地球が見える 2007年
世界一美しい霊廟:インド、タージ・マハール
ヤムナー川が大きく湾曲しているところの南岸に直交するように整然と位置する方形の建物がタージ・マハールです。その西側の三角形の緑地の中に所々赤く見えるのがアーグラー城です。アーグラー城は、ムガール帝国第3代皇帝アクバルによって16世紀に築かれたもので、城壁は高さ約20メートル、周囲2.5キロメートルにもなり、別名「赤い城」とも言われます。これは、城壁の建築材として赤砂岩が使用されているためです。城内の一際白く輝く建物は第5代皇帝シャー・ジャハーンが建立した白亜のモスク(モーティー・マスジット)の中庭です。図左に見える滑走路は国内線専用のアーグラー空港です。
これらの建物が建てられたのは、日本では天下分け目の関ヶ原の戦い(1600年)の前後に当たり、ヨーロッパ各国が東インド会社をつくって香辛料貿易を進めた時代でした。このため建築様式にも大航海時代の名残があり、ペルシャ由来のイスラム文化、ヨーロッパ由来のバロック文化、それにインド固有のヒンドゥー文化が融合した不思議な美しさを醸し出しています。タージ・マハールは1983年には優れた普遍的価値のある建築物として、国際連合教育科学文化機関 (UNESCO)の世界文化遺産に登録されました。しかし、近年大気汚染や酸性雨による深刻な被害を受けて、その保護・修復対策が国際協力の下、インド政府により積極的に進められています。
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