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地球が見える 2007年

素晴らしき紺碧の島々、グレートバリアリーフ、オーストラリア

図1 グレートバリアリーフ ウィットサンデー諸島周辺
(Google Earthで見るグレートバリアリーフ (kmz形式、1.79MB、低解像度版))
図1は陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載の高性能可視近赤外放射計2型(AVNIR-2)が2006年10月と11月に捉えたオーストラリア、クィーンズランド州沖にあるグレートバリアリーフの一部です。グレートバリアリーフは、北はニューギニア島の南のトレス海峡から、南はオーストラリアのバンダバークまでの2,000 kmにわたり、大小3,000ものサンゴ礁と900余りの島々で構成されます。幅は広いところで80 kmもあります。
サンゴはイソギンチャクに似た動物の一種で、そのうち造礁サンゴと呼ばれる種類は石灰質の骨格を作ります。この骨格の集合がサンゴ礁なので宇宙から見える地球最大の生命活動の痕跡がグレートバリアリーフということになります。
グレートバリアリーフ(大堡礁、だいほしょう)はその名のとおり、オーストラリアを守るかのようにオーストラリアの東岸沖にあるサンゴ礁であり、イギリス海軍のキャプテン・クック(航海時は海軍大尉)がグレートバリアリーフを1770年に発見した当時も大陸への接岸にはだいぶ苦労させられたようです。

グレートバリアリーフは、北からファーノース、ケアンズ、セントラル、マッカイ・カプリコーンと大きく四つのセクションに分かれており、図1はセントラル・セクションの一部にあたるウィットサンデー諸島近辺の画像です。クィーンズランド州の中央に位置し、74の島々からなるウィットサンデー諸島はクィーンズランド州南東部の州都ブリスベンの北約1,100 km、クィーンズランド州北部の中心都市ケアンズの南700 kmのところに位置し、ブリスベンまたはケアンズからジェット機で1時間半の距離にあります。また、オーストラリア有数の美しい景色を見ながらドライブを楽しめるブルース・ハイウェイを利用するとブリスベンからは13時間、ケアンズからは8時間もかかります。ブリスベンもケアンズもこの図には含まれていません。

グレートバリアリーフの多くの場所は、オーストラリアの国立公園に指定され保護されており、1981年には世界自然遺産に登録されました。自然遺産の4つの認定条件をすべてクリアした、まさに地球の宝です。2004年7月にオーストラリア政府はグレートバリアリーフのうち、保護する対象の地域をそれまでの4.5%から33.3%へ増やしました。

図2 ウィットサンデー島とハミルトン島周辺
図2中央にあるのは世界で最も美しい砂浜の一つと言われるウィットサンデー島のホワイトヘブンビーチです。周囲の緑の原生林、真っ白なパウダービーズでできた6 kmもの純白の砂浜のグラデーション、サンゴ礁の海のエメラルドグリーンが織り成す幻想的な景色はまるで宝石のようです。
図2下のハミルトン島は人が住める居住区域およびリゾート地として1984年にオープンしました。現在でも島の約70%は国立公園として保護されています。グレートバリアリーフではリゾートは20余りの島だけに開放されています。ハミルトン島のグレートバリアリーフ空港はグレートバリアリーフの中で唯一ジェット機が離着陸できる空港です。シドニー、メルボルン、ブリスベン、ケアンズからの直行便があり、オーストラリア本土のシュートハーバーからも船便があります。

図3 ハーディリーフ周辺
図3はハーディリーフ、釣り針の形をしたフックリーフ周辺の画像です。世界に三つあるというハートの形をした島の一つ、ハートリーフ(正確には島ではなく、サンゴ礁です)はウィットサンデー諸島の東に広がる美しいハーディリーフの南端にあります。あいにく小さくてはっきりとは見えませんが、ハートリーフに行ったことがある人ならハート型の小さなサンゴ礁を見つけることができるのではないでしょうか。(ヒント:サンゴ礁で囲まれた内海の中にぽつんとあります)

グレートバリアリーフのほとんどのサンゴは、地球温暖化により上昇した水温の上限ぎりぎりのところで生きています。1998年から2002年にかけて地球温暖化の影響をまともに受け、サンゴ礁の白化(*1)が進んだようです。この美しい大自然を少しでも将来に残すために地球温暖化を防ぐよう努力したいものです。
地球観測衛星を使って、このようなサンゴ礁の島を定期的に観測することにより、サンゴ礁の白化がどれだけ進行したかを把握することができます。



*1:サンゴは光合成を行う藻類を体内に共生させていますが、サンゴの白化現象とは、海温上昇などによりストレスを受けたサンゴが、この藻類を吐き出すことにより、白色に変化し、死滅していくことです。今後、海面温度が2〜6℃上昇すると、今世紀中頃までにグレートバリアリーフのサンゴ礁は現状の5 %以下しか残らないと言われています。

観測画像について:
(図1〜図3)
観測衛星: 陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)
観測センサ: 高性能可視近赤外放射計2 型(AVNIR-2)
観測日時: 2006年10月07日00時20分頃(世界標準時)および2006年11月05日00時18分頃(世界標準時)
地上分解能: 10 m
地図投影法: UTM(ユニバーサル横メルカトール)
AVNIR-2 は4つのバンドで地上を観測します。通常は、このうちバンド3(610〜690ナノメートル)、バンド2(520〜600ナノメートル)、バンド1(420〜500ナノメートル)を赤、緑、青に割り当ててカラー合成するので、肉眼で見たのと同じような色合いとなり、次のように見えています。
深緑色: 森林
灰褐色: サバンナ
灰色: 市街地、滑走路
青: 深海面
明るい青: 浅海面
水色: サンゴ礁
白:
黒: データのないところ

関連サイト:
ALOS 解析研究ページ
インド洋に浮かぶ真珠の首飾り、モルディブ
サンゴ礁特集②衛星からサンゴ礁の分布をとらえることができるか
サンゴ礁特集①いま、サンゴ礁に何が起こっているか
地球が見える 海洋
本文ここまで。
画像:人工衛星の情報を掲載 サテライトナビゲーター
画像:衛星利用の情報を発信 衛星利用推進サイト
画像:衛星から見た地球のデータ集
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