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地球が見える 2021年

ニーラゴンゴ山の噴火

コンゴ民主共和国東部のニーラゴンゴ山が2021年5月22日に噴火を開始し、溶岩流が居住地まで達して大きな被害が出ています。この噴火について、陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS-2)および気候変動観測衛星「しきさい」(GCOM-C)による観測結果を示します。これらの情報の一部は、国際協力機構(JICA)を通じてルワンダ宇宙庁(RSA)等の現地機関へ提供されました。また、観測データは国際災害チャータにも提供されました。

「だいち2号」(ALOS-2)による地殻変動および火口周辺の観測結果

図1に、「だいち2号」搭載のLバンド合成開口レーダ「PALSAR-2」による2021年5月28日および6月3日(現地時間、日本時間では4日)の観測範囲を示します。観測モードは高分解能10mモード(観測幅約70km)です。
図2左は2021年5月28日のデータと噴火前(2020年3月6日)のデータから得られた干渉SAR画像、図2右は2021年6月3日のデータと噴火前(2020年7月30日)のデータから得られた干渉SAR画像です。干渉SAR画像は地表面の変位量が等高線的に周期的な縞となって表れるものです(注1)。図中に黒い矢印で示した縞が集中している部分を中心に大きな変位があり、噴火活動で地表面が約1m以上変動しています。
図3は、図2の2つの干渉SAR画像から地表面の変位量を算定したものです。図3左は地表面の東西方向の動きを示しており、画像の右側が青色、左側が赤色となっていることから地盤が東西に割れるような方向に広がっています。図3右は地表面の上下方向の動きを示しており、全体的には薄い赤色となっていることから地盤が上昇していますが、図中に黒い矢印で示した変動の中心付近のみ青色で下がっていることが分かります。これらは、この矢印付近の地下でマグマが貫入(マグマが地盤を割って上昇)していることを示す典型的な変動パターンです。PALSAR-2は波長が比較的長いLバンドの電波を用いて観測しているため、一年程度の長い時間差のデータでも干渉性が高く、また今回のように地殻変動量が1mを越えるような大きい場合でも詳細な変動量の計測が可能です。なお、この画像では、噴火前のデータとして2021年5月14日のデータも使用しています。この噴火前データは広域観測モード(分解能約100m)による観測のため解析結果は解像度が粗くなりますが、より最近のデータのため時間経過の影響が少なくなります。
(注1)干渉SAR画像の見かたについては、「干渉SAR画像の見かた」をご覧ください。

「だいち2号」の2021年5月28日の観測データにより得られた干渉SAR画像

「だいち2号」の2021年6月3日の観測データにより得られた干渉SAR画像

図2. 「だいち2号」の2021年5月28日(左)、2021年6月3日(右)の観測データにより得られた干渉SAR画像

図4は地表面を流れる溶岩流の様子を可視化した画像で、図4左は噴火前の2020年3月6日のHH偏波の強度画像を赤色、噴火後の2021年5月28日のHV、HH偏波の強度画像をそれぞれ緑色、青色に割り当てたカラー合成画像です。白い矢印で示した山頂付近や空港付近に迫る溶岩流が赤く見えます。図4右は干渉処理によって得られるコヒーレンス画像で、暗い部分が大まかな溶岩流の分布を示します。強度画像ではやや見えづらい東側の溶岩流も見ることができ、白い矢印で示した地域まで溶岩が流れています。

「しきさい」(GCOM-C)による熱赤外線観測の結果

図5から図7に、気候変動観測衛星「しきさい」(GCOM-C)が2021年5月19日から23日にかけて夜間に観測した熱赤外線画像を示します。図5,7の画像中の白色部分はキブ湖で、灰色部分は雲と判別された領域です。この期間、ニーラゴンゴ火山周辺では、日中には曇天が続いていました。しかし5月19日、23日には、「しきさい」に搭載した「多波長光学放射計」(SGLI)の熱赤外線チャンネルを用いて、夜間に雲の切れ間から火山周辺を観測することができました。また、5月22日には、全面雲などに覆われており、低温を示す青色の領域が広がっています。衛星「しきさい」の「多波長光学放射計」は、熱赤外線の波長10.8µm、地上分解能250mで観測し、平均2日に1回以上全球を観測する衛星の中では、地上分解能が最も高い衛星です。
図5では、噴火前からニーラゴンゴ火山の火口に、非常に高温の溶岩湖あり、熱赤外線でも強い赤外線が観測されました。ニーラゴンゴ火山は、衛星「しきさい」を打ち上げた2018年以降、繰り返し図5に示すような高温の火口が捉えられていました。
図6は、噴火当日の2021年5月22日の夜間の熱赤外線画像です。全面雲に覆われていますが、噴煙とみられる低温部が南方へ続いている様子が分かります。
図7は、噴火翌日の2021年5月23日の夜間の熱赤外線画像です。雲の切れ間から、溶岩流の一部が周囲よりも高温として観測され、ニーラゴンゴ火山からゴマ市内に向けて約13km流下している様子が見られます。溶岩流は途中(雲の下)でふた手に分かれ、南へ流下しており、空港の北方および国境付近の二か所が高温となっていることが分かります。

このように、JAXAの複数の地球観測衛星を用いて、地殻変動量や溶岩流など、火山災害について様々な情報が得られます。JAXAでは今後も各機関の要請に応じて火山観測を継続する予定です。

観測画像について

画像:観測画像について


図2

観測衛星 陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS-2)
観測センサ フェーズドアレイ方式Lバンド合成開口レーダ(PALSAR-2)
観測日時 2021年5月28日(左)
2021年6月3日(右)

図3,4

観測衛星 陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS-2)
観測センサ フェーズドアレイ方式Lバンド合成開口レーダ(PALSAR-2)
観測日時 2021年5月28日

図5,6,7

観測衛星 気候変動観測衛星「しきさい」(GCOM-C)
観測センサ 多波長光学放射計(SGLI)
観測日時 2021年5月19日20:16(UTC)(図5)
2021年5月22日20:08(UTC)(図6)
2021年5月23日20:10(UTC)(図7)

関連リンク

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