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地球が見える 2008年

大河に育まれた水の都、新潟

図1 新潟市周辺図
図1は2007年2月に捉えた新潟市周辺の画像です。日本海と越後山脈の間に広がる平地が越後平野です。日本海に注ぐ信濃川や阿賀野川が運んできた土砂が河口域に堆積して形成されたもので、近代まで潟が散在する湿地帯でした。今日の姿に変えたのは近世以降の潟の埋立てによる新田開発や大河津分水路(おおこうずぶんすいろ)、関屋分水路などの掘削による水田の乾田化を進めた人間の力です。今では、渡り鳥の貴重な餌場となる鳥屋野潟(とやのがた)や福島潟という潟湖(せきこ)が僅かに大湿地帯当時の名残を止めています。
信濃川は南から北へ分岐・蛇行しながら越後平野の中を悠々と流れ日本海の一角に注ぎ込んでいます。埼玉・山梨・長野の県境を源流とし、長野県では千曲川と名を変える日本最長(367km)の川です。一方、阿賀野川は福島県と栃木県の県境付近に源を発し、猪苗代湖や尾瀬沼の雪どけ水を集めて越後平野に流れ込む日本最大級の水量を誇る大河です。新潟市は、信濃川と阿賀野川の河口付近に発達した都市で、南北にゆったりとS字カーブを描く海岸線沿いの灰白色に見える地域がその中心市街に当ります。図下辺中央に見える弥彦山(やひこやま)は山全体が神域として崇められる信仰の山です。その沖合には江戸幕府の財政を支えた日本最大の金山の島として有名な佐渡島が浮かんでいます。7世紀頃から佐渡国として一国を成すほどの大きな(種子島の約2倍の面積を有する)島で、能楽や人形芝居、鬼太鼓(おんでこ)など豊かな伝統文化の息づく島です。
図2 越後平野の四季
図2は越後平野の四季折々の姿を比較した画像です。春は全体に柔らかい緑がかかり、雪どけ水を集めた信濃川・阿賀野川の奔流が日本海に注いでいます。夏になると越後平野は強い日差しを浴びて一面緑野に変身し、秋には実る稲穂の黄金色に染まります。水田単作地帯の季節の移ろいが見事に捉えられています。図右下の冬季画像には積雪のない黄褐色の平野が写っていますが、2007年2月期が記録的な暖冬だったことによるものです。

図3 新潟市街拡大図
(Google Earthで見る新潟 (kmz形式、4.23MB、低解像度版))
図3は2006年10月に捉えた「水の都」と称される新潟市街の拡大画像です。中心市街地をゆるやかに流れる信濃川と郊外を雄大に滔々と流れる阿賀野川が、そこに架かる様々な橋と一体になって都市景観を造っていることが衛星画像から良くわかります。中でも新潟市のシンボルとなるのが、信濃川に架かる萬代橋(ばんだいばし、河口から二番目の橋)です。六つのアーチを連ねる美しい橋で、重要文化財に指定されています。その傍らの万代島(ばんだいじま)という中州には日本海側随一の高さ(約140m)を誇る高層ビルの朱鷺(とき)メッセがそびえ、その最上階の展望室からは日本海、佐渡、弥彦山を遠望できるだけでなく、広大な越後平野や優雅な萬代橋の架かる信濃川を眼下に眺めることができます。
新潟駅を挟んで反対側に位置する鳥屋野潟は桜の名所でもあり市民の憩いの場となっています。その湖畔に白い屋根のサッカースタジアムが見えますが、アルビレックス新潟の本拠地です。郊外には整然と区画化された水田が、稲刈りの前後で色合いを変え、美しい幾何学模様を見せています。海側に目を転ずると画像左手の海岸に沿ってグリーンベルトが伸びていますが、それは西海岸公園の海岸砂丘地を覆うクロマツ林です。日本海の落日を眺める名所でもあります。画像右手の信濃川と阿賀野川の河口に挟まれたところには新潟空港の滑走路が見えています。極東ロシアへの路線数、定期便数が国内随一という特色ある空港です。新潟市は日本海側最大の国際都市として「田園型政令指定都市」を標榜しています。宇宙から捉えた市街画像はその目指す都市像を端的に物語っています。

越後(現在の新潟県の本州部分にあたる令制国(りょうせいこく)名)は、戦国時代に上杉謙信が統一を果たし、覇を唱えた地として有名です。江戸時代には再び小国に分割されましたが、新潟湊(みなと)は越後平野の産物を全国に運ぶ北前船の寄港地として栄え、幕末には日米修好通商条約の開港場の一つに指定されました。豊穣なる越後平野を後背地として、そこから産生される物産を集散する水運の要港として発展してきた新潟は、信濃川と阿賀野川の両大河に育まれた水の都です。



観測画像について:


(図1〜図3、図をクリックすると二段階で拡大します)
観測衛星: 陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)
観測センサ: 高性能可視近赤外放射計2型(AVNIR-2)及び
パンクロマチック立体視センサ(PRISM)
観測日時: 2006年5月27日10時48分頃(日本標準時) (図2、AVNIR-2)
2006年10月19日10時39分頃(日本標準時) (図2、図3、PRISM及びAVNIR-2)
2007年2月26日10時10分頃(日本標準時) (図1、図2、AVNIR-2)
2007年8月12日10時8分頃(日本標準時) (図2、AVNIR-2)
地上分解能: 10m(AVNIR-2)および2.5m(PRISM)
地図投影法: UTM(ユニバーサル横メルカトール)
AVNIR-2は、4つのバンドで地上を観測します。図1及び図2は、いずれも可視域のバンド3 (610〜690ナノメートル)、バンド2(520〜600ナノメートル)とバンド1 (420〜500ナノメートル)を赤、緑、青に割り当てカラー合成しました。この組合せでは、肉眼で見たのと同じ色合いとなり、次のように見えています。

濃緑色、暗緑色: 森林
薄緑色: 農地(春)
明緑色: 農地(夏)、草地(春、夏)
薄茶色: 農地、草地(秋、冬)
青っぽい灰色: 市街地、道路
青: 水域
白:
黒: データのないところ
PRISMは地表を520〜770ナノメートル(10億分の1メートル)の可視域から近赤外域の1バンドで観測する光学センサです。得られる画像は白黒画像です。前方、直下、後方の観測を同時に行いますが、ここでは直下視の画像を使っています。
AVNIR-2のバンド1(420〜500ナノメートル)、バンド2(520〜600ナノメートル)とバンド3 (610〜690ナノメートル)を青、緑、赤色に割り当てカラー合成したAVNIR-2画像を「色相(Hue)」、「彩度(Saturation)」、「明度(Intensity)」に変換(HSI変換)し、明度をPRISM画像で置き換えて再合成することで見かけ上、地上分解能2.5mのカラー画像を作成することができます。
図3はこのように高分解能の白黒画像と低分解能のカラー画像を組み合わせて合成された高分解能のカラー画像、つまりパンシャープン画像です。

関連サイト:
ALOS 解析研究ページ
夏が来れば 思い出す、尾瀬
PRISMで見た2年後の中越地震被災地
実りを育む河川(信濃川と大河津(おおこうづ)分水路、日本)
地球が見える 陸地・地形
本文ここまで。
画像:人工衛星の情報を掲載 サテライトナビゲーター
画像:衛星利用の情報を発信 衛星利用推進サイト
画像:衛星から見た地球のデータ集
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