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地球が見える 2008年

太平洋を渡る様々なエアロゾル

図1 森林火災域(左)、発生種類別のエアロゾル分布と風の動き(右)
(上段)2008年4月19日
(中段)2008年4月20日
(下段)2008年4月21日
2008年4月にはロシアと中国の国境沿いの地域で森林火災が多発しました。4月19日から21日にかけての衛星画像(図1左列)の赤い点は衛星から推定した火災域です。また火災によって発生した煙がシベリアから朝鮮半島や樺太、北日本へ広い範囲に流れている様子がみられます。
この煙はエアロゾルと呼ばれる微粒子です。森林火災のように植物が燃えることによって発生するものや、工場や自動車など化石燃料を使う際に発生するもの、また黄砂のように砂嵐によって巻き上げられる砂粒もエアロゾルの一種です。
衛星画像でみられる煙にどのようなエアロゾルが含まれているかを数値モデルによるシミュレーションを行い調べてみました。衛星データから得られた火災域の情報から森林火災に伴って発生したエアロゾル量を推定し、これを数値モデルに入力し、エアロゾルが大気中を運ばれていく過程を計算しました。
図1の右列は数値モデルシミュレーションによって求められたエアロゾル量の分布です。緑色が森林火災によって発生したエアロゾルを、青色は燃料燃焼によって発生したエアロゾルを示しています。東アジアでは燃料の消費に伴って大量のエアロゾルが年間を通して排出されており、このエアロゾルと森林火災によって発生したエアロゾルが混ざりながら輸送されていく様子がわかります。さらに、この期間、森林火災によって発生したエアロゾルがアラスカ付近まで輸送されていくのがみてとれます。エアロゾルが長い距離を運ばれたのは、森林火災によって大量のエアロゾルが発生したこと、この期間の上空の風が強かったことなどが影響していたと考えられます。

図2 2008年5月27日 2008年5月28日
(上段)黄砂と森林火災域
(下段)発生種類別のエアロゾル分布と風の動き
2008年5月26日から27日にかけ、内モンゴル自治区で、冷たい空気の影響により強い風が吹き、強烈な砂嵐「砂塵暴(黄砂による砂嵐で、視程1km以下の強風日を指す)」が発生しました。5月27日、28日の衛星画像からも大量の黄砂が発生し移動していく様子がわかります。
図2下段の数値モデルシミュレーションにおいても26日、27日の砂嵐によって黄砂(赤色)が発生し、輸送されていく様子が再現されています。数値モデルでは、風速や土壌水分、積雪などから黄砂の発生量を見積もっています。また、森林火災によって発生したエアロゾル(緑色)や燃料燃焼によって発生したエアロゾル(青色)に加え、赤色で示した黄砂が北京付近を覆っていることがわかります。
このように、エアロゾルと言っても、その種類や発生源は様々です。空を流れる煙の中に混在する異なる微粒子の情報を衛星と数値モデルを組み合わせた解析から知ることができます。



観測画像について:


(図1及び図2)
観測衛星: 地球観測衛星Aqua (NASA)
観測センサ: 中分解能撮像分光放射計MODIS (NASA)
観測日時: 2008年4月19日-21日(図1)、2008年5月27日-28日(図2)
空間分解能: 5km
図1右列及び図2下段は、全球エアロゾル輸送モデルSPRINTARS(東京大学気候システム研究センター・国立環境研究所・地球観測フロンティア研究センターが開発している大気大循環モデルを基盤にしている)によって計算されたエアロゾル光学的厚さ(550nm)の分布と600hPaの風速[m/s]です。
エアロゾル光学的厚さが0.1以上の地域に色をつけ、緑色は森林火災起源、青色は燃料燃焼起源、赤色は黄砂のエアロゾルを示している。


関連サイト:
森林火災により東アジアを覆った春霞
北海道上空にたなびく火災の煙
中国東北部・北朝鮮を覆う森林火災の煙
北日本に流れ込む森林火災の煙
地球が見える 火災・砂塵
本文ここまで。
画像:人工衛星の情報を掲載 サテライトナビゲーター
画像:衛星利用の情報を発信 衛星利用推進サイト
画像:衛星から見た地球のデータ集
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