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地球が見える 2005年

エリグイグイドグイン湖:北東シベリアの衝突クレータ

図1 エリグイグイドグイン湖の位置
図1は北東シベリアの最東端のチュコト地方にあるエリグイグイドグイン湖を2003年10月に捉えたGLI画像です。図上の黒い部分は北極海の一部、東シベリア海とチュコト海です。陸域の大半は水色に見えていて雪に覆われていることが分かります。図下に森林(黄緑色)と裸地(赤茶色)が見えています。

図2 エリグイグイドグイン湖とその周辺
図2は地球資源衛星1号に搭載された合成開口レーダSARが1992年10月に捉えたエリグイグイドグイン湖とその周辺です。エリグイグイドグイン湖はちょっと昔の金魚鉢にしっぽを付けたオタマジャクシのように見えます。しっぽのような川はエリグイグイドグイン湖から流れ出る唯一の川、エンミバーム川です。この川は、右上のユルムクベエム川に合流し、バラヤ川、さらにアナディリ川となって、ベーリング海につながるアナディリ湾に注ぎます。この画像は、SARから送信された電波が地表面で反射されてSARに戻ってくる電波の強さを表しています。SARの電波は衛星の進行方向に対して右側に送信されるので、図2では南東側の斜面が明るく見えています。観測幅が75kmであることを参考にすると、湖の直径は約12kmであることが分かります。また、湖の北西側と南東側の岸が凍っているように見えます。

この湖は次のように隕石などの衝突によってできたことが分かっています。
クレータ名 直径 生成時期 備考
エリグイグイドグイン 約18 km 350±50万年前(第三紀鮮新世) ロシア
出典:カナダのニュー・ブルンズウィック大学が運営している地球衝突データベース

また、下記の参考文献等によるとエリグイグイドグイン湖の概要は次のとおりです。
湖の深さは175m、体積は14立方kmで、毎年10月末から翌6月初めまで氷に覆われる。
湖面の標高は492mで、クレータの外輪山の高さは最高で906m。
クレータが生成されたのは360万年前。
貧栄養湖であり、イワナの固有種が生息している。

  これまでの調査で、この湖は生成後、一度も干上がったり、氷河に覆われたことがなく、湖底にできた厚さ350m以上の堆積物の層は、360万年にわたって、連続的に擾乱なしに古環境を記録しており、このような記録としては陸域の北極圏で唯一のものであることが分かっています。このため、地球の気候システムにおける北極圏の役割についての理解を深めるため、アメリカ、ドイツ、ロシアなどの国際的な研究チームによって1998年、2000年、2003年に湖底コアの採取が行われ、次の掘削計画は2006年春に予定されているとのことです。これまでに過去30万年分の分析結果が公表されています。特に、200万〜300万年前は、地球の寒冷化が始まった時期に当たり、その時、北半球では氷床が発達し、北極圏は温暖な森林の生態系から永久凍土の生態系に進化したのですが、それがなぜ、どのように起こったのかを明らかにすることは大事なテーマの一つと考えられています。また、衝突クレータの地形がよく保存されていることから、衝突クレータの生成について新たな知見が得られるかもしれないと期待されています。



参考文献:
International Continental Drilling Program (ICDP), El'gygytgyn Lake Workshop Report, 2001
Matt Nolan, et al, Analysis of lake ice dynamics and morphology on Lake El’gygytgyn,NE Siberia, using synthetic aperture radar (SAR) and Landsat, Journal of Geophysical Research, Vol. 108, No. D2, 2003
Lake El'gygytgyn Drilling Project (ICDPのホームページ)

観測画像について:
(図1)
観測衛星: 環境観測技術衛星「みどりII」(ADEOS-II)
観測センサ: グローバルイメージャ(GLI)
観測日時: 2003年10月5日
地上分解能: 250 m
投影法: アルベルス正積円錐図法
特殊なチャンネルの組み合わせで、短波長赤外域の2210ナノメートル(チャンネル29)、近赤外域の825ナノメートル(チャンネル23)、可視光の 545ナノメートル(チャンネル21)の観測データに、それぞれ赤、緑、青色を割り当てて合成した画像です。このため、次のように見えています。
緑: 植生
黒〜暗い青:
赤、茶色、ピンク:沙漠〜普通の土壌および焼跡(非植生)
白:
水色:雪や氷

(図2)
観測衛星: 地球資源衛星1号(JERS-1)
観測センサ: 合成開口レーダ(SAR)
観測日時: 1992年10月16日
観測周波数: 1,275 MHz (Lバンド)
地上分解能: 18 m
地図投影法: UTM

関連サイト:
ICDP(国際陸上科学掘削計画)の概要(JAMSTECホームページ)
月面クレータ? −シベリア、コンデール山−
北欧の衝突クレータ
サハラ沙漠の円形農場と衝突クレータ
衝突クレータを記憶する楯状地:カナダ、ラブラドル半島
地球史を物語る赤い大陸:西オーストラリア

本文ここまで。
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