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地球が見える 2004年

海域別に見る海の基礎生産力

(図1) 海洋の基礎生産力(OPP)

地球温暖化対策として、関係各国は温室効果ガス(主として二酸化炭素)の排出を抑制しようとしていますが、森林や海洋が二酸化炭素をどのくらい吸収しているのかについては、まだそれほど正確にはわかっていません。下記の取り組みは、このうち海洋が二酸化炭素をどのくらい吸収しているのかを衛星データを用いて把握し、炭素循環(二酸化炭素の排出と吸収)についての理解を深めようとする試みの一つです。

海洋の基礎生産力(OPP)とは、海洋植物プランクトンが窒素・リンといった栄養塩、太陽光を得て光合成し、海水へ溶け込んだ二酸化炭素を取り込み固定する「単位時間、単位面積あたりの炭素量」のことをいいます( http://www.eorc.jaxa.jp/earthview/2003/tp030620.html)。図1からもわかるように、OPP(A)の分布は、植物プランクトンの光合成が活発な中高緯度沿岸域や赤道上で比較的高くなるといった特徴を示しています( http://www.eorc.jaxa.jp/earthview/2003/tp030716.html)。このOPPは、植物プランクトンクロロフィルa濃度(B)(*1)、海面水温(C)、光合成有効放射量(D)(*2)と、海洋生物光学モデル(*3)を用いることで推定することができます(*4)。

以下ではGLI運用期間(2003年4月から2003年10月)において観測された、OPPの季節変化の海域ごとの特徴を見ていきます。海域は、図2のとおり次の10海域に区分されています−北極海、陸水域、地中海、インド洋、北太平洋、西部赤道太平洋、東部赤道太平洋、南太平洋、大西洋、南極海。

(図2)海域図
(図3)海域別OPPと海域面積 (図4)海域別炭素固定量

図3は海域ごとのOPP月平均値(実線)と海域面積(点線)の変化の図です。海域面積は、特に極域で季節によって海氷が作られたり融けたりすることで変化します(*5)。陸水域では陸からの栄養塩の供給が多いのでOPPは高く、その多くは北半球に分布しているので北半球の初夏6-7月に特に高くなるといった顕著な季節変化が見られています。同様の傾向は地中海、北極海、北太平洋、大西洋でも見られています。一方、南太平洋、インド洋では初夏にあたる10月に向けてOPPが増加しており、赤道域では9月辺りにやや増加するものの変化は比較的小さくなっています。

図3のOPPに各海域面積をかけて海域ごとの炭素固定量を計算したのが図4です。北半球では7月前後に最大値、南半球では7月前後に最小値を取っていますが、海洋全域の合計では7月に最大値(約4.4PgC/month)になるといった、北半球の季節変化を強く反映した形になっています。


(*1)クロロフィルaとは、植物に含まれ光合成において重要な働きをする葉緑素の一種で、すべての植物プランクトンに共通に含まれるので海洋中の植物プランクトン量を知る良い指標になります。

(*2)光合成有効放射量とは、太陽光のうち光合成に利用されうる光の量で、太陽光を受けやすい赤道付近で最も高くなっています。

(*3)海洋生物光学モデルとは、衛星から得られる海表面の植物プランクトン、太陽光の情報から海洋の鉛直方向の光環境を推定し、植物プランクトンが海洋に入射する太陽光を水中でどのように利用して基礎生産を行うかの理論を、船舶観測結果等を用いて定式化したもの。

(*4) 衛星データによるOPPの推定は、世界中で複数の方法(海洋生物光学モデル)が提唱され、現在もそれぞれ研究・評価・改良が行われています。今回示した図は浅沼氏(現JAMSTEC)によって開発されたアルゴリズムを用いて処理したものです。推定されたOPPやモデルはまだ十分な評価が行われていませんが、その評価・改良過程を通して、海の生態系についての理解や地球温暖化等のグローバルな環境変動のメカニズム把握などへの貢献が期待されています。

(*5)図1-(E)AMSRの海氷密度データから算出。
本文ここまで。
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