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地球が見える 2005年

台風11号のあしあと 〜海面に残る台風の航跡〜


今年(2005年)8月26日に関東地方に上陸した台風11号(MAWAR:マレーシア語で薔薇の意味)の足跡(あしあと)が東海沖の海上に残っていたことが分かりました。図はNASAの地球観測衛星Aquaに搭載されている日本のマイクロ波放射計AMSR-Eが捉えた5日間平均の海面温度分布(8月24日〜8月28日)です。

図中で赤い部分は海面温度が高いことを、青い部分は海面温度が低いことを表します。表示されている最低温度は0°C、最高温度は30°Cで、陸地と、分厚い雲のために海面水温が観測できなかった海域は黒く表されています。この図では日本より南の太平洋の大半は暗い赤色で示され、その海域の海面温度が30°C近くまで達していることが判ります。ここで日本近海に注目すると、伊豆諸島と小笠原諸島の西側に日本列島から南に向けて伸びる、周囲よりやや明るい赤色で表示されている部分が見られます。この低温海域は台風11号が太平洋に残した足跡です。これは台風の勢力圏内では強風によって海面近くの暖かい水が吹き流されて、その下にある冷たい海水が湧昇して海面温度が下がるためです。

この台風は8月20日に小笠原諸島の南海域で発生し、22日に中心気圧930 hPaまで発達し、以後ゆっくりと勢力を減じながら北上し伊豆半島を掠めて26日に千葉市付近に上陸、そのまま九十九里浜へと抜け28日に温帯低気圧となりました。台風の通過に伴い箱根で一日降水量528ミリ、伊豆大島で瞬間最大風速57.0m/sを記録したほか、首都圏を直撃するコースだったことから都内を中心とする関東各地で交通やライフラインに影響が出ました。

JAXA/EORC台風データベースのページに掲載されている台風11号の経路図を見ると、台風11号が20日の発生から28日の衰滅まで約一週間かけて綺麗な半円弧を描いて時計回りに移動していったことがわかります。この経路図と上の図を比較すると、図の明るい赤色の部分と台風の経路とがぴったり重なることがわかります。台風のあしあとは日照による再加熱や周囲の暖かい海水との混合により数日程度で判別できなくなります。

なお、9月12日、気象庁は「2004年7月に発生した黒潮大蛇行は2005年8月に終息しました。」と発表しましたが、上の図でも黒潮大蛇行が見られないことが分かります。

JAXAではこのような衛星観測により捉えられる、肉眼では見ることのむずかしい現象についても紹介していきます。



観測画像について:
観測衛星: 地球観測衛星Aqua (NASA)
観測センサ: 改良型高性能マイクロ波放射計AMSR-E (JAXA)
観測日時: 2005年8月24日〜8月28日
AMSR-Eの観測データから算出された海面水温について、5日平均した画像です。

AMSR-Eのプロダクトおよびアルゴリズムについてはこちらをご覧ください。


関連サイト:
AMSR-E黒潮モニタ
JAXA/EORC台風データベース
TRMM台風速報
AMSR-E台風速報
AMSR-E今日の一枚
MODIS準リアルタイム画像
今年も続く黒潮大蛇行
AMSR-Eで見えた黒潮大蛇行
地球が見える 台風・洪水ページ
地球が見える 海洋ページ


付録:
台風のしくみ:
台風は高温の海水から発生する膨大な水蒸気をエネルギー源として発生・成長する巨大な空気の渦です。水蒸気はやがて冷えて水に変化する際、潜熱と呼ばれる熱を周囲の空気に与えます。この熱により暖められた空気は強い上昇気流となって上空に逃れ、その空気があった位置に周囲から水蒸気を含んだ空気が流れ込むことで、上昇気流は更に熱が加えられて成長しその根元では更に多くの空気が流れ込む(気圧が下がる)ようになります。こうして誕生し維持される強力な上昇気流に支えられた大気の渦がやがて台風へと発達していきます。

ここで水の流れを考えてみると、海面から蒸発することで海面の熱を奪った水(水蒸気)は、上空で水滴となって熱を放出すると、雨となって再び海面に戻ってきます。また、台風の勢力圏内では強風によって海面近くの暖かい水が吹き流されて、その下にある冷たい海水が湧昇し、これが海面近くの水と混ざるため海面温度が下がってしまいます。海面が冷えると海面からの水蒸気の発生が抑えられ、上昇気流が維持できなくなり水の循環は止まってしまいます。台風がその姿を維持できる海水温度は26°Cが限度で、26°Cを超えると台風は発達し、26°C以下になると台風は海面から熱を奪えず衰弱するということが知られています。図に示された25°C前後の明るい赤色の領域は、台風11号がエネルギー源となる高温の海水から奪えるだけのエネルギーを吸収しながら移動して行った、その痕跡だということができます。
本文ここまで。
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