地球が見える 2007年
素晴らしき紺碧の島々、グレートバリアリーフ、オーストラリア
サンゴはイソギンチャクに似た動物の一種で、そのうち造礁サンゴと呼ばれる種類は石灰質の骨格を作ります。この骨格の集合がサンゴ礁なので宇宙から見える地球最大の生命活動の痕跡がグレートバリアリーフということになります。 グレートバリアリーフ(大堡礁、だいほしょう)はその名のとおり、オーストラリアを守るかのようにオーストラリアの東岸沖にあるサンゴ礁であり、イギリス海軍のキャプテン・クック(航海時は海軍大尉)がグレートバリアリーフを1770年に発見した当時も大陸への接岸にはだいぶ苦労させられたようです。 グレートバリアリーフは、北からファーノース、ケアンズ、セントラル、マッカイ・カプリコーンと大きく四つのセクションに分かれており、図1はセントラル・セクションの一部にあたるウィットサンデー諸島近辺の画像です。クィーンズランド州の中央に位置し、74の島々からなるウィットサンデー諸島はクィーンズランド州南東部の州都ブリスベンの北約1,100 km、クィーンズランド州北部の中心都市ケアンズの南700 kmのところに位置し、ブリスベンまたはケアンズからジェット機で1時間半の距離にあります。また、オーストラリア有数の美しい景色を見ながらドライブを楽しめるブルース・ハイウェイを利用するとブリスベンからは13時間、ケアンズからは8時間もかかります。ブリスベンもケアンズもこの図には含まれていません。 グレートバリアリーフの多くの場所は、オーストラリアの国立公園に指定され保護されており、1981年には世界自然遺産に登録されました。自然遺産の4つの認定条件をすべてクリアした、まさに地球の宝です。2004年7月にオーストラリア政府はグレートバリアリーフのうち、保護する対象の地域をそれまでの4.5%から33.3%へ増やしました。
図2下のハミルトン島は人が住める居住区域およびリゾート地として1984年にオープンしました。現在でも島の約70%は国立公園として保護されています。グレートバリアリーフではリゾートは20余りの島だけに開放されています。ハミルトン島のグレートバリアリーフ空港はグレートバリアリーフの中で唯一ジェット機が離着陸できる空港です。シドニー、メルボルン、ブリスベン、ケアンズからの直行便があり、オーストラリア本土のシュートハーバーからも船便があります。
グレートバリアリーフのほとんどのサンゴは、地球温暖化により上昇した水温の上限ぎりぎりのところで生きています。1998年から2002年にかけて地球温暖化の影響をまともに受け、サンゴ礁の白化(*1)が進んだようです。この美しい大自然を少しでも将来に残すために地球温暖化を防ぐよう努力したいものです。 地球観測衛星を使って、このようなサンゴ礁の島を定期的に観測することにより、サンゴ礁の白化がどれだけ進行したかを把握することができます。
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