地球が見える 2009年
アジアの新空港を宇宙から見る
アジアでのハブ空港を目指して、マレーシア、香港、韓国、タイの新空港が2000年前後に相次いで開港しました。11月11日に成田国際空港と羽田空港を紹介しましたが、ここでは、この4つの新空港を宇宙から見てみます。
クアラルンプール国際空港(マレーシア)図1 クアラルンプール国際空港の拡大図
(Google Earthで見るクアラルンプール国際空港(kmz形式、4.03MB低解像度版))
図1はALOS(だいち)が2009年1月に撮影した、マレーシアのクアラルンプール国際空港です。クアラルンプールの中心部から南へ約50 kmのところにあり、アメリカのデンバー国際空港に次ぐ世界第2の規模の空港です。敷地の総面積は約100 km2で、成田国際空港の10倍の広さです。図には、空港の北東側と南西側に斜め向きの滑走路が2本見えますが、いずれも4,000 m滑走路です。最終的には、5本の滑走路と2つの巨大ターミナルを持つ空港となる予定です。 香港国際空港(香港) 図2は2008年11月に撮影した、香港国際空港です。図に見えるようにY字の形をしたターミナルビルが特徴的です。香港の今までの国際空港であった啓徳空港は、香港の中心地から近い九龍半島にありましたが、着陸時には、ビル群の上空をかすめながら進入することから、パイロット泣かせの空港として有名でした。1997年7月1日に香港がイギリスから中国へ返還されることになっていたため、イギリスの香港総督は、1989年に新空港の建設を決定しました。九龍半島の西にあるランタオ島沖の島を削り、埋め立てた新空港が、クアランプール国際空港の開港から1週間遅れの1998年7月に開港しました。開港当初は、コンピュータシステムの故障や操作ミスなどトラブルが発生しましたが、現在では、それも収まっています。 仁川国際空港(韓国)図3 仁川国際空港の拡大画像
(Google Earthで見る仁川国際空港(kmz形式、3.92MB低解像度版))
図3は2009年5月に撮影した仁川国際空港です。ソウルから西へ約50 kmのところにあります。仁川市の沖合にある2つの島の間の干潟を埋め立てて建設されました。図の左右両端に島の跡(永宗島(ヨンジョンド)と龍遊島(ヨンユド))が見えています。大型船舶の帆をイメージして設計され、総敷地面積は11.7 km2ですが、さらなる拡張が可能です。図には東側に2本、西側に1本の滑走路が見えます。都心へのアクセスは、リムジンバスで1時間ほどです。鉄道では、金浦空港までの鉄道が2007年3月に開通しており、所要時間は30分程度です。2010年にはソウルまでつながる予定です。 スワンナプーム国際空港(タイ)図4 スワンナプーム国際空港の拡大画像
(Google Earthで見るスワンナプーム国際空港(kmz形式、4.43MB低解像度版))
図4は2006年12月に撮影したスワンナプーム国際空港です。一番最近に開港した空港で、バンコク中心部から東へ約30 kmのところにあります。敷地面積は、32 km2で、成田国際空港の3倍の広さです。図には空港の東側と西側に滑走路が1本ずつ見えていますが、それぞれ4,000 mと3,700 mの滑走路です。計画ではさらに2本の滑走路を建設することになっています。 このように衛星画像により、アジア各国で新たな中核となる空港を建設し、自国の経済発展のインフラ整備を進めていこうという姿や、地域での主導権を獲得しようとする様子がよくわかります。 なお、「だいち」の衛星画像は、(株)日本航空の「JAL MAP」などの地図の背景としても使われております。「JAL MAP」では、画面右上の「衛星写真」ボタンをクリックすると、背景が「だいち」画像に変わります。 観測画像について
AVNIR-2 は、4つのバンドで地上を観測します。図は、いずれも可視域のバンド3(610 〜 690ナノメートル)、バンド2(520〜600 ナノメートル)とバンド1(420〜500ナノメートル)を赤、緑、青に割り当てカラー合成しました。この組合せでは、肉眼で見たのと同じ色合いとなり、次のように見えています。
PRISMは地表を520〜770 ナノメートル(10億分の1メートル)の可視域から近赤外域の1バンドで観測する光学センサです。得られる画像は白黒画像です。前方、直下、後方の観測を同時に行いますが、ここでは直下視の画像を使っています。 |