Pi-SAR(L)の成果物に含まれるデジタル値(DNあるいはI,Q)を規格化後方散乱断面積(σ0,Normalized Radar Cross Section)に変換する式を以下に示します。NEC-SARとSIGMA-SARでは多少異なった表式をとります。校正係数(CF1,CF2)は時間とともに変化しており、利用者は該当する時期の係数を用いる必要があります。
2002年11月以降、苫小牧の校正サイトを定期的に観測し、得られたデータの解析および校正作業を継続してきました。使用した機器は一辺3メートル、2メートルの直角二等辺三角形を一葉とする三面コーナー反射鏡、一辺1メートル、80センチの正方形を一葉とする三面コーナー反射鏡など、延べ数142個です。おのおの、裸地あるいは低木層の中に設置しSARで観測したとき、回りに比べ著しく暗く見える場所を選びました。映像の焦点に依存しないといわれる積分法を用いて校正係数を求めました。その結果を表1、2に示します。表1はSIGMA-SAR、NEC-SARの校正係数の2002年以降の2年間の代表値です。標準偏差は1dB弱あります。表2はフライト時期毎の係数を表示したものです。変化量は小さいのですが時間的にゆっくりと変化することがわかります。正確に後方散乱係数を求めるためには、こちらの表を用いる必要があります。
表1 校正係数(3年間の代表値)
CF |
mean (dB) |
std (dB) |
CF1 (2002-) |
-74.11 |
0.942 |
A |
69.5 |
- |
CF2 |
4.28 |
- |
表2 校正係数の時間変化(SIGMA-SARとNEC-SAR)
CF |
mean (dB) (SIGMA-SAR) |
std dev. (dB) |
mean (NEC-SAR) |
CF1 (all period) |
-74.11 |
0.942 |
4.28 |
CF1 (2002/11) |
-73.945 |
0.712 |
4.445 |
CF1 (2003/8) |
-73.300 |
0.933 |
5.09 |
CF1 (2004/2) |
-74.233 |
0.983 |
4.157 |
CF1 (2004/8) |
-74.745 |
0.787 |
3.645 |
CF1 (2004/11) |
-73.192 |
1.488 |
5.198 |
CF1 (2005/2) |
-73.609 |
0.624 |
4.781 |
注)過去1年間、使用するコーナー反射鏡の大きさに校正係数が依存するかどうか調べてきましたが、サイズの小さいコーナー反射鏡のレーダ断面積は理論値よりも約3デシベル小さいことがわかりましたので、校正係数はそのように修正しております。
|