建造物が数多く残されています。カトマンズとパタンの間を流れるベクマティ川はガンジス川の支流です。 2003年、カトマンズの谷は危機遺産リストに指定されました。急激な都市化や環境問題が深刻化したためです。画像には、1970年代に建設された市街地を外周する全長約27 kmのリング・ロード、1980年代後半に拡張とインフラ整備が行われたトリブヴァン国際空港を見ることが出来ます。その後、ネパール政府の歴史遺産保護のための努力が認められ、2007年に危機リストから外されました。 図3 カトマンズ中心部の拡大画像
(Google Earthで見るカトマンズ(kmz形式、4.61MB、低解像度版))
図3はカトマンズ中心部の拡大画像です。画像中央、南北に貫くカンティ・パトと呼ばれる大通りに沿って公園や競技場が並び、その北側に現王宮があります。この通りの西(左)側が旧王宮前広場(ダルバール広場)を中心とする旧市街です。画像を見ると旧市街の色調が周辺市街地と違って見えます。旧市街が黒く見えるのは、古い街並みで家々が密集しているためです。 急激な都市化と環境問題をかかえたカトマンズですが、旧市街には古い街並みや寺院が残る、ネパールの人々の憧れの町です。 観測画像について![]()
AVNIR-2 は、4つのバンドで地上を観測します。図は、いずれも可視域のバンド3(610 〜 690ナノメートル)、バンド2(520〜600 ナノメートル)とバンド1(420〜500ナノメートル)を赤、緑、青に割り当てカラー合成しました。この組合せでは、肉眼で見たのと同じ色合いとなり、次のように見えています。
PRISMは地表を520〜770 ナノメートル(10億分の1メートル)の可視域から近赤外域の1バンドで観測する光学センサです。得られる画像は白黒画像です。前方、直下、後方の観測を同時に行いますが、ここでは直下視の画像を使っています。 |