地球が見える 2005年
北半球の素顔−大地と海氷と海底−
画像は、2003年の晩夏にMODISがとらえた北半球の大陸および海氷分布の様子です。北極点の真上から北半球を見た配置になっており、日本は右上に、グリーンランドは左下に見えています。また、画像中で海域および湖沼にあたる部分は、米国NOAA/NGDCから公開されているデジタル水深データ(ETOPO2)を合成し、水深が深くなるほど青色が濃くなるような色付けになっています。 晩夏とはいっても、ユーラシア大陸や北アメリカ大陸にはまだ広大な緑が広がっており、アフリカ大陸のサハラ砂漠や中東域そしてチベットの高山地帯といった植生のない地域と明瞭なコントラストをなしている様子がよく分かります。また、夏も終わりかけた8月後半から9月にかけては、北極海の海氷が一年で最も小さくなる季節です。同じ年の春から秋にかけての北極海の海氷の季節変動の様子は、以前このページでもご紹介しました(急速に融ける北極域の海氷)。上の画像からも、アラスカやシベリアの北側にぽっかりと海氷のない部分ができていることが分かります。北極海の海氷は、地球温暖化の影響で年々この季節の面積が減少する傾向にあり、今世紀後半には北極海のほとんどの海氷が毎年融けきってしまうのではないかと推測する研究者もいます。(NSIDC News参照)今後も注意深い観測が必要です。 画像には、普段は伺い知ることのできない海底地形の様子も映し出されています。大西洋の中央を南北に走るやや浅い部分は海底の山脈で、「大西洋中央海嶺」と呼ばれていて、頂上こそ海面下に沈んでいますが、周辺部の深い部分に比べて数千メートルも高く盛り上がっており、アイスランドにつながっていることが分かります。ここは、海洋地殻(海洋プレート)が生まれるとともに地球内部(マントル)から熱が放出されるところなので、アイスランドにはいくつかの活火山があります。また、日本の東方沖には水深8,000メートルを超える日本海溝や伊豆小笠原海溝などが深く刻まれています。これらの海溝は太平洋プレートが北アメリカプレートとフィリピン海プレートの下に潜り込んでいるところです。このように、海底地形は陸上以上に大きな高低差を伴い、多様なのです。画像から、北極海周辺の海域は、水深数百メートル以下の浅い海が多いことが分かります。太平洋や大西洋の深い海域(水深4000〜6000 m)に比べて、海の熱容量が小さく、したがって地球温暖化の影響を受けやすいことがこの海底深度の画像からも推測できます。
関連サイト: 急速に融ける北極域の海氷 北極・南極 |