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地球が見える 2008年

陽光あふれる港町:ナポリ

図1 ナポリ周辺
(全体画像)
図1は南イタリアのナポリ周辺の画像です。画像のほぼ中央に位置するのが港町ナポリで、ローマ(人口271万人)、ミラノ(130万人)に次いで98万人と、イタリア3番目の大都市です。ナポリ市は紀元前6世紀、サンタ・ルチアの港から上陸した古代ギリシャ人によって築かれました。「ナポリ」の語源はギリシャ語で新しい都市という意味の「ネアポリス」から来たと言われています。温暖な気候と美しい自然環境であることから、ローマ時代において歴代皇帝の避暑地でした。現代では世界三大美港や世界三大夜景の一つとして名を連ね、「ナポリを見て死ね」と言われるほど風光明媚なところです。
画像では、ナポリは市街地と工業地帯がイタリア鉄道ナポリ中央駅を挟んで、東西で灰色とレンガ色できれいに分かれて見えています。工業地帯の北側にナポリ国際空港がありますが、残念ながら雲の下になって見ることができません。ナポリ中央駅から北東約13kmのところに灰色の広大な工場群が見えていますが、これはイタリアを代表する自動車メーカーのひとつ、アルファ・ロメオの工場です。

イタリアは日本同様火山が多い国で、画像に点在する白い雲の間にヴェスヴィオ火山(1,281m)がナポリ東側に見えているほか、西側には多数の火口を擁するフレグレイ平野と呼ばれる幅13kmにおよぶカルデラが見えます。現在、火口は水をたたえた湖やゴルフ場になっています。

この画像中には国際連合教育科学文化機関 (UNESCO)に登録された世界文化遺産が3ヶ所あります。1995年に登録された「ナポリ歴史地区」、1997年に登録された「ポンペイ、エルコラーノ及びトッレ・アヌンツィアータの遺跡地域」および「アマルフィ海岸」です。

ヴェスヴィオ火山の南に「ポンペイ、エルコラーノおよびトッレ・アヌンツィアータの遺跡」の一つであるポンペイの遺跡があります。ポンペイは紀元前6世紀頃からローマの植民地として栄えた都市でしたが、79年8月24日、ヴェスヴィオ火山が噴煙と火柱をあげ、ポンペイは灰と泥土の下に埋もれてしまいました。その後人々から忘れ去られていましたが、18世紀以降、遺跡が発掘され続け、当時の都市の姿を現代に甦らせています。ポンペイ同様に埋もれたヴェスヴィオ火山の西側にあるエルコラーノでは、小規模ながらポンペイよりも優れた排水設備や壁画が発見され、さらにポンペイの南側にあるトッレ・アヌンツィアータでは、皇帝ネロの后のものと見られる別荘まで発見されています。
ポンペイの南西に、ナポリ民謡「帰れソレント」で有名なソレント半島が見えます。ソレントは半島の先端に近い、高い崖の上に作られた昔ながらのリゾート地で、崖の下は小さな漁港となっています。画像ではレンガ色の街として見えています。ソレントからサレルノまでの約40kmの海岸線はアマルフィ海岸と呼ばれ、世界で最も美しい海岸線の一つです。 
ソレント半島の沖には青の洞窟で有名なカプリ島が見えています。ローマ皇帝アウグストゥス帝(BC63-14)は所有していたイスキア島(図1左)とこの島を交換して「甘美な快楽の地」と呼んだそうです。島は自然保護地区であるため、珍しい植物や動物、海中の生物が平和に共存しています。青の洞窟はちょうど雲から外れきれいに映っているカプリ島北側の崖下にあります。

図2 ナポリ市街地拡大図
(Google Earthで見るナポリ (kmz形式、3.49MB、低解像度版))
図2はナポリ市街地を拡大したものです。ナポリ中央駅が一際目立って見えています。画像の右上、雲の間にナポリ国際空港滑走路の西端が見えます。
冒頭に述べたサンタ・ルチアはかつて漁港として栄えた地区ですが、今ではここからのヴェスヴィオ火山やナポリ湾のパノラマが良く見える高級ホテルやレストランが並んでいます。
ナポリ湾に突き出た逆三角形のところが、小島に建てられた卵城です。12世紀にノルマン王によって建設され、13世紀にはアンジュー家の王の居城となりました。名前の由来は「魔法の卵」をビンに入れて土台に埋め込んでおくと建物が永久に持つという中世の伝説に基づいたものです。
スペイン統治時代の17世紀初頭に建設されたナポリ王の王宮ヌオヴォ城(卵城と区別するため新しい(Nuovo)城と命名されました)、ナポリの町を見下ろすヴォメロの丘の上に建つサン・テルモ城、今は国立美術館として利用されているサン・マルティーノ修道院なども、世界文化遺産「ナポリ歴史地区」の代表的な建物です。

ナポリはイタリア料理の源流とも言われ、パスタ、ピザ、ジェラートなどが誕生しました。イタリア半島におけるパスタの歴史は非常に古く、ローマ近郊にある紀元前4世紀のエルトリア人の遺跡からは現在とほぼ同じパスタを作る道具が出土されています。当時は焼いたり揚げたりして食していたそうですが、現在のように乾燥したものをゆでて食べるようになったのは、16世紀半ばにナポリで飢饉に備えるために保存食が必要となったのがきっかけだそうです。



観測画像について:


(図1及び図2、図をクリックすると二段階で拡大します)
観測衛星: 陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)
観測センサ: 高性能可視近赤外放射計2型(AVNIR-2)
観測日時: 2007年6月28日10時01分頃(世界標準時)
地上分解能: 10m
地図投影法: UTM(ユニバーサル横メルカトール)
AVNIR-2は、4つのバンドで地上を観測します。図1及び図2は、いずれも可視域のバンド3(610 〜 690ナノメートル)、バンド2(520〜600 ナノメートル)とバンド1(420〜500ナノメートル)を赤、緑、青に割り当てカラー合成しました。図は通常と異なって、緑にバンド2の値×90%とバンド4の値×10%の和を割り当てるという工夫をしたので、植生の分布が見やすくなっています。この組合せでは、肉眼で見たのと同じ色合いとなり、次のように見えています。

緑色: 森林
明緑色: 草地、農地
灰色: 市街地、道路
赤っぽい茶色: 建物(レンガ)
青: 水域

関連サイト:
ALOS 解析研究ページ
歴史とともに歩み続ける永遠の都:ローマ
ルネッサンスの花が咲き誇ったフィレンツェ
千年にわたり作り上げた水の都、ヴェネツィア
地球が見える 陸地・地形
本文ここまで。
画像:人工衛星の情報を掲載 サテライトナビゲーター
画像:衛星利用の情報を発信 衛星利用推進サイト
画像:衛星から見た地球のデータ集
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