地球が見える 2008年
森林火災により東アジアを覆った春霞
図1は、NASAの地球観測衛星Terraに搭載されている中分解能光学センサ(MODIS)のデータから作成した今年1月下旬(観測期間:1月17日−2月1日)の東アジア域の積雪分布を示しています(白い部分が積雪域、緑色は雪のない陸域、青色は海域、水色は海氷域、そして黒色は観測期間中ずっと曇っていた領域を表しています。また国境線を橙色の線で示しています)。 この時期、中国では、西安から上海にかけての広い範囲で積雪域が広がっていることが分かります。このように、今年は1月下旬から2月上旬にかけて、一時的に大寒波が中央アジアから東アジア域を襲いました※。 図2は、図1に見えている東アジア域での近年の積雪面積の推移を表しています。この図からも、今年1月下旬の積雪面積が、2000年以降では最大の面積にまで急拡大していたことが分かります。しかし、2月中旬以降は、南からの暖気流入によって気温が急上昇したため、積雪域も急速に縮小しました。その結果、東アジア域における3月から4月にかけての積雪域は、逆に過去9年間で最も小さい面積を記録しました。
このように、春先の積雪の融解・消失が早まると、森林火災を誘発し、大気中に大量の二酸化炭素等の温室効果ガスやエアロゾルが排出されます。これらの大気汚染物質は、地球の温暖化へ影響を及ぼすだけでなく、日本を含む広範囲の人々の健康へも悪影響を及ぼすことが懸念されています。 JAXAではこれからも衛星観測を通じて地球環境変動の監視を行っていきます。
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