地球が見える 2007年
人類初の人工衛星を打ち上げたバイコヌール宇宙センター
図1は2006年9月のバイコヌール宇宙センターの画像です。灰色に映る重い粘土層と褐色の砂地で覆われ、白く見える塩湖が散在し、中央アジアの見渡す限りの半乾燥地が広がっています。画像の南を西に流れるシルダリア川は天山山脈に源を発し、カザフスタンを北西ないし西に進んで、アラル海に注ぎ込みます。右岸を川沿いに走る鉄道の駅を中心に、生活と文化の町バイコヌール(旧称レニンスクを1995年に改名)が黒く見えます。 バイコヌールから鉄道が北に伸び、左右に分岐してバイコヌール宇宙センターへと続きます。バイコヌールを南端に、ユビレイニ空港を北端にして広がる宇宙センターは、バイコヌールから北30 kmのところのコロリョフ地区、北西70 kmのところのチェロメイ地区、北東50 kmのところのヤンゲル地区の3つの地区から成ります。チェロメイ地区には、国際宇宙ステーションのいくつかのモジュールを打ち上げたプロトン・ロケットや中型のツィクロン・ロケットの射場があります。コロリョフ地区にはソユーズ・ロケットの試験用の射場などが、ヤンゲル地区には、ソユーズ・ロケットの運用段階の射場やゼニット・ロケットの射場、ドニエプル・ロケットの射場があります。 所在地は、モスクワから南東に約2,100 km、アラル海の東に位置するカザフスタン共和国チュラタムです。年間の平均気温は13℃ですが、夏は乾燥して気温が45℃まで上がる高温で、冬は降霜・強風・少雨を特徴として気温が−40℃まで下がる大陸性気候の厳しい風土にあります。 宇宙センターの総面積は約5,000 km2で千葉県とほぼ同じ広さで、打上げ施設9箇所、発射台15基などがあります。1991年にカザフスタン共和国が独立した後も、ロシア連邦宇宙局(FSA)が使用権を持ち管理しています。
その後、宇宙センターは拡張され、月探査機、気象衛星、軍事衛星、民間通信衛星、有人宇宙船などが数多く打ち上げられました。1990年12月2日には株式会社東京放送(TBS)の宇宙特派員として秋山豊寛氏が宇宙船ソユーズTM-11に搭乗してソユーズ・ロケットで、また2005年8月24日にはJAXAの光衛星間通信実験衛星「きらり」(OICETS)および小型科学衛星「れいめい」(INDEX)の2機が相乗りでドニエプル・ロケットで打ち上げられました。 図2の西に一際目立つ2基の施設は、100トンの積荷を低軌道に投入できる超大型ロケット、エネルギア打上げ用の発射台、サイト110です。その南側には、サイト112、112Aのエネルギア組立試験、燃料補給施設、サイト113、118などの関係者の居住施設、倉庫などが集中しています。1988年11月15日、エネルギアは無人の再使用型宇宙往還機ブランを、サイト110左側の発射台から打ち上げ、地球を2周した後ブランはユビレイニ空港に自動着陸しました。 人類の活動の限界を広げる果敢なチャレンジを実現するため、地球と宇宙を結ぶ宇宙輸送の要衝として、今後一層の発展が期待されます。
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