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地球が見える 2006年

ヨーロッパ・アルプス最高峰:モン・ブラン

図1 モン・ブラン周辺
全体画像
図1は陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載の高性能可視近赤外放射計2型(AVNIR-2)が2006年9月に捉えたモン・ブランとその周辺です。画像中央の白い部分は雪と氷で覆われたモン・ブラン山群でヨーロッパ・アルプス最高峰モン・ブラン(標高4,807m)、ヨーロッパ三大北壁の一つグランド・ジョラス(標高4,208m)、そして多くの針峰や氷河を見ることができます。多くの山頂の北側には山陰が延びていますが、なだらかなモン・ブランには目立った陰がほとんど見られません。一方グランド・ジョラスには大きな陰影が映っていて、三大北壁(グランド・ジョラス、アイガー、マッターホルン)のうち、知名度では劣るものの、登攀(とうはん)が最も難しいと言われるその規模がうかがえます。また画像中央のメール・ド・グラス氷河の表面には階段状の縞模様が明瞭に見え、氷河の雄大な流れがうかがえます。

モン・ブラン山群北西に沿った谷の中央にスキーヤーの聖地とも呼べる町シャモニーがあります。夏は登山と避暑、冬はスキーといった観光都市で、ロープウェイを使って誰でも簡単に標高4,000m近くまで上ることができます。フランス側のエギーユ・デュ・ミディ展望台(標高3,842m)、さらにイタリア側のエルブロンネ展望台(標高3,462m)へとロープウェイとゴンドラが結び、アルプスの展望と氷河を堪能できます。なお、シャモニーでは、1924年に最初の冬季オリンピック大会が開催されました。

図には見えませんが、モン・ブランの北東の地下には、モン・ブラン・トンネルが北西−南東方向に通っています。このトンネルは、フランスのシャモニーとイタリアのクルマユールを結ぶ全長11.6 kmのトンネルで、1965年に開通し、イタリアと北ヨーロッパを結ぶ大動脈となっていました。しかし、1999年3月の大事故以来、3年間不通となり、その間に安全対策を強化するための大幅な改良工事が行われ、2002年3月に再び開通しました。

図2 氷河の変動
アルプスの地形を造っている氷河は1年に数十cmの速度で流れていますが、その先端は近年、地球温暖化の影響で1年に20 mのペースで後退していると言われています。モン・ブラン周辺の氷河はどうでしょうか。1993年8月に地球資源衛星1号「ふよう1号」(JERS-1)搭載の可視近赤外放射計(VNIR)が捉えた画像と比較してみると図の矢印のところで雪氷が消失していることがわかります。地球温暖化の影響はモン・ブランの南側斜面に顕著に現れています。
図2左は直下視の画像ですが、図2右は衛星の直下から西北西へ34.3°の斜め下を観測した画像なので、左右の画像で氷河の見え方が異なっていますので、ご注意願います。



観測画像について:
(図1、図2右および全体画像)
観測衛星: 陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)
観測センサ: 高性能可視近赤外放射計2 型(AVNIR-2)
観測日時: 2006年9月1日10時07分頃(世界標準時)
地上分解能: 10 m
ポインティング角: -34.30°
地図投影法: UTM(ユニバーサル横メルカトール)
AVNIR-2は4つのバンドで地上を観測します。通常は、バンド3(610〜690ナノメートル)、バンド2(520〜600ナノメートル)とバンド1(420〜500ナノメートル)を赤、緑、青に割り当てカラー合成するので、肉眼で見たのと同じような色合いになります。雪や氷は白または薄灰色に、市街地は薄い灰色に、森林は濃い緑色に、草地は黄緑色に、氷河湖は明るい水色に見えます。黒はデータがないことを示しています。
図は通常と異なって、赤にバンド3の値×75%とバンド4の値×25%の和を、緑にバンド2の値×70%とバンド4の値×30% の和を、青にバンド2の値×75%とバンド4値×25%の和をそれぞれ割り当てるという工夫をしました。このため、山頂付近の陰影が見やすくなっています。

(図2左)
観測衛星: 地球資源衛星1号「ふよう1号」(JERS-1)
観測センサ: 可視近赤外放射計(VNIR)
観測日時: 1993年8月12日10時40分頃(世界標準時)
地上分解能: 18.3 m×24.2 m
地図投影法: UTM(ユニバーサル横メルカトール)
通常は可視域のバンド2(630〜690ナノメートル)、近赤外域のバンド3(760〜860ナノメートル)、可視域のバンド1(520〜600ナノメートル)の各バンドに赤、緑、青色を割り当てますが、ここでは通常と異なって、緑にバンド2の値×80%とバンド3の値×20%の和を割り当てるという工夫をしたので、肉眼で見たのとほぼ同じ色合いの画像となっています。雪や氷は白または薄紫色に、市街地は薄い灰色に、森林は濃い緑色に、草地は黄緑色に見えます。

関連サイト:
ALOS 解析研究ページ
スイスのシンボル:マッターホルン
アルプスの名峰:アイガー、ユングフラウ
地球が見える 陸地・地形
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画像:人工衛星の情報を掲載 サテライトナビゲーター
画像:衛星利用の情報を発信 衛星利用推進サイト
画像:衛星から見た地球のデータ集
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