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地球が見える 2007年

湖上の宮殿、ウダイプル

図1 ウダイプル周辺
(全体画像)
図1は2007年3月に観測したインド西部のラージャスターン州南部のウダイプル周辺です。ウダイプルはインドの首都デリーの南西約560kmの乾燥した高原地帯に位置しています。ラージャスターン州はインドで一番大きな州で、色にちなんだ三大観光地があります。赤い城壁に囲まれていることから「ピンクシティー」と呼ばれる州都のジャイプル、家屋の壁が青く塗られている「ブルーシティー」のジョードプル、そしてこのウダイプルは白い建物の景観が美しいことから「ホワイトシティー」と呼ばれています。ウダイプルはジャイプルから南西へ435km離れた場所にあり、図からもわかるようにタール沙漠に囲まれた乾燥した大地の中にある街です。

図2 ウダイプル市街
(Google Earthで見るウダイプル (kmz形式、2.65MB、低解像度版))
図2はウダイプル市街と二つの人造湖の画像です。ウダイプルはムガール帝国の攻撃から逃れて、ウダイ・シン王が1568年にメーワール王国の都として築きました。この際に河をせき止めて幾つかの湖を作ったことから「湖の街」としても知られています。ウダイプルの王は他の藩王がマハラジャと称されるのと異なり、ムガール帝国時代、英植民地時代を通して、自主独立を堅持したことから、マハラナ(武王)と呼ばれています。
図の下側(南)にあるのがピチョラ湖、上側(北)にある湖がファテー・サガール湖です。ピチョラ湖は4km×3kmの大きさがあります。ピチョラ湖の上側にあるジャグ・ニワス島はマハラナが夏の離宮として建てた白亜の宮殿レイクパレスです。島の全てが大理石でできており、現在はホテルとして利用されています。ここは映画「007オクトパシー」の撮影場所としても有名です。下側にあるジャグ・マンディル島はムガール帝国の皇帝シャー・ジャハーンが一時住んでいた宮殿があります。
ファテー・サガール湖は1678年の大雨でダムが決壊したときに造られ、その後マハラナのファテー・シンによって再建・拡張されたものです。ファテー・サガール湖の中央に大きく見えている島は、インドの初代首相の名を冠したネール公園です。フラワーガーデンや蓮池があります。また、この湖の中央には世界でも数少ない太陽を観測するウダイプル太陽観測所があります。雨が少なく、湖上にあることから地熱の影響が少なく大気の揺れが少ないため太陽の観測に向いているようです。
これらの湖は気候変動に弱く、何度も大雨や干ばつに見舞われています。最近では1975年に大雨、そして、2003年、2005年には完全に干上がってしまったようです。この時には観測所やレイクパレスまで歩いて渡ることができました。今年は図2からかなり水に恵まれていることが分かります。
ピチョラ湖東岸の丘に建つのは、今もマハラナが住むシティパレスという宮殿です。増改築を重ねたことから、ラージャスターン州でも最大規模を誇り、東西240m、南北450mの巨大な宮殿です。大理石がふんだんに使われており、一部が博物館として一般公開されています。シティパレスの入り口にはマハラナのジャガット・シンによって1651年に建てられた美しいインド・アーリア建築様式のジャグティシュ寺院があります。この寺院はヒンズー教のヴィシュヌ神に捧げられたもので、全宇宙の神を意味するジャグナートという黒い石が安置されています。
ファテー・サガール湖の東岸には侍女達の庭園(サヘリヨン・キ・バリ)が見えています。ここは18世紀にマハラナのサングラム・シンが造った庭園で、王族の娘達や侍女達がピクニックにやってきた場所として知られています。噴水、あずまや、大理石製の象の彫像、蓮池などがきれいに配置された庭園となっています。 ただ、噴水は水不足のため観光客が通る時だけでているようです。



観測画像について:
(図1、図2及び全体画像、図をクリックすると二段階で拡大します)
観測衛星: 陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)
観測センサ: 高性能可視近赤外放射計2 型(AVNIR-2)
観測日時: 2007年3月29日5時49分頃(世界標準時)
地上分解能: 10m
地図投影法: UTM(ユニバーサル横メルカトール)
AVNIR-2 は4つのバンドで地上を観測します。このうちバンド3 (610 〜 690 ナノメートル)、バンド2 (520 〜 600 ナノメートル)及びバンド1 (420 〜 500 ナノメートル)を赤、緑、青色に割り当て、カラー合成することにより肉眼で見たのと同じような色合いとなります。

画像には次のようなものが見えています。
黄土色、茶色: 沙漠、裸地
緑色: 水面、草地
紺色: 水面
灰色: 市街地、道路
白: 建物
黒: データのないところ

関連サイト:
ALOS 解析研究ページ
世界一美しい霊廟:インド、タージ・マハール
地球が見える 陸地・地形
本文ここまで。
画像:人工衛星の情報を掲載 サテライトナビゲーター
画像:衛星利用の情報を発信 衛星利用推進サイト
画像:衛星から見た地球のデータ集
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