地球が見える 2006年
AMSR-Eが観測した北半球の地表面温度分布:この冬のシベリア大寒波と日本の厳冬
図1は、AMSR-E*1で観測した1月の北半球の地表面温度の分布です。2003年から2006年の4年間の1月の平均値に対する差を示したものです。温度が高い部分を赤く、温度が低い部分を青く色付けしています。 この画像では、濃い青や紫色の部分がカスピ海北部からバイカル湖北部にかけてのシベリア内陸部とカムチャッカ半島北の大陸東端部にあり、地表面温度が平均より大幅に低くなっていることがわかります。マイナス58℃を記録したエヴェンキー自治管区やクラスノヤルスク地方はバイカル湖の北西にあり、低温領域のほぼ中心に当たります。その他、北アフリカのモロッコ周辺でも地表面温度が平均より大幅に低くなっていることが分かります。 一方、北アメリカ大陸では橙色や赤のところが目立ち、逆に平均より温度が高くなっている地域が多いことがわかります。
昨年12月の図で特徴的なのは、オホーツク海北西部のシベリア沿岸付近の地表面温度が平均に比べて3〜5℃以上高かったことです。このことは、今年のオホーツク海の流氷面積の減少傾向と関係があるものと考えられます*2。 異常な低温をもたらした原因として、北極周辺の大気に起きている北極振動が考えられます。北極振動が強まると、冷たい大気が大量に南下してきます。北極振動が強まる原因は、まだはっきり分かりませんが、5年ほど前に海洋科学技術センター(現、海洋研究開発機構)と宇宙開発事業団(現、宇宙航空研究開発機構)の共同プロジェクトである「地球フロンティア研究システム」によって、北極振動の強化と北極海の海氷面積の減少が互いに関連する可能性があることが指摘されています*3。 確かに近年の北極の海氷面積の減少は明瞭で、AMSR-Eによっても確認されています*4。この2つの関連性については、まだ研究段階ですが、さらに調査してゆく必要があると考えられます。
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