地球が見える 2007年
音楽とハプスブルク家の都、ウィーン
図の左半分の濃い緑の地域は、ところどころに葡萄畑を含む広大なウィーンの森です。 そして図の右半分および上部は広大な畑となっており、自然豊かなことがわかります。 ヨーロッパの街は川沿いに発展した街が多いですが、ここウィーンも前面にドナウ川、そして後背にウィーンの森があることから他民族からの攻撃に対し守りやすかったものと考えられます。 ウィーンの街は数多くの音楽家に愛され、このウィーンの森ではベートーヴェンが田園交響曲の楽想を得たと言われています。図の右のドナウ川の下に白く写っているのはウィーン国際空港です。ウィーン市内からは20kmぐらいしか離れておらず、ヨーロッパのハブ空港として多くの航空路線が開設されています。
ちょうどその反対の下側にも運河が伸びているのが見えますが、そこがウィーンの旧市街です。その右に広大な緑地が見えているのがプラーターと呼ばれる昔の狩猟場だったところで、18世紀にヨーゼフ二世により市民に一般開放されて以来、ウィーン市民の憩いの場となっています。ウィーンを舞台としたサスペンス映画「第三の男」に登場する大観覧車を含む大きな遊園地はここにあります。 ウィーン市街と国際空港との間にはウィーンの共同墓地である中央墓地があって、ベートーヴェン、シューベルト、ブラームス、ヨハン・シュトラウス父子など多くの音楽家が眠っており、モーツァルトの記念碑があります。 図左に十字架のように見えているのがハプスブルク家の夏の離宮シェーンブルン宮殿です。シェーンブルン宮殿は1695年にレオポルト1世が狩猟用の森にバロック様式で建築し、その後ロココ様式に統一されました。シェーンブルン宮殿は1996年に国際連合教育科学文化機関 (UNESCO)の世界文化遺産として登録されました。
その西に見えているのがハプスブルク家の滅亡する1918年まで居城だった王宮ホーフブルクです。広大な敷地の中に18の建物と2,500以上の部屋があります。現存する13世紀最古の建物であるスイス宮をはじめ、15世紀の王宮礼拝堂、16世紀のアマリア宮、17世紀のレオポルト宮、19世紀の新王宮など見所満載です。 ホーフブルクの南東には世界三大歌劇場の一つと言われるウィーン国立歌劇場(オペラ座)があります。 リングをはさんだホーフブルクの南西側には歴代のハプスブルク家が収集した美術品を収蔵する美術史博物館があります。大きな広場が見えていますが、16世紀の女帝マリア・テレジアの名を冠した広場です。広場の反対には同じような形をした自然史博物館があります。広場の南西側にもレオポルト美術館などがあるミュージアム・クォータ・ウィーンと呼ばれる複合文化施設があります。 旧市街の北には多くのノーベル賞受賞者を輩出している1365年創立のウィーン大学が見えます。リングの下部には駅舎のアールヌーボー建築が有名なカールス・プラッツ駅があります。ウィーン国際空港と乗り継ぎが良いのはウィーン・ミッテ駅です。特急シティエアポートトレイン(CAT)により16分で到着できます。リングの右下には「美しい眺め」という意味のベルヴェデーレ宮殿が見えています。オスマン・トルコ軍を撃退したオイゲン公が建てたバロック式の離宮で、上宮と下宮の二つの宮殿で構成されていますが、現在は両方とも美術館となっています。二つの宮殿の間にはフランス式庭園が広がっており、北側の庭園にはスフィンクスの像が鎮座しています。
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