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地球が見える 2006年

カラコルム山脈東部の氷河群

図1 カラコルム山脈東部の氷河群
(Google Earthで見るカラコルム山脈(kmz形式、1.73MB、低解像度版))
図1左は地球資源衛星1 号「ふよう1 号」(JERS-1)搭載の可視近赤外放射計(VNIR)が1993 年9 月に捉えたカラコルム山脈東部の氷河群で、図1 右は陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載の高性能可視近赤外放射計2 型(AVNIR-2)が2006 年10 月に捉えたものです。

図の左端中ほどの白と灰紫の細い流れは極地域を除いて世界第二位の規模を持つシアチェン氷河(全長75 km)の末端部で、その先はヌプラ川となっています。図の中央にはリモ山群があり雪と氷で覆われた山頂部の谷が白く見えています。また、ノース・リモ氷河、セントラル・リモ氷河、サウス・リモ氷河、サウス・テロン氷河など、谷を埋め尽くす氷河群が帯状に白く見えています。リモ山群の最高峰、リモ(標高7,386 m)はサウス・リモ氷河の源頭部の近くにあります。「リモ」はトルコ語の方言で氷河のモレーンの縞模様を意味するそうです。

ヒマラヤ山脈の北側に並走するカラコルム山脈は、西北西から東南東へ長さ約500 km、最大幅約100 kmの範囲に広がっています。世界第二 の高峰K2 を始め8,000 峰が4 座、7,000 m以上の山も80 余を数える高峻な山岳地域です。山岳氷河の発達も顕著で、図に見えるシアチェン氷河を始めバルトロ氷河(62 km)などヒマラヤより長大な氷河が多く見られます。

左右の図は13 年前と現在の同じ季節の画像です。近年、地球温暖化の影響で氷河の後退が各地域で観測されていますが、ここカラコルム山脈東部はどうでしょうか?山頂部の雪と氷で覆われた領域(画像で真っ白に見える領域)には目立った変化は見られません。また、多くの氷河も特に縮小している様には見えません。その中でセントラル・リモ氷河とサウス・リモ氷河の舌端には比較的大きな差異が見られます。

図2 セントラル・リモ氷河とサウス・リモ氷河の舌端
図2はセントラル・リモ氷河(図の上側)とサウス・リモ氷河(図の下側)の舌端部分です。サウス・リモ氷河の舌端部分はわずかですが縮小しています。しかし、セントラル・リモ氷河の舌端は1.3km ほど伸張しています。付近の氷河を詳しく見てみるとこれほど顕著ではありませんが、わずかに縮小している氷河と拡張している氷河が混在しています。ここカラコルム山脈東部では地球温暖化の大きな影響はまだ受けてはいないように見えます。



参考文献:
ヒマラヤ名峰事典、平凡社、1996年

観測画像について:
(図1右および図2右)
観測衛星: 陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)
観測センサ: 高性能可視近赤外放射計2型(AVNIR-2)
観測日時: 2006 年10月8日05時42分頃(世界標準時)
地上分解能: 10 m
地図投影法: UTM(ユニバーサル横メルカトール)
AVNIR-2 は4 つのバンドで地上を観測します。通常は、バンド3 (610〜690 ナノメートル)、バンド2 (520〜600 ナノメートル)とバンド1 (420〜500 ナノメートル)を赤、緑、青に割り当てカラー合成するので、肉眼で見たのと同じような色合いになります。雪や氷は白または薄灰色に、市街地は薄い灰色に、森林は濃い緑色に、草地は黄緑色に、氷河湖は明るい水色に見えます。黒はデータがないことを示しています。図は通常と異なって、緑にバンド2 の値×75%とバンド4 の値×25%の和を割り当てるという工夫をしたので、植生の分布が見やすくなっています。

(図1左および図2左)
観測衛星: 地球資源衛星1 号「ふよう1 号」(JERS-1)
観測センサ: 可視近赤外放射計(VNIR)
観測日時: 1993年9月22日05時48分頃(世界標準時)
地上分解能: 18.3 m×24.2 m
地図投影法: UTM(ユニバーサル横メルカトール)
通常は可視域のバンド2 (630〜690 ナノメートル)、近赤外域のバンド3 (760〜860 ナノメートル)、可視域のバンド1 (520〜600 ナノメートル)の各バンドに赤、緑、青色を割り当てますが、ここでは通常と異なって、緑にバンド2 の値×75%とバンド3 の値×25%の和を割り当てるという工夫をしたので、肉眼で見たのとほぼ同じ色合いの画像となっています。雪や氷は白または薄紫色に、市街地は薄い灰色に、森林は濃い緑色に、草地は黄緑色に見えます。

関連サイト:
ALOS 解析研究ページ
後退するフェドチェンコ氷河
パミール高原の大氷河:フェドチェンコ氷河
地球が見える 陸地・地形
本文ここまで。
画像:人工衛星の情報を掲載 サテライトナビゲーター
画像:衛星利用の情報を発信 衛星利用推進サイト
画像:衛星から見た地球のデータ集
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