地球が見える 2009年
ピンク色の湖、ナトロン湖・タンザニア
ナトロン湖は強いアルカリ性の塩湖で、この塩分を好む藍藻(らんそう)類と呼ばれる微小生物(スピルリナ)が持つ赤い色素が赤、ピンク、オレンジと多彩な色を生み出しています。 ナトロン湖には、フラミンゴの大きな群れが棲息しています。その数は250万羽ともいわれています。日中の気温が40℃を超える暑い乾燥した環境、そしてアルカリ性の塩湖という特殊な環境の中で生きています。このような環境だからこそ天敵も少ないので繁殖もしやすいのでしょう。 フラミンゴの種類の中でもレッサーフラミンゴと呼ばれる比較的小型のフラミンゴは、ここナトロン湖が唯一の繁殖地になっています。このレッサーフラミンゴの主食がこの藍藻類です。フラミンゴのピンクの色はこの藍藻類の赤い色素から得られており、餌が少なくなるとフラミンゴの色は白くなります。 ナトロン湖の南側にあるオルドイニョ・レンガイ山(標高2,960m)は、現在も活動している活火山です。マサイ族の言葉で神の山という意味です。この山は、富士山によく似た急峻な山で、噴出する溶岩は普通の黒色の溶岩と違い、ナトリウムやカリウムを多く含み、灰色をしています。
このような独特な生物多様性を有することから、2001年にナトロン湖盆地はラムサール条約湿地に指定されました。 このナトロン湖は長さ50km、幅20km、水深3mの大きな湖ですが、沙漠化の影響でどんどん縮小し続けており、やがては草原になるといわれています。フラミンゴの餌場もいつかは消えてしまいます。希少なフラミンゴの絶滅を救うには地球の温暖化を少しでも食い止める必要があります。
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