地球が見える 2009年
合掌造りの里、白川郷
図中央に見えるのは、富士山、立山と並ぶ日本三名山の一つ、白山(最高峰の御前峰、標高:2,702m)です。この白山を中心として東西20km、南北40kmが白山国立公園です。富山、石川、福井、岐阜の4県にまたがっており、図1中央に見えるほとんどの山々が国立公園です。 白山の右側で南から北へ蛇行して流れる川が、庄川です。その庄川のほとりに日本の原風景であり、白川郷と呼ばれる岐阜県白川村があります。厳しい大自然の中で古きよき日本の姿を今に残す合掌造り集落の村です。その白川郷の北15km、庄川が直角に曲がった辺りにも合掌造りの小さな集落、相倉(あいのくら)地区と菅沼地区からなる五箇山(ごかやま、富山県南砺市)があります。「白川郷・五箇山の合掌造り集落」は、合掌造りの民家からなる歴史的景観と、その周辺の自然環境が保たれているとして1995年12月に国際連合教育科学文化機関 (UNESCO)の世界文化遺産に登録されました。 JAXAとUNESCOは、人類共通の世界遺産の監視保護に役立てるため、JAXAの陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)を利用した世界遺産監視協力に関する取り決め(MOU)を平成20年12月2日に締結しました。 白川郷の南15kmにある湖、御母衣(みぼろ)湖は、庄川の上流にある人造湖で御母衣ダム(1961年竣工)があります。岩石を台形に積み上げ、内部に粘土や砂を封じ込めて造る「ロックフィル式」のダムで、高さ131m、長さ405mの巨大ダムです。ダム建設時、湖畔に移植された樹齢450年以上の「荘川桜」が知られています。 1586年の天正大地震で大崩落がおきた帰雲(かえりくも)山(標高1,622m)は、戦国時代の武将内ヶ島氏の居城があった場所として知られています。内ヶ島氏は鉱山師でもあり、大量の金をこの近辺で採掘したと言われています。雪深い山奥に人が住み着いた理由の一つかもしれません。帰雲山の近くにあった帰雲城とその城下は、内ヶ島氏一族もろとも天正大地震の大規模な地すべりで、一夜にして滅びてしまいました。今でも庄川沿いには、長さ80kmにもおよぶ御母衣活断層が走っています。
合掌造り家屋は、江戸中期から昭和初期までに建てられた伝統建築物です。昭和40年代に多くの家屋が姿を消してゆく中、「売らない、貸さない、壊さない」保存運動が始まり、今に至っています。 白川郷の町並みに沿って左側に見える道路は東海北陸道です。下側にインターチェンジが見えています。白川郷の中心を流れている川が庄川です。 白川郷の中央東側にあるのが白川村萩町(おぎまち)の城山展望台で、そこからは合掌造りの集落が一望できます。城山は内ヶ島氏の出城の一つでした。紫色に見える合掌造りの家並みの多くは、この城山展望台の南側、庄川の左右に点在しています。 萩町集落には重要文化財の和田家、神田家、長瀬家と著名な合掌造りの家や各種の博物館・美術館があります。馬狩集落にも合掌造りの家が見えています。 図は夏の画像ですが、白川郷の魅力が最大限に引き立つのは、雪景色に包まれた冬の季節でしょう。
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