地球が見える 2008年
大河に育まれた水の都、新潟
信濃川は南から北へ分岐・蛇行しながら越後平野の中を悠々と流れ日本海の一角に注ぎ込んでいます。埼玉・山梨・長野の県境を源流とし、長野県では千曲川と名を変える日本最長(367km)の川です。一方、阿賀野川は福島県と栃木県の県境付近に源を発し、猪苗代湖や尾瀬沼の雪どけ水を集めて越後平野に流れ込む日本最大級の水量を誇る大河です。新潟市は、信濃川と阿賀野川の河口付近に発達した都市で、南北にゆったりとS字カーブを描く海岸線沿いの灰白色に見える地域がその中心市街に当ります。図下辺中央に見える弥彦山(やひこやま)は山全体が神域として崇められる信仰の山です。その沖合には江戸幕府の財政を支えた日本最大の金山の島として有名な佐渡島が浮かんでいます。7世紀頃から佐渡国として一国を成すほどの大きな(種子島の約2倍の面積を有する)島で、能楽や人形芝居、鬼太鼓(おんでこ)など豊かな伝統文化の息づく島です。
新潟駅を挟んで反対側に位置する鳥屋野潟は桜の名所でもあり市民の憩いの場となっています。その湖畔に白い屋根のサッカースタジアムが見えますが、アルビレックス新潟の本拠地です。郊外には整然と区画化された水田が、稲刈りの前後で色合いを変え、美しい幾何学模様を見せています。海側に目を転ずると画像左手の海岸に沿ってグリーンベルトが伸びていますが、それは西海岸公園の海岸砂丘地を覆うクロマツ林です。日本海の落日を眺める名所でもあります。画像右手の信濃川と阿賀野川の河口に挟まれたところには新潟空港の滑走路が見えています。極東ロシアへの路線数、定期便数が国内随一という特色ある空港です。新潟市は日本海側最大の国際都市として「田園型政令指定都市」を標榜しています。宇宙から捉えた市街画像はその目指す都市像を端的に物語っています。 越後(現在の新潟県の本州部分にあたる令制国(りょうせいこく)名)は、戦国時代に上杉謙信が統一を果たし、覇を唱えた地として有名です。江戸時代には再び小国に分割されましたが、新潟湊(みなと)は越後平野の産物を全国に運ぶ北前船の寄港地として栄え、幕末には日米修好通商条約の開港場の一つに指定されました。豊穣なる越後平野を後背地として、そこから産生される物産を集散する水運の要港として発展してきた新潟は、信濃川と阿賀野川の両大河に育まれた水の都です。
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