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「ワールドビュー・ツー」(WorldView-2)、「スポット・フォー」(SPOT-4)による平成23年(2011年)台風12号豪雨災害の観測結果

2011年9月2日から4日にかけて大型で強い台風12号の通過に伴い、四国、近畿、中国、東海地方を中心に広範囲で記録的な大雨が続き、土砂崩れ、堤防の決壊や床上・床下浸水などが起こり、各地で被害がもたらされています。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)では国際災害チャータ*1の協力により提供されたWorldView-2(ワールドビュー・ツー)*2衛星(2011年9月8日10時52分頃(日本時間)観測)とSPOT-4(スポット・フォー)*3衛星(2011年9月8日10時17分頃(日本時間)観測)のデータ解析を実施しました。
図1-1: 観測した画像
図1-1: 観測した画像(WorldView-2)
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観測日時: 2011年9月8日10時52分頃 (日本時間)

図1-2: 観測した画像
図1-2: 観測した画像(SPOT-4)
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観測日時: 2011年9月8日10時17分頃 (日本時間)

図1-1は、ワールドビュー・ツーが今回観測した画像の様子を示したもので、バンド3,2,1を合成したトゥルーカラー合成画像で表示しており、人の目で見た色に近くなっています。図1-2は、スポット・フォーが観測した画像の様子を示したもので、ナチュラルカラー画像*4で表示しています。
図2から図14は、災害後の2011年9月8日に観測されたWorldView-2(ワールドビュー・ツー)のパンシャープン画像*5でトゥルーカラー画像、SPOT-4(スポット・フォー)パンシャープン画像で植生を緑色にしたナチュラルカラー画像と災害前の2009年2月15日に観測された陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載センサ・プリズムとアブニール・ツーによるパンシャープン画像で、トゥルーカラー画像で表示しています。図2は、奈良県野迫川村西谷地区周辺の画像で、黄枠で示した箇所では土砂崩れ(白色)と思われます。
図2: 奈良県野迫川村西谷地区周辺の様子 (約2.5km×2.5kmのエリア)

左図: 災害後2011年9月8日観測(WorldView-2)、中央図: 災害後2011年9月8日観測(SPOT-4)、右図: 災害前2009年2月15日観測(ALOS)

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図3は奈良県五条市赤谷地区周辺を拡大した画像です。黄枠で示した箇所では大規模な土砂崩れを確認できました。また、赤枠で示した場所では、土砂崩れによる堰止め湖が確認できました。
図3: 奈良県五条市赤谷地区周辺の様子 (約4.5km×4.5kmのエリア) 左図: 災害後2011年9月8日観測(WorldView-2)、中央図: 災害後2011年9月8日観測(SPOT-4)、右図: 災害前2009年2月15日観測(ALOS)
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図4は奈良県十津川村田長瀬地区周辺を拡大した画像で、黄枠で示した箇所で大規模な土砂崩れを確認することができました。
図4: 奈良県十津川村田長瀬地区周辺の様子 (約1.5km×1.5kmのエリア) 左図: 災害後2011年9月8日観測(WorldView-2)、中央図: 災害後2011年9月8日観測(SPOT-4)、右図: 災害前2009年2月15日観測(ALOS)
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図5は奈良県十津川村栗平地区周辺を拡大した画像で、黄枠で示した箇所で土砂崩れを確認することができました。また、赤枠で示した場所では、土砂崩れによる堰止め湖が確認できました。
図5: 奈良県十津川村栗平地区周辺の様子 ((約3km×3kmのエリア) 左図: 災害後2011年9月8日観測(WorldView-2)、中央図: 災害後2011年9月8日観測(SPOT-4)、右図: 災害前2010年10月6日観測(ALOS)
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図6は奈良県十津川村風屋ダム周辺を拡大した画像で、黄枠で示した箇所で土砂崩れを確認できました。また赤枠で示した場所では、風屋ダムに滞留する大量の堆積物を確認できました。
図6: 奈良県十津川村風屋ダム周辺の様子 (約3km×3kmのエリア) 左図: 災害後2011年9月8日観測(WorldView-2)、中央図: 災害後2011年9月8日観測(SPOT-4)、右図: 災害前2010年10月6日観測(ALOS)
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図7は奈良県十津川村津越野地区周辺を拡大した画像で、黄枠で示した付近において土砂崩れが発生している様子を確認することができました。また、赤枠で示した場所では、風屋貯水池に滞留する堆積物を確認できました。
図7: 奈良県十津川村津越野地区周辺の様子 (約4km×3kmのエリア) 左図: 災害後2011年9月8日観測(WorldView-2)、中央図: 災害後2011年9月8日観測(SPOT-4)、右図: 災害前2010年10月6日観測(ALOS)
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図8は奈良県十津川村釜中谷から山崎谷周辺を拡大した画像で、黄枠で示した付近において土砂崩れが発生している様子を確認することができました。
図8: 奈良県十津川村釜中谷から山崎谷周辺の様子 (約5km×3kmのエリア) 左図: 災害後2011年9月8日観測(WorldView-2)、中央図: 災害後2011年9月8日観測(SPOT-4)、右図: 災害前2010年10月6日観測(ALOS)
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図9は奈良県十津川村五百瀬地区周辺を拡大した画像で、黄枠で示した付近において土砂崩れが発生している様子を確認することができました。
図9: 奈良県十津川村五百瀬地区周辺の様子 (約3km×3kmのエリア)左図: 災害後2011年9月8日観測(WorldView-2)、中央図: 災害後2011年9月8日観測(SPOT-4)、右図: 災害前2010年10月6日観測(ALOS)
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図10は和歌山県田辺市滝尻周辺を拡大した画像で、黄枠で示した付近において土砂崩れが発生し、河川に流入している様子を確認することができました。
図10: 和歌山県田辺市滝尻周辺の様子 (約3km×3kmのエリア)左図: 災害後2011年9月8日観測(WorldView-2)、中央図: 災害後2011年9月8日観測(SPOT-4)、右図: 災害前2010年10月6日観測(ALOS)
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図11は奈良県十津川村東河野川周辺を拡大した画像で、黄枠で示した付近において土砂崩れが発生し、河川に流入している様子を確認することができました。
図11: 奈良県十津川村東河野川周辺の様子 (約3km×3kmのエリア) 左図: 災害後2011年9月8日観測(WorldView-2)、中央図: 災害後2011年9月8日観測(SPOT-4)、右図: 災害前2010年10月6日観測(ALOS)
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図12は奈良県野迫川村北股周辺を拡大した画像で、黄枠で示した付近において土砂崩れが発生し、河川に流入している様子を確認することができました。
図12: 奈良県野迫川村北股周辺の様子 (約3km×3kmのエリア) 左図: 災害後2011年9月8日観測(WorldView-2)、中央図: 災害後2011年9月8日観測(SPOT-4)、右図: 災害前2010年10月6日観測(ALOS)
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図13は奈良県野迫川村桧股周辺を拡大した画像で、黄枠で示した付近において土砂崩れが発生し、河川に流入している様子を確認することができました。
図13: 奈良県野迫川村桧股周辺の様子 (約2km×2kmのエリア) 左図: 災害後2011年9月8日観測(WorldView-2)、中央図: 災害後2011年9月8日観測(SPOT-4)、右図: 災害前2009年2月15日観測(ALOS)
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図14は奈良県十津川村小井谷周辺を拡大した画像で、黄枠で示した箇所で土砂崩れを確認することができました。また、赤枠で示した場所では、土砂崩れによる堰止め湖と思われる箇所を確認できました。
図14: 奈良県十津川村小井谷周辺の様子 (約3km×3kmのエリア) 左図: 災害後2011年9月8日観測(WorldView-2)、中央図: 災害後2011年9月8日観測(SPOT-4)、右図: 災害前2010年10月6日観測(ALOS)
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取得された画像は、内閣府、国土交通省、近畿地方整備局、中部地方整備局、国土交通省国土技術政策総合研究所、奈良県、和歌山県、三重県等の防災関係機関に提供しています。

なお、JAXAでは今後も、国際災害チャータやセンチネルアジア*6の協力を得て、当該地域の観測、データ解析を継続する予定です。

*1 国際災害チャータ:

正式名称を「自然または人為的災害時における宇宙設備の調和された利用を達成するための協力に関する憲章」といい、宇宙機関を中心とする災害管理に係る国際協力枠組みの事を指します。1999年7月、仏国立宇宙センター(CNES)及び欧州宇宙機関(ESA)によって発表され、翌2000年6月、両機関長の署名を持って発効しました。2005年4月現在までに、宇宙航空研究開発機構(JAXA)を含む7つの宇宙機関が参加しています。

*2 WorldView-2(ワールドビュー・ツー):

WorldView-2はアメリカのDigitalGlobe社が所有する高解像度地球観測衛星で、カラー情報を持つ分解能2mの光学センサと、白黒ですが分解能0.5mの光学センサを搭載しています。

*3 SPOT-4(スポット・フォー):

SPOT-4はフランスのフランス国立宇宙研究センター(CNES)が所有する高解像度地球観測衛星で、20m分解能である緑(Green)、赤(Red)、近赤外(NIR)および短波長赤外(SWIR)を持つ光学センサと、白黒ですが分解能10mの光学センサを搭載しています。

*4 ナチュラルカラー画像:

森林や草地といった植物が多く生えているところを緑色で強調するカラー合成画像です。普段イメージする植物の色に近い色合いが得られます。植物の少ないところや住宅地等は赤紫色で表示されます。

*5 パンシャープン画像:

高分解能であるパンクロマチック画像とカラー情報を持つマルチスペクトル画像を用いて、擬似的にパンクロマチック画像と同等の分解能を持つカラー画像にしたものです。

*6 センチネルアジア:

センチネルアジアはアジア太平洋地域の災害管理に資するため地球観測衛星画像から得られる災害関連情報を共有する活動です。JAXAをはじめとするアジア太平洋地域の宇宙関係機関、アジア防災センター(ADRC)をはじめとする防災関係機関、国連アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP)をはじめとする国際機関、および大学、研究所などが協力して推進しています。得られた衛星画像、解析結果などはWebサイトに公開されています。また、WebサイトのGISにより各種の関連災害情報をGISで表示・解析することが可能です。

JAXA EORC