地球が見える 2005年
中国地方を襲った梅雨前線による大雨
2005年7月1日から3日未明にかけて、中国・四国地方を中心に断続的に強い降雨となりました。これは日本上空に停滞した梅雨前線に対して、南から暖かく湿った空気が流れ込んだことによります。この2日間で多いところで250mm以上の降雨があり、床上・床下浸水が発生し、各地で避難勧告が出されました。 図1は熱帯降雨観測衛星(TRMM)に搭載された降雨レーダ(PR)で観測した中国地方での高度3kmにおける降雨の水平断面図とひまわり6号による雲画像の合成図です。図1aが7月1日22時57分頃、図1bがその約1時間半後の7月2日0時33分頃(いずれも日本時間)の画像です。山口県と島根県、広島県にかけて北西から南東に延びる線状の降水域が何本も見られます。一つ一つの降雨域はあまり大きくありませんが、降雨が強いことを示す赤い部分が多いことから、発達した積乱雲によって狭い領域に集中して大雨が降ったことがわかります。図1aと1bを比較すると、1時間半の間に降雨域が発達しながら東に進んだ様子がわかります。この降水域によって、島根県大田市では、2日1時から2時の1時間で74mm、0時から3時までの3時間で128mmの豪雨が観測されました。
図2は図1bと同じ時刻のPRによる降水の立体構造と線A-Bに沿った鉛直断面を示しています。降雨頂は14km以上にも達し、降水の水平的な領域は狭いのですが、非常に強い上昇気流によって高い高度にまで降水が発達している様子がわかります。
図3の動画で移動する断面を見ると、線状の降雨域に沿って、高い高度まで発達している降雨の様子を見ることができます。 今年は梅雨期に入ってから、梅雨前線がなかなか北上しなかったため、沖縄地方では平年値を大幅に上回る梅雨期の降水量を観測しましたが、本州から九州にかけては降水量が少なく、特に西日本での降水量が少ない傾向にありました。また北陸地方では梅雨入り自体が大幅に遅くなりました。このため水不足・渇水が心配されてきましたが、今回の大雨で一気に解消するところが出てきました。この意味では恵みの雨となりました。7月に入ってから、梅雨前線が本州の上空に停滞するようになって、西日本だけではなく、新潟地方でも大雨が発生し、降水量が急増しました。このように今年の梅雨は典型的な「陽性型の梅雨」ということができます。 これからしばらく本州上空に梅雨前線が停滞し、前線上を低気圧が頻繁に通過するため、梅雨末期に特徴的な豪雨の発生が予想されます。昨年は新潟・福島や福井で集中豪雨による深刻な被害が発生しました。今後も梅雨が明けるまでは、梅雨前線による大雨の情報、及び洪水や土砂災害に対して充分な警戒が必要です。
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