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地球が見える 2006年

AMSR-Eが捉えたラニーニャ

図1 AMSR-E で観測した海面水温分布
(2006年3月12日〜3月16日までの5日間平均)

図2 AMSR-E による海面水温平年偏差分布
(2006年3月12日〜3月16日までの5日間平均)
気象庁は3月10日、「現在の太平洋赤道域の中・東部で海面水温が平年より低い状態は、ラニーニャ現象である可能性が高く、この状態は春まで続くとみられる。」と発表しました。前回のラニーニャの発生は1998年夏〜2000年春なので、今回、確定すれば6年ぶりの発生となります。ラニーニャはエルニーニョと逆に東太平洋赤道付近の海面水温が平年値より継続的に低くなる現象ですが、エルニーニョと同じく世界的な異常気象の発生に繋がるとされています。また、ラニーニャが発生すると日本では猛暑・厳冬になり易いようです。

図1はNASAの地球観測衛星Aquaに搭載されているJAXAの改良型高性能マイクロ波放射計AMSR-E(*1)が観測した太平洋とインド洋の赤道域の海面水温を表しています。赤いところは海面水温が高く(最高32℃)、青いところは海面水温が低い(最低12℃)ことを表しています。太平洋赤道域の西部とインド洋に30℃前後の高温の海域が見られます。

図2は図1の海面水温から平年値(過去30年間の平均値)を引いた偏差を示したものです。平年値より高い部分を赤く、低い部分を青く着色しています。太平洋東部から中央部にかけて赤道付近に平年より海面水温の低い青い領域が広がっていることが分かります。

今回の海面水温の低下について、アメリカの海洋大気庁(NOAA)は既に2月2日にラニーニャの発生であると発表しています。発表内容が異なるのは判定の対象としている海域と判定基準が少し異なるためです。
気象庁の判定海域は図中の黒枠の領域(西経90度〜西経150度、北緯5度〜南緯5度。ニーニョ3)ですが、NOAAの判定海域は気象庁の判定海域に対してほぼ半分西にずれた領域(西経120度〜西経170度、北緯5度〜南緯5度。ニーニョ3.4)としています。気象庁はニーニョ3海域の海面水温と平年値との偏差を5ヵ月移動平均した値が、半年以上連続して−0.5℃以下になると「ラニーニャ」と定義しています。一方、NOAAは ニーニョ3.4 海域の海面水温と平年値との偏差を3ヵ月移動平均した値が、−0.5℃以下になると「ラニーニャ」と定義しています。

図3 エルニーニョ監視海域における海面水温平年偏差の時系列変化
(2003年7月〜2006年3月のAMSR-Eの観測データを使って作成)
図3はエルニーニョ監視海域における海面水温平年偏差の時系列変化を表しており、平年値に対する観測値の偏差がプラス側(赤い領域)に大きく長く続くとエルニーニョに対応し、マイナス側(青い領域)に大きく長く続くとラニーニャに対応します。2005年11月頃から始まった青い領域が今回のラニーニャに対応しています。

太平洋赤道域の海面水温の最新情報については、エルニーニョウォッチ "El Niño Watch"ページ
をご覧ください。



(*1) AMSR-Eは、地表や大気から自然に放射される微弱な電波(マイクロ波)を複数の周波数帯で精度良く観測し、地球の水に関する物理データを取得するマイクロ波センサです。マイクロ波センサは、光学センサと異なり、昼夜の別なく、また雲にあまり影響されずに常に観測を行うことができるため、海面の動向を継続的に監視することが可能です。

参照サイト:
エルニーニョ監視速報(No.162)(気象庁の報道発表資料)
エルニーニョ監視速報に用いる海面水温データ及び海面水温の基準値の変更について(気象庁ホームページ)
NOAA SAYS LA NINA HERE AS PREDICTED (NOAA、予測通りラニーニャ発生と発表)(NOAAのプレス・リリース)
エルニーニョ監視海域(NOAAホームページ)

観測画像について:
(図1〜図3)
観測衛星: 地球観測衛星Aqua(NASA)
観測センサ: 改良型高性能マイクロ波放射計AMSR-E (JAXA)
観測日時: 2006年3月12日〜3月16日(図1及び図2)
2003年7月〜2006年3月(図3)
図1及び図2はAMSR-Eの観測データから算出された海面水温及びその偏差について、5日平均した画像です。

AMSR-Eのプロダクトおよびアルゴリズムについては こちらをご覧ください。

関連サイト:
AMSR-Eによるエルニーニョウォッチページの公開を開始
Aqua/AMSR-Eから見た2002/03エルニーニョ
エルニーニョに関する気象庁のページ

付録:
エルニーニョとラニーニャ:
エルニーニョやラニーニャは太平洋の赤道付近の東風(貿易風)の強さの変動に関連して発生します。
ふだんの太平洋赤道域では、表面の暖かい海水は貿易風のために西に吹き流されて、西部にたまり(フィリピンやインドネシアの島々にはばまれるため)、30℃前後の世界で最も海面水温の高い海域を作り出します。一方、東部では、吹き流された表面の暖かい海水を補うように深層の冷たい海水が湧きあがってくるため海面水温が下がります。
東風が強くなると、表面の暖かい海水がふだんよりも西の海域に押しやられ、東側の冷たい海域が西に伸びます。
逆に東風が弱まると赤道付近の海水は強い日射を受けて長時間暖められるため、東太平洋の海面水温はふだんに比べて高くなります。
東風の強い前者の状態がラニーニャ、東風が弱い後者の状態がエルニーニョです。

また、東風により海水が吹き寄せられる西太平洋赤道域では東太平洋赤道域に比べて2〜30 cm程度海面が高くなることが知られていますが、ラニーニャ発生時は東風が強まるためその差はより大きくなります。ヨーロッパ宇宙機関(ESA)のホームページによると、地球観測衛星Envisatに搭載されているレーダ高度計(RA-2)による2月中旬までの観測で、西太平洋赤道域では東太平洋赤道域に比べて最大で60 cm程度海面が高くなっていることが明らかになっています。

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