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地球が見える 2021年

TE-Japanによる東海・関東南部の土壌水分モニタリング

2021年7月1日~5日頃にかけて、活発化した梅雨前線が日本列島付近に停滞し、東海・関東南部を中心に甚大な被害が発生しました。被害を受けられた方々に対し、謹んでお見舞い申し上げます。

JAXAでは、全球降水観測計画(GPM)主衛星や衛星全球降水マップ(GSMaP)など、宇宙から雨の状況を観測しているデータを用いて解析を実施し、速報記事として「活発化した梅雨前線に伴って東海・関東南部で発生した大雨の観測」として掲載いたしました。

Today’s Earth – Japan(TE-Japan)とは?

今回の大雨は、7月3日午前に静岡県熱海市で土石流発生を引き起こすなど、大きな被害をもたらしました。こうした土砂災害が起こる主な要因の一つとして、災害の前から土壌中に多量の水分が蓄えられていたことが推測されます。
JAXAでは、陸上の水循環をより詳細に把握するために、陸域水循環シミュレーションシステム「Today’s Earth - Japan(TE-Japan)」を東京大学と共同で開発・運用しています。TE-Japanでは、降雨によってもたらされた水が、陸上のどこにどの程度集まるのかを推定することができ、河川流量や地上からの蒸発散量、土壌中の水分量など、陸上の水に関わる多くの物理量の現況をどなたでもウェブページ経由で閲覧することが可能です。
また、同システムに気象庁の気象予報データを入力することで、およそ30時間後までの予測シミュレーションを定常的に行うことも可能となっています※1。予測精度に関しては、顕著な災害事例を中心に評価を行っており、関東を中心に広い範囲で被害が出た2019年台風19号の事例では高い精度を確認し、東京大学と合同でプレスリリースを行いました

TE-Japanが推定した7月初旬の大雨による土壌水分量の変化

TE-Japanは、日本全土について約1kmの空間解像度で1時間毎に計算しており、地面の下方向にも図1左に示すように、土壌の各層(計6層)について土壌水分量を推定することが可能となっています。JAXAではこのデータを用いて、今回の災害が発生する前にこれらの地域で土壌水分量がどのような状況であったのかを解析しました。
図1右は、2021年6月28日から7月3日にかけてTE-Japanが推定した日本全土の土壌水分量の平年値※2からの偏差※3を示した図です。7月に入った時点で、太平洋側ではそれまでの長雨により土壌が平年に比べかなり湿った状態にあったことが分かります。

TE-Japanが表現する陸上での水収支のイメージと土壌の各層の厚さ

TE-Japanが推定した土壌第2層における土壌水分量の平年からの偏差(世界標準時6月28日~7月3日)

図1. (左)TE-Japanが表現する陸上での水収支のイメージと土壌の各層の厚さ
(右)TE-Japanが推定した土壌第2層における土壌水分量の平年からの偏差(世界標準時6月28日~7月3日)

図2は、図1において今回特に降雨量の多かった静岡県~神奈川県付近を拡大したものです。図中全域で正の偏差(平年より多い土壌水分量)が推定されていますが、特に偏差が大きく、かつ傾斜の大きい(図中の等高線間隔が密な)地域においては土砂災害の危険性が高いと推測されます。

図3は、図2中の黒い四角で囲んだ領域(土石流が発生した熱海市や、橋の崩落が起きた沼津市を含むエリア)における、土壌水分量の平年値からの偏差を時系列グラフにしたものです。各線は3時間毎に実施している39時間先までの予測について、それぞれの初期時刻からの予測結果を示しています。これをみると、7月1日以降、土壌水分量は平年に比べ非常に高い値で推移しており、同地域では土砂災害の危険度が高まっていた可能性があります。特に、7月2日前後は各予測線がほぼ同じ値を示していたことから、いずれの予測でも平年より多い土壌水分量を推定していたことがわかります。

JAXAでは、Withコロナ社会での防災・避難対策の見直し等が求められる中、衛星観測や計算機シミュレーションによる複合的な解析を通して、現況の把握や災害予測の精度向上などに貢献していきます。

※1:気象業務法により、予測情報は共同研究機関にのみ公開しています。
※2:TE-Japanが推定した土壌水分量の2007年から2020年までの平均値。
※3:各時刻で推定された土壌水分量から平年値を引き、2007年から2020年までの分散で除した値。おおよそ0に近いと平年通り、1~3で平年に比べやや多い、3以上で平年に比べ非常に多い土壌水分が推定されていたことを示す。

関連リンク

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