地球が見える 2010年
『坂の上の雲』の舞台、旅順と大連
図1 遼東半島先端部の旅順と大連
図1は、ALOS(だいち)が2009年11月に撮影した中国の遼東(りょうとう)半島の先端部分です。遼東半島は、対岸の山東半島へ向かって、渤海(ぼっかい)に突き出た半島です。図1では、半島の北側と南側とでは、海の色が異なっています。北側の懸濁した海流が南側に流れ出ているものと思われます。画像中央に山塊が見えますが、その山塊を挟んで、右に大連(だいれん)が、左に旅順が位置しています。また、空港が3つ(緑色の丸印)見えています。右に見えている空港が、大連空港です。大連港から右の岬へ続く一部が明るく写っており、開発が進んでいるのが分かります。 図2 旅順の拡大図
(Google Earthで見る旅順(kmz形式、4.06 MB低解像度版)) 図2は、旅順の拡大図です。旅順は、かつて大連と合併して旅大という名前になりましたが、現在では大連市に編入され、旅順口区(りょじゅんこうく)となっています。渤海湾に面した地区でも開発が進んでいるのが分かります。 図3 大連の拡大図
(Google Earthで見る大連(kmz形式、4.64 MB低解像度版)) 図3は、大連の拡大図です。左上に見えるのが、大連空港(大連周水子国際空港)です。右のほうに大連港が見えます。大連港は、19世紀末に不凍港を求めていたロシアが建設を始めました。日露戦争後、我が国が建設を引き継ぎました。この地域への入り口ということで、以前は日本から大連までの連絡船が運航していました。埠頭には線路が引き込まれ、2階から下船し、1階に降りると鉄道に乗り継ぐことができました。ロシア的な雰囲気を醸す街で、5月にはアカシアが咲き誇り、色どりを添えます。南西には海水浴場として有名な星海公園が見えています。 ![]() 旅順の対外解放中国政府は、旅順の外国人立ち入りを制限していましたが、先ず1996年に203高地などの北西部が対外開放され、続いて2009年末に、軍事施設周辺を除き全面的な対外開放が実施されました。日本からの観光客増加や企業の投資が期待されています。 ![]() 大連環境モデル地区整備計画1996年12月から2000年3月にかけて、北九州市は国際協力機構(JICA)と共同で、ODAによる開発調査、環境改善のマスタープラン策定を実施しました。2010年を目標とした、大気汚染や水質汚濁等に関する総合的な環境保全対策計画で、大連市側の技術者への技術移転が行われました。その後、大連市では、大気汚染や水質汚濁の問題を克服しつつ、自動車公害対策や廃棄物管理などに取り組み、中国では環境先進都市として広く認知されるようになりました。 なお、「だいち」の衛星画像は、(株)日本航空の「JAL MAP」などの地図の背景としても使われております。「JAL MAP」では、画面右上の「衛星写真」ボタンをクリックすると、背景が「だいち」画像に変わります。大連の衛星画像を見ることが出来ます。 観測画像について![]()
(図1〜3)
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