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地球が見える 2007年

インド洋に浮かぶ真珠の首飾り、モルディブ

図1 モルディブ共和国北西部
(Google Earthで見るモルディブ (kmz形式、1.79MB、低解像度版))
図1は陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載の高性能可視近赤外放射計2型(AVNIR-2)が2007年1月に捉えたモルディブ共和国北西部の画像です。モルディブはインド、スリランカの南西約600kmのインド洋上に、南北754 km、東西118 kmにわたって縦長に広がる26の自然環礁(アトール)から成り立つ島嶼(とうしょ)国です。図1の南北約140 kmの画像にはモルディブ全体の1/10程度の領域が写っており、図中央には人の横顔にも見えるラー環礁が、図下にはバー環礁の北半分が、図上にはシャビヤニ環礁とノーヌ環礁の一部が見えています。首都マーレは図の南端から南へ約100 kmのところにあり、この図には含まれていません。

アトールとはモルディブの言葉で「中央にラグーン(*1)を持つサンゴ礁の島」を意味する“アトルー”が語源です。画像でも文字どおりアトールが点在している様子が見られます。その昔、インド洋を航海したアラブや中国、ヨーロッパなどの人々はこれらの島を「真珠の首飾り」と呼んだということです。また、モルディブはサンスクリット語で「島々の花輪」を意味します。

26の自然環礁(20の行政の環礁)のうち、島の数は約1,200、そのうち人が住む島は約200です。そのほとんどが歩いて一周できるぐらいの大きさなので、一つの島はひとつの機能しか持たないことになっています。このため、すべての住民がイスラム教徒であるモルジブではリゾート用の島と居住用の島は明確に分けられています。リゾートがある環礁は12、リゾートがある島の数は約100で、一つの島にはほぼ一つのリゾートしかありません。また、海抜が1 mに満たない島が全体の80%も占めます。

図1上の51の島からなるシャビヤニ環礁は、首都マーレから北へ約192 km離れており、環礁内のカンディティーム島には最も古いモルディブの文字であるターナ文字の跡が残っています。図1右の71の島からなるノーヌ環礁にはモルディブが仏教国だった時代(1,000年以上も前)の仏舎利塔が今も残っています。昔から石の彫刻が有名です。

図2 バー環礁の拡大図
図2はマーレから北へ約100 km離れたバー環礁の一部(図1の下)を拡大したものです。バー環礁は75の島からなりますが、うち五つがリゾートとして開発されています。マーレから2 km離れたフルレ島のマーレ国際空港から、水上飛行機で約35分、スピードボートで約3時間程度です。徒歩で一周30分のロイヤル・アイランドの北には港専用の島が見えています。徒歩で一周75分のソネバフシは比較的大きな島です。その北東には人の手が加えられた島が2つ見えます。マールホスは港も見え、長さ765 m、幅500 mの人口約500人が住む島です。

図3 ラー環礁南部の拡大図
図3はマーレから北へ水上飛行機で約40分、約130 km離れたラー環礁唯一のリゾート島、ミードゥパルを含むラー環礁南部のエリアを拡大したものです。ミードゥパル島の北東には水上コテージが茶色い三日月形に見えています。島の西にはミードゥという島が見えます。長さ825 m、幅550 mの島で、人口約1,700人です。

図4 ラー環礁西部の拡大図 図5 ラー環礁東部の拡大図
図4は同環礁の西側カンドゥルフドゥ周辺を、図5はラー環礁の東側のウングーファール周辺を拡大したものです。ウングーファールは88の島からなるラー環礁の中心の島で、行政事務所、警察、学校、病院などがある、長さ775 m、幅450 m、人口約1,200人の島です。島の南に青白い四角いエリアがありますが、ここは2004年12月に津波災害を受けた際の仮設テントです。ドゥヴァーファルはかつて無人島でしたが、津波によって全島が破壊されたラー環礁の西側にあるカンドゥルフドゥの住民のために開発中の島で、2008年1月には開発が完了する予定です。カンドゥルフドゥは長さ485 m、幅150 mの小さい島に人口が約2,700人(*2)という人口密度の高い島のひとつでした。島の住民は現在他の島々に別れて暮らしています。マークラスは長さ925 m、幅825 mの三角形の島で、人口は約900人です。

モルディブの産業は漁業と観光です。2004年のGDPのうち32%を観光が占めていました。人口が29.9万人のところへ、2006年には60.1万人の観光客がモルディブを訪れています。これは2004年の最高記録(61.6万人)とほぼ肩を並べ、津波の影響を受けた2005年の観光客数の39.5万人から回復できたようです。



*1:遠浅の海で、潮の干満によって陸地が現れたり水面下に隠れたりする所。
*2:2000年の国勢調査の人口(ほかは2006年の国勢調査)。

観測画像について:
(図1〜図5)
観測衛星: 陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)
観測センサ: 高性能可視近赤外放射計2 型(AVNIR-2)
観測日時: 2007年1月15 日05時41分頃(世界標準時)
地上分解能: 10 m
地図投影法: UTM(ユニバーサル横メルカトール)
AVNIR-2 は4つのバンドで地上を観測します。通常は、このうちバンド3(610〜690ナノメートル)、バンド2(520〜600ナノメートル)、バンド1(420〜500ナノメートル)を赤、緑、青に割り当ててカラー合成するので、肉眼で見たのと同じような色合いとなり、次のように見えています。
緑色や黄土色: 草地、畑地
灰色: 市街地、道路
青: 深海面
明るい青: 浅海面
水色: サンゴ礁
白:
黒: データのないところ
関連サイト:
ALOS 解析研究ページ
地球が見える 海洋

付録:
モルディブのリゾートのベッド数:
モルディブのリゾートはベッド数で見ると中部の首都マーレ(人口約10万人)から程近い、南北マーレ環礁とアリ環礁で国全体の76%を占めています。図1のラー環礁は3%、バー環礁は6%(約1,000)です。

スマトラ沖大地震の被害:
2004年12月26日に発生したスマトラ沖大地震はモルディブも襲いました。津波がモルディブに到達したのは、地震発生から3時間18分後の現地時間午前9時20分頃でした。国連開発計画(UNDP)のレポートによれば、波高は低いところで65 cm、最も高いところで4.33 mにもなったそうです。モルディブの最高標高2.4mからすれば、ほとんどの島が津波に洗われたことになります。津波はモルディブの南より北のほうが、また、西より東のほうが高かったようです。アジア防災センターの被害情報によると死者82名、行方不明者22名と報じられています。津波到達の時間が昼間だったことと干潮時にあたっていたため、死者及び行方不明者数が抑えられたとのことです。しかしながら、津波による被害額はGDPの62%と甚大な被害をもたらしました。
ただ、首都マーレではきたる温暖化による海面上昇と侵食にそなえて日本政府の援助により護岸工事が2003年に完成していたため、被害が少なかったようです。
本文ここまで。
画像:人工衛星の情報を掲載 サテライトナビゲーター
画像:衛星利用の情報を発信 衛星利用推進サイト
画像:衛星から見た地球のデータ集
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